サマー☆部活動のお時間です！　～運動部編～｜リアクション

サマー☆部活動のお時間です！　～運動部編～

　決められたメニューを全員が無事にこなした。安堵の表情がじんわりと広がった。歓談を楽しみながら部室棟へと向かい、各々がシャワーで汗を洗い落とした。
　夕飯のカレーは家庭科室で作った。大人数用の電子ジャーがずらりと並び、大量の米を炊き上げていく。寸胴で煮詰めたカレーの量も尋常ではない。
「みんなー、遠慮なくがつがつ食えよー」
　宇佐見望月は率先して皿にカレーを盛り付ける。ルーとご飯の配分が絶妙であった。
「最後は俺様のカレーだな」
　皿の中央にご飯を山のように盛る。通り掛かった志波拓郎が足を止めた。
「宇佐見先輩、ご飯が…多過ぎて、ルーが、入らないと…思うのですが」
「ご飯はおかずだろ。それとルーを入れるところは、これから作るんだって」
　ご飯の山にしゃもじで穴を開けた。確保したところにカレーのルーを注ぎ込む。少し溢れた。
「俺様特製、活火山カレーの完成だ！」
　白いご飯の山肌を溢れたルーが溶岩のように流れていた。
　豪快なカレーは一同の笑いを誘った。

　就寝時間を迎えた。部員は男女に分かれて教室に入る。敷き詰められた布団の中に潜り込んだ。
　窓際で寝ていた拓郎は瞼を開けた。窓の向こうの星空が見える。そわそわした様子で起き上がり、寝ている者を起こさないように教室を後にした。
　第一グラウンドには誰の姿もなかった。拓郎は歩いて中央で立ち止まる。
　深呼吸をして夜空と向き合う。瞬く星々に緩やかに目を動かす。
「…あの三角形、確か夏の大三角…だっけ？」
　不安げな声で見上げていた。
「…物理は得意、なんだけど、天体の暗記は…少し、ね」
　呟いて踵を返す。引き返す途中で一つの教室に目がいった。椎井莉鳥が窓枠に両肘を載せて涼んでいた。
　二人の目が合った。莉鳥は無表情のまま、軽く手を挙げた。同じように拓郎が返し、教室へと戻っていった。