朝陽を浴びながら｜リアクション

朝陽を浴びながら

○平穏普通な夏の朝

（夏休みの宿題、ようやっと全部終わった……夏休み前半までに済ますつもりが、結構かかっちゃった）
　昨日宿題を終えた恵御納夏朝は、爽やかな目覚めを迎えました。
「今朝は早起きできた……というか最近は早起き習慣がついてるね」
（１時間くらい勉強してもいいけど……）
　せっかく宿題が終わったのだし、少し違ったことを楽しみたい気もします。
（……こうやって普通の夏の朝を迎えられるのは、嬉しいな……）
　なんとなくそう思った夏朝。
「……よし、外に行こう！」　
　
　内緒で飼ってる不思議な猫さん『レンズ・キャット』のおはぎにご飯をあげて、新しいお水を用意してから自室の外へ。
「それじゃ……行ってきます！」
　帽子をかぶりお気に入りの涼しめの格好をして、桜花寮を出ました。
　朝の寝子島をのんびり散歩します。
「朝から、暑いなあ……」
　そうつぶやいた夏朝の耳に、聞き覚えのある曲が聞こえてきました。
「あれ、この音は……」
（ラジオ体操かあ、懐かしいな……）
　音のする方を見れば、寝子小がすぐ近くでした。
　校庭を覗けば子供たちがスタンプをもらっています。
（寝子島なら猫さんのにくきゅう風スタンプなのかな。ちょっと羨ましい……）
　はしゃぐ子供達の様子が微笑ましく、しばらくその様子を眺めていた夏朝でしたが。
「おなかすいた～」
　子供の一人の言葉が耳に飛び込んできました。
（そういえば僕も朝ごはんまだだった……喫茶店でご飯を食べて、古書店巡りでもしようかな）
　寝子島等の不思議な出来事の情報や、切望している願い（別人格との分離・共存）を叶える為の情報を探すためです。
（でも……今日は暑いからプールや海辺で泳ぐのもいいかも）
　お気に入りの水着も浮き輪も持ってきています。

　そんなことを思いながら店を探していると、小さなカフェが目に留まりました。
「猫と暮らすカフェ？」
　カフェ『ラヴィアンローズ』と書かれた看板のそばに、そんな説明書きを見つけ、夏朝は吸い込まれるように店に飛び込みました。
「いらっしゃいませ」
「ニャー」
　元気な黒猫と大人しい白猫が出迎えてくれました。
「こんにちは……」
　メニューを見るのも忘れて、猫たちに声をかけます。
　猫たちに釘付けになった夏朝は、しばらくここから離れられそうにありませんでした。
　　