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わずか数分で、ナターシャ・カンディンスキーは戻ってきた。
まっすぐ、壁の向こうでも透視しようとしているかのごときまなざしで彼女は、
「陽太さん」
と呉井陽太に呼びかける。
「はい」
「ハグさせてもらっていいですか?」
「えっ? いいですけど……」
言い終わらないうちに、陽太の頬を金の髪がくすぐっていた。
ナターシャが、陽太を包み込むようにして抱きしめていたのだった。
「今日は、ありがとうございました……良かった……」
間に合って良かった、そう言っている風に聞こえた。
だとすれば、何に間に合ったというのだろう。
けれども、その疑問をかき消すような気付きがあった。
――ナターシャさん、泣いてる。
だから陽太はそれ以上問わず、彼女の背中にそっと腕を回した。
時間にすれば十数秒だったと思う。せいぜい二十秒か。
落ち着いたように腕を解くと、ナターシャは深くお辞儀をして、
「お先に失礼します」
と振り向くと、そのままやや早足で病院から立ち去ったのだった。エレベーターを使わず、階段を降りていった。
こんなに早く彼女が戻ってくるとは思わなかったので、志波武道は自販機のところから、「ええ、また」と呼びかけるのがやっとだった。
彼女の金色の気配が、まだロビーに残っているような気がした。
ナターシャの背を見送って、獅子目悠月は病室に向かう。
「オレも行くよ」
陽太が並んだ。
されど病室の前で、悠月はぱたりと足を止めたのだ。
悠月は動かない。
「どうしたの?」
医師を呼び出す館内放送が流れたが、これに驚いたわけではないだろう。
館内放送が二回繰り返されるのを聞き流したのち、悠月は手にしていた花束を持ち上げている。
「季節外れだが、ネモフィラだ」
水彩画のような淡い青と白の花、それが数本。
「花を持っていこうと決めて、たまたま見つけた」
綺麗だよね、とつぶやいた呉井陽太の言葉尻を捕まえるように、
「……悪い、これ、渡してもらっていいか」
ぽつんと悠月は言い放つ。
「えっ?」
「ここで待ってる」
「悠月君……」
陽太はなにか気の利いたことを言おうと思った。
そんなときに限って、なにも出てこないものだ。だからシンプルに、
「いいのかい?」
そう問うにとどめている。
悠月は無言だったが、言葉を尽くす以上に、表情ですべてを物語っていた。
「うん。待ってて」
陽太は病室のドアに手を掛けた。
個室だ。陽太の記憶では、博士は数人部屋に入院していたはずだった。
彼が移動を希望したのだろうか。それとも彼を、移動させるべき理由が生じたのだろうか。
「香川博士」
会いに来ました、と陽太は告げた。
悠月は動くことなく、じっと病室の名札を見つめている。
たぶん俺は、香川のことが嫌いだ。
何度考えても変わらない気持ちだった。
最初の対面のときに感じた悔しさを未だにずっと引きずっている。
殴りたいと思った。
弟を犠牲にフツウを乱して、あとで後悔するその愚かさ。
――けれど、最後にみた姿は。
憎みきるには足りなくて、
ああ、それなら――。
黙って息を吐く。部屋の中の会話は、くぐもっており聞き取れない。
香川の弟、
道太郎
が立ち上がった。
「ありがとう、よく来てくれたね」
「もうすぐ手術だと、彰尋君からうかがいまして」
会釈して陽太は博士のベッド脇、用意された丸椅子に腰を下ろす。
椅子のシートはオレンジ色だ。脚は黒。
「やあ、元気かい」
生気とともに邪気も失せたのか、王堂の表情にはかつてあった傲慢さは消え、熟睡から目ざめた赤子のような穏やかさがあった。
「それはオレの台詞ですよ」
陽太は笑って、
「悠月君からです」
とネモフィラの花束を示す。道太郎が受け取ってくれた。
「嬉しいね。彼に礼を伝えてほしい」
もしかしたら王堂は、ナターシャに悠月が来ていることを聞いていたかもしれない。けれども、なぜ来ないのかなどとは尋ねなかった。かわりに、彼は笑った。
「花はいいものだね。病人になってはじめてわかったよ。そう考えると、入院も悪いことばかりじゃない」
はははと声を上げている。皮肉のない笑い声だった。
そうして王堂はしばらく、活けられたネモフィラを見つめていた。
悠月はやはり動かない。王堂の笑い声だけ、うっすらと聞こえた。
――送った花、ネモフィラの花言葉は『どこでも成功』、そして……『あなたを許す』。
自己満足かもしれないが。この花を送りたかった。
そして……少しでも手術が成功するように祈った。
もし、無事に成功して元気になったら。
悠月は決めている。
改めて会いに来て……一発だけ殴らせてもらおう。
「そして、これはオレから」
陽太が取り出したのは、布の袋に入ったデジタルオーディオプレイヤーだった。
「この中にはオレと弟が演奏した曲が入ってます。ピアノ演奏はオレで、弟はヴァイオリンを弾いてくれました。よかったら、後で聴いて下さい」
王堂が何か言うより先に、陽太は続けた。
「前、オレが面会に来たとき、博士は『助かるまい』と言ってましたよね。でもオレは、無事を祈る気持ちを捨て切れず……かといってうまく言葉で伝える事もできそうになくて、この贈り物を用意するのが精一杯でした」
「かけていいかな?」
マイクロスピーカーならあるから、と王堂は言う。
「ええと……」
「照れくさいのはわかる。けど、頼むよ」
やや強引に押し切って、王堂は枕元のスピーカーにプレイヤーを繋いだ。
音楽が流れ出す。
メロウだが柔弱ではなく、流麗ながら単なるBGMではなく命のきらめきを感じさせる楽曲だった。ピアノの旋律は歯切れ良く、ヴァイオリンの弦がたゆまぬフックを与えている。
目を閉じ、息をすることすら忘れたように聞き終えて、王堂はため息をつくように言ったのである。
「助かるまいなどと、言うものではなかった。謝るよ。そしてありがとう、呉井君、ありがとう。私は無粋な人間で、『良い曲だ』というくらいしか表現するすべをもたないが……世界は美しい、と思った」
「これ以上ないくらいの褒め言葉ですよ」
「退院できればいつか、君たちがこれを生演奏するところを聴きたいな」
「ええ、是非」
陽太は笑った。
病室を出るとき、道太郎も着いてきた。
あらためて礼を言う彼に陽太は問いかける。
「道太郎さん、実家に戻られると聞いたんですが」
「ああ、鴻上君からだね」
そうです、と告げて陽太は続けた。
「もしかしたら、道太郎さんは博士にその事を話してないんじゃないですか?」
道太郎、ときにアルチュール・ダンボーと名乗っていた青年は、目に当惑の色を浮かべていた。どうしてわかったんだい、と短く返す。
「すみません。オレも心配かけないようにと、弟に悩みを話さないで拗れたことがあったので、つい……」
香川兄弟はあまり似ていない。道太郎は長身で王堂は小柄、どちらかといえば王堂は丸顔で、道太郎は面長である。しかし目元はよく似ていると、このとき陽太は気が付いた。
「なるほど。だとしたら君たち兄弟と一緒みたいだね」
「もし実家に戻られるのを悩んでるなら、本当に進みたい未来について話した方がいいと思います」
差し出がましいかもしれませんけれど、と陽太は言ったが、道太郎に気を悪くした様子はなかった。
ここで道太郎は悠月に気がつき黙礼した。
うっすらと病室から、あの曲が漏れ聞こえてきた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年05月27日
参加申し込みの期限
2019年06月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年06月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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