サマー☆部活動のお時間です！　～文化部編～｜リアクション

サマー☆部活動のお時間です！　～文化部編～

●生物部としての活動

「今日は私の当番の日ね」
　
　神野美野梨は生物部の部員として寝子島高校へ向かう途中だった。やることは学校で飼っている鶏やうさぎの世話である。その途中で猫を見かけたので、ろっこん『友との語らい』で話しかける。

『今日も暑いわね』
『そうだね』
『毛皮があると大変ね』
『もう慣れたよ』

　他愛もないやりとりをしばらくすると猫はどこかへ去っていった。

（毛皮といえば……）

　話していて、ふと先日ライオンになったことを思い出した。

（あの時は暑い時期でなくてよかったわ……）

　今年は特に暑かったので、考えようによってはタイミングが良かったのかもしれない。そんなことを思いながら学校へと向かう。酷暑期間中、うさぎは校内のケージで過ごさせているので、学校へ着くとまずはケージ内の様子をうかがう。
　うさぎが顔をこちらに向けるので、餌をあげると元気に食べ始めた。

「食欲もあるし、糞も問題ないわね。元気そうでよかったわ」

　その後、飼育小屋の掃除をして飼育日誌を書いたらひとまず終わり。他にも学校に来ている生徒が何人かいて、知り合いに合うたび挨拶をかわす。やることも一段落して、これからどうしようかと考える。
　そのときふと、あることを思いつく。

「今日は九夜山にフィールドワークに行きましょう」

　そう思い立つと、帽子をかぶり水筒を持つなど準備を整える。目的は山の生物の観察。見かけた生き物の写真を撮ったり、その撮影場所や撮影時間を記録する。

（ミステリ研の部員としては、生き物以外にも目を配りたいところね。面白い謎はないかしら？）

　実際、九夜山には不思議な建物や噂、目撃証言がある。何かないかと見て回ったが、どうやらそういったものには出会えなかったようだ。しかしその代わりに珍しい蝶を見つけることができた。慎重に写真に収めると部長宛てに写真添付のメッセージを送った。
　それからも休憩と水分補給を挟みながら生物の観察を続け、気がつけば日が暮れようとしている。日が完全に沈む前に美野梨は下山して再び寝子島高校へ戻ってきた。
　もう夏も終わりに近づいているので、ケージのうさぎを飼育小屋へ戻す。久しぶりに広いところに出たからか、どこか楽しそうにうさぎが飛び跳ねている。その様子に微笑みながら美野梨は声をかけた。

「それじゃ帰るわね。またね」