【星幽塔】豆の危機！？　目指せテッペン！｜リアクション

【星幽塔】豆の危機！？　目指せテッペン！

☆乙女たちの挑戦

「足場があるから登りやすいね」
　アリスはわくわくしながら、小さな翼をはためかせ、身軽に登っていく。
「あれ？」
　しかし、羽だけで飛ぼうと試みたアリスは見えない壁のようなものを感じた。
　試しに、手足を使って登ると壁は消え、普通に進めた。
「うーん、羽根でただ飛ぶだけじゃダメみたいだね」　
　第一階層の空まで登ったアリスは、下の景色を見下ろした。
　建物はおもちゃのようだし、人が豆粒のように見える。
「違った見え方が面白いね」
　羽があるとはいえいつも飛んでる訳ではなく、普通に歩いてることがほとんどだ。
「絶景かな、絶景かな」
　思わず、寝子島で覚えた台詞をつぶやいていた。
　
　スケスケでキワキワの踊り子衣装にボンキュボンの完璧なスタイルを包んだ、エロ・イーアールオーがやってきた。
　豆の樹を見上げて考える。
「この豆の木を登るのは一苦労なのですー。なので豆の木の根本でろっこんを使うのです。ろっこんで豆の木が伸びるよりも早く大きくなりつつければ楽にてっぺんまでとどくのです。今日のエロは冴えているのです」
　エロは、ろっこん『おっきくなったのですー』を使おうと決めた。
　その途端、エロの身体は豆の樹のように、ぐんぐん大きくなった。
　ちなみに大きくなってもひざ下くらいまであるふわふわのロングウェーブの髪は太くならず、肌は肌理細やかなままだ。
　そのまま勢いよく伸びて、階層を越えるかに見えたが。
「……進めないです！」
　階層の境まで来ると、エロの頭はそれ以上進めずつっかえてしまった。
　豆は階層を越えて伸びているのだが、どういう仕組みだろうか。
「無理でしたか」
　仕方なくエロは元に戻り、普通に登ることにした。　

　皆を見送ったユリーカは、樹の下に大きな金色のものが落ちているのを見つけた。
「あら、あそこにあるのは何でしょう？」
　近づいてみると、形自体は良く知っている豆に似ていた。
　しかし大きさはスイカ大だ。
「木から落ちたんでしょうか、初めて見ます。ふむふむ……」
　興味津々で匂いをかぎ、そっと歯を立てて味を確かめる。
「美味しいです。せっかくですから、何か作りましょう」
　にっこりと頷いたユリーカは、うきうきと調理器具を取り出した。
「そうですね……スープにしてみましょうか。たくさん作れそうです。腕が鳴りますね」
　そこへ、リリエルがたどり着いた。
「うわー、広場にはたくさん人がいますね」
　豆を拾ったユリーカを見つける。
「あら、あなたも豆料理を？」
　にっこりと微笑むユリーカに、リリエルは頷いた。
「よーし、私もたくさん金の豆を集めれるようにがんばリリエルです！」
　そう言って背中の羽を羽ばたかせる。
「少し高いところの豆なら羽でとんでとればいけそうですね♪」
　近くの豆をもぎ取って、次を探そうとするが。
「あ、でもこの豆一個でも結構重たいです……無理せず一個ずつお店に運びましょう」
　まずはお店に戻ることにしたのだった。

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