【星幽塔】豆の危機！？　目指せテッペン！｜リアクション

【星幽塔】豆の危機！？　目指せテッペン！

☆第二階層　洞窟温泉と豆の樹

　ばしゃ。
　さっきまで見えていた空が、急に消えた。
「おおーっ、階層が変わるとこんなふうに見えるのです？　驚きなのですー」
　エロは階層が変わる寸前に見ていた景色と現在の様子とのギャップに驚く。　
　いつのまにか樹の周囲は洞窟になっており、樹からすこし離れたところにはお湯が流れている。
　桜は周りをきょろきょろ見回した。
「第二階層の洞窟温泉？　こないだ、はいびとと戦ったっけ……」　
　そんなことを思い出す。
　倒した後はどろどろの湯を満喫したのだが、残念ながら今はのんびり温泉を楽しんでいる余裕はない。
　行く手を塞ぐようにつるが伸びてきて、桜はクロスボウを構えてつるを切断した。
「つるは動き回るのね……矢はあんまり持ってきてないから、無駄遣いしないようにしなくちゃ」

　アリスは巻きついてくる蔦とナイフで戦っていた。
「棘もナイフで切り落としていくよ」
　だが、アリスの背後にふわふわと半透明のゴーストが迫っていた。
　悪さはしないが、触れると生気を吸い取られてしまう。
　吸われる寸前に気配に気づいて、アリスは振り向いた。
「あっち行って！　炎で燃やしちゃうよ」
　そう言うとアリスは、羽根をぱたぱたして背中からの攻撃を防御する。
　手の甲に描かれた火の紋様が輝き、小さめの炎が出てきたのを見ると、ゴーストはふわふわと逃げて行ってしまった。
「燃え広がっちゃったら困るから小さめの炎にするけど、疲れてきたら手加減は無理かも」

　夏朝は、鋭いトゲを避けながら絡み付くつるをナイフで切断していた。
　豆の樹は洞窟の天井もぶち抜いてさらに上に伸びている。
　周囲の警戒を怠らずに足場を移動していく夏朝。
「はっ！？」
　ガシャ。
　音に振り向けば、湯煙の中にスケルトンの姿があった。
　思わず戦輪を構えた夏朝。
　投げようとして、かつての第二階層での戦いを思いだす。
　思いを込めて、夏朝は讃美歌を歌った。

　スケルトンの姿は煙のようにかき消えた。
「……」
　頷いて、夏朝は再び豆の樹を登り始めた。
　
　