サマー☆部活動のお時間です！　～文化部編～｜リアクション

サマー☆部活動のお時間です！　～文化部編～

●緊急招集

　夏休みのある日。
　朝日が１日の始まりを告げ、街を歩く人々がだんたん増えてくる。そのなかに愛猫萌々子の姿があった。彼女は寝子島高校へと向かっている。目的は『ののこ様親衛隊-ののこ様の日常を見守るだけの集まり-』の緊急招集である。
　この団体は端的に言ってしまえば野々ののこを静かに見守る有志の集まりだ。極力目立った行動は避け、ののこ本人や他の人に迷惑をかけないという方針を掲げている。親衛隊の情報交換会は毎月9日（休みの場合は直近の月曜日）の放課後に、校舎の屋上で行われる。ただ今回は緊急招集ということで例外的に集まることになった。

　朝９時に集まることになっているが、萌々子はそれよりもだいぶ早く着いた。隊長である萌々子はユニフォームの法被、黄色のマスク、髪型をツインテールに変える。これは萌々子という正体を隠した『隊長』としての姿だ。
　隊員もちらほらやってきて、全員揃ったところで時間通り会議を開始する。萌々子は立ち上がり、今日の議題を掲げる。

『迫りくる新たな脅威について』

「今回のテーマはこれです」
「ののこ様を狙っていたクローネは打ち負かされ、現在は転生（？）して寝子島で生活するふつうのひとになりました。これ以上の脅威は無いと考えていいでしょう」

　隊長らしく威厳を保ちながら、要点をまとめていく。隊員たちも頷きながら状況を整理している。

「それよりも重要なのは先日起こった悪魔の襲来です」
「相変わらずテオは最小限の情報しか与えてくれないので、全容はわかりませんのでそれぞれ体験したことを聞かせてください……」

　あのときは寝子島全体に影響が及ぶほどの事態で、隊員たちもそれぞれ違う場所でその異変と対峙していた。ある者は寝子ヶ浜海岸で灰色の石巨人に出会い、ある者はエノコロ岬で翼を持つ首無し馬を目撃した。
　そういった情報をまとめていくと、当時の状況が見えてくる。とはいえ個人の経験を寄せ集めただけでは、核心に迫るには至らない。ただその時の寝子島がどういう状態だったのかが、だいぶ分かってきた。
　萌々子は思案すると、隊員に向けて言葉を放つ。

「私達に出来るのはののこ様に異変を見せない、不思議に思わせない、フツウを陰ながらサポートすることです」
「もれいびも、ひとも、混在する我が親衛隊ですが、ののこ様の事を知っている、見守るもの同士力を合わせていきましょう」

　隊員たちから拍手が起こる。そして合言葉を以て今回の集会を終える。

「フツウを死守せよしますとも！」

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