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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
あくがるる蛍なりけり
*:..｡o *:..｡o
蛍もどき……いえ、蛍と呼んであげることにしましょうか。
何処がいいでしょうかね……。
噂の蛍たちに遭遇と相成ったフィンレイ・ランカスターは、歌詞探し改め蛍たちに想いを届ける場所を探す為に島内を散策中である。
思案のままに、淡い灯火たちを引き連れて夜の道をゆくその視界に、ふと見覚えのある建物が映り込んだ。
「おや……確かに、誰のお邪魔にもならない所を求めてはいましたが。こんなところまで歩いていましたか」
そこは寝子島イリュージョンランド。という名であったもの。
三夜湖のほとりにあるそこは、今は廃墟である。
しかしここはフィンレイにとって思い出深い場所。
新たな音楽に生きることを宣言した場所。
無意識って怖いですね、なんて微笑んでから、闇夜の静寂纏う野外音楽堂のステージへ上がった。
心なしか、先程よりも呼吸しやすそうに点滅を見せる彼らへ向いて、フィンレイはお腹の芯へ深く息を吸い込んだ。
羽を伸ばす様に伸びやかに、
或いは膝を抱えて密やかに、
思うまま、感じたまま、彼らと彼らの明日を想った歌が、空気に調和する。
恋の歌、愛の歌、日常の歌、果ては聖歌や子守歌まで、光一つ一つに感情を贈り届ける。
いつか誰かが歌った、誰かが紡いだ、どこかに仕舞われていた歌たちも、今この場でフィンレイが口ずさめば再び命が吹き込まれる。
ただただ、歌う事が好きなのだ。
疲れる事を知らない無垢な子供のように、何の負担も見せずフィンレイは紡ぐ。
好みがあるのだろうか。
それとも、求めている種類が違うのだろうか。
一曲一曲終わる度、輝きを増すコと淡いままに留まるコを確認しながら、
この場に居る彼ら全ての輝きが取り戻されるまで、フィンレイはメロディを奏で続けた。
まだ何も芽生えていない心で歌うなら 僕の名前も切ないだけ
この空が欠落（カケラ）になる前に Give me love
今日書いたばかりの、新曲歌詞案も胸によぎれば、即興で言葉たちに魂を宿し旋律にかえる。
込もるは、望まれて歌うことが出来る幸せ。
歓声や拍手を片翼の羽ばたく力に変えて、続ける決意となったけれど。
今はきっと、この蛍たちと同じ。
己の音楽を望んでくれる、求めてくれる想いが自分をどこまでも飛ばせてくれる。
取り繕うもののない、ありのままを魅せた歌声に、やがて力強く輝いた蛍たちが空へと還っていき始めた。
最後の一つがフィンレイへ、お礼の如く一度体の周りを舞ってから、他の光たちへ合流していくのをようやく唇閉じて見守る。
「……もの思ふ人の魂はげにあくがるるものになむありける……源氏物語、でしたかね」
音楽を創り出す者は、時に言葉に、知識にあかるい。
ストイックなまでに追い求めればどこまでも深くなるもの。
思い出すようにそう呟きながら、曇り空に一時の星を生む光景を見つめ続ける。
―― 蛍でないのなら時節柄尚の事……眠るべき魂だったか、それともほんの少し生きることに疲れた人から欠け落ちた魂だったかは分かりませんが。
あるべき形に戻せたでしょうか。
ようやく訪れ始める心地よい疲労感に心身を委ねながら、知らずに閉じた唇に笑みが浮かんだ。
不可思議と現実の狭間で、共に良い夢を見させてもらった心地がしたから。
求めてくれたものに応えられた実感を、この幻想的な光景が告げてくれたから。
常に人の理想に応えるのは、必ずしも易しいことで無い事も重々承知している。
けれど、『偶像』とも呼べるアイドルである理由は……
「案外……人としては単純な理由なのです」
蛍へか自分自身へか、最後にそう紡いでから、昇りゆく魂の光をいつまでも見送っていた。
蛍もどき……いえ、蛍と呼んであげることにしましょうか。
何処がいいでしょうかね……。
噂の蛍たちに遭遇と相成ったフィンレイ・ランカスターは、歌詞探し改め蛍たちに想いを届ける場所を探す為に島内を散策中である。
思案のままに、淡い灯火たちを引き連れて夜の道をゆくその視界に、ふと見覚えのある建物が映り込んだ。
「おや……確かに、誰のお邪魔にもならない所を求めてはいましたが。こんなところまで歩いていましたか」
そこは寝子島イリュージョンランド。という名であったもの。
三夜湖のほとりにあるそこは、今は廃墟である。
しかしここはフィンレイにとって思い出深い場所。
新たな音楽に生きることを宣言した場所。
無意識って怖いですね、なんて微笑んでから、闇夜の静寂纏う野外音楽堂のステージへ上がった。
心なしか、先程よりも呼吸しやすそうに点滅を見せる彼らへ向いて、フィンレイはお腹の芯へ深く息を吸い込んだ。
羽を伸ばす様に伸びやかに、
或いは膝を抱えて密やかに、
思うまま、感じたまま、彼らと彼らの明日を想った歌が、空気に調和する。
恋の歌、愛の歌、日常の歌、果ては聖歌や子守歌まで、光一つ一つに感情を贈り届ける。
いつか誰かが歌った、誰かが紡いだ、どこかに仕舞われていた歌たちも、今この場でフィンレイが口ずさめば再び命が吹き込まれる。
ただただ、歌う事が好きなのだ。
疲れる事を知らない無垢な子供のように、何の負担も見せずフィンレイは紡ぐ。
好みがあるのだろうか。
それとも、求めている種類が違うのだろうか。
一曲一曲終わる度、輝きを増すコと淡いままに留まるコを確認しながら、
この場に居る彼ら全ての輝きが取り戻されるまで、フィンレイはメロディを奏で続けた。
まだ何も芽生えていない心で歌うなら 僕の名前も切ないだけ
この空が欠落（カケラ）になる前に Give me love
今日書いたばかりの、新曲歌詞案も胸によぎれば、即興で言葉たちに魂を宿し旋律にかえる。
込もるは、望まれて歌うことが出来る幸せ。
歓声や拍手を片翼の羽ばたく力に変えて、続ける決意となったけれど。
今はきっと、この蛍たちと同じ。
己の音楽を望んでくれる、求めてくれる想いが自分をどこまでも飛ばせてくれる。
取り繕うもののない、ありのままを魅せた歌声に、やがて力強く輝いた蛍たちが空へと還っていき始めた。
最後の一つがフィンレイへ、お礼の如く一度体の周りを舞ってから、他の光たちへ合流していくのをようやく唇閉じて見守る。
「……もの思ふ人の魂はげにあくがるるものになむありける……源氏物語、でしたかね」
音楽を創り出す者は、時に言葉に、知識にあかるい。
ストイックなまでに追い求めればどこまでも深くなるもの。
思い出すようにそう呟きながら、曇り空に一時の星を生む光景を見つめ続ける。
―― 蛍でないのなら時節柄尚の事……眠るべき魂だったか、それともほんの少し生きることに疲れた人から欠け落ちた魂だったかは分かりませんが。
あるべき形に戻せたでしょうか。
ようやく訪れ始める心地よい疲労感に心身を委ねながら、知らずに閉じた唇に笑みが浮かんだ。
不可思議と現実の狭間で、共に良い夢を見させてもらった心地がしたから。
求めてくれたものに応えられた実感を、この幻想的な光景が告げてくれたから。
常に人の理想に応えるのは、必ずしも易しいことで無い事も重々承知している。
けれど、『偶像』とも呼べるアイドルである理由は……
「案外……人としては単純な理由なのです」
蛍へか自分自身へか、最後にそう紡いでから、昇りゆく魂の光をいつまでも見送っていた。
あとがき
担当マスター：
蒼色クレヨン
ファンレターはマスターページから！
蛍狩りお疲れ様でした！ 実は未だにリアル蛍を観たことのない蒼色クレヨンです。
いいなー…みてみたいなー……（羨）
げっふん。（ｷﾘｯ）ヒトの想いを求める蛍、いかがでしたでしょうか。
蛍を見る、の一言の中にキャラ様の数だけ物語が存在して
同じ「蛍（仮）」を描写していても、書くたび違う本に手をかけ読ませていただいている心地でした。
次はどのような物語かしら？ワクワク☆、とアクション拝読の段階から本当に楽しかったです♪
夏の思い出の１ページとして彩りを添えられていたらば、とても幸いです。
長い夏休み期間も早くも後半！
どのような思い出や青春を送られるのか、当方も全力で皆様を見守りながら（≒ストーカー）
またどこかの物語の一つでお会い出来れば嬉しく思います。
この度はご参加、誠にありがとうございました！
蒼色クレヨンでした☆
いいなー…みてみたいなー……（羨）
げっふん。（ｷﾘｯ）ヒトの想いを求める蛍、いかがでしたでしょうか。
蛍を見る、の一言の中にキャラ様の数だけ物語が存在して
同じ「蛍（仮）」を描写していても、書くたび違う本に手をかけ読ませていただいている心地でした。
次はどのような物語かしら？ワクワク☆、とアクション拝読の段階から本当に楽しかったです♪
夏の思い出の１ページとして彩りを添えられていたらば、とても幸いです。
長い夏休み期間も早くも後半！
どのような思い出や青春を送られるのか、当方も全力で皆様を見守りながら（≒ストーカー）
またどこかの物語の一つでお会い出来れば嬉しく思います。
この度はご参加、誠にありがとうございました！
蒼色クレヨンでした☆
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年05月03日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年05月10日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年05月10日 11時00分
