生き残るのは誰だ！　アンチ納涼がまん大会！｜リアクション

生き残るのは誰だ！　アンチ納涼がまん大会！

　地獄に更なる暑さと熱さを注ぎいれる鍋焼きうどんタイム。苦しむ参加者の一方で、ユニークな動きを見せる者もいた。
「理事長～、どうせならあっついお汁粉食べたいのだー！」
うどんではなく別メニューを笑顔で要求する後木真央。実は消耗したカロリーを糖分で補給するための策でもある。また、つとめて笑顔を保つのは雰囲気作りのためだった。
「すまぬがご飯はいただけぬか」
夏神零は米を注文し、鍋焼きうどんの汁に加えておじやのようにしている。暑いときに食べる鍋もうまいものじゃ、と幾分柔らかな表情を浮かべてさえいるように見えた。さらりさらりと鍋を口に運んで
「唐辛子を入れるとうまいんじゃがな。あるか？」
とさえ言い出した。クールな表情とライバルたちを揺さぶる過激発言のギャップに極楽部屋が沸く。
「あるよ。適当にかけていい？」
すいと唐辛子が差し出される。なんと、先に逆巻天野が同様の注文をして唐辛子を手に入れていたのだ。うむ、頼む、という返事に天野は遠慮なく唐辛子をかける。零と天野は、辛味と熱さが苦手なものなら見ているだけで胃が痛くなりそうな、特製アレンジ鍋焼きうどんを口に運び始めた。

　志波武道は比較的元気だった。暑さを楽しんでいるようにすら見える。零、天野の辛味に強いチームに混じり、鍋焼きうどんに七味をどしどしと追加している。
「これはなかなか辛そうだ！　いやったー俺辛いの大好き！」
汗だくになりながらうどんをすする武道の元に、意味深な笑みを浮かべた宇佐美望月がやって来た。はあっと大きなため息をつく。
「やっぱりこの作戦は武道ちゃんには効かないかぁ」
「ひふわへねーだろほれはらいのはいふきはもん（効くわけねーだろ、俺辛いの大好きだモン）」
くいっとあごを上げ、こちらへ来いと招くように望月は語りかける。
「次はエクササイズタイムだぜ？　武道ちゃん……いい加減観念しなよ……シたいんだろ、脱衣？」
武道はぐっと言葉に詰まる。だがすぐに調子を取り戻して、いい笑顔で答えてみせた。
「ぐっ……でもね、望月くんのせっかくのお誘いだけど、オコトワリシマス！　一気にシたくてたまらないけどな、まだまだ耐えるぜ！」
「脱げよ、いつものように武道ちゃんの全てをさらけ出しちまいなよ」
「ちょ！　俺さっきから集中攻撃、個人攻撃じゃないですかヤダー！　理事長ー！」
呼ばれて極楽部屋の前に出た理事長・桜栄あずさ。その答えは簡潔だった。
「おもしろいからいいのよ」
公平でなくてもおもしろければいい！　強力な後ろ盾を得て、望月は邪悪に笑う。武道に対してだけ。
「どこまで耐えられるか見せてもらおうか！」
「こう見えても俺、負けず嫌いだからな。妨害されたら逆にがんばっちゃうぞっと☆」
楽しみにしてるからな、と告げて、望月は本来の役目である救護を行うため、ふらつき始めた参加者のもとへ駆け寄っていった。