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たとえ今日が、終焉(おわ)りゆく明日の始まりだとしても
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夜の城に乗り込む
木野 星太郎
はまるで、暑い夏の日のキリギリス、ただしヴァイオリンを持たず、決して冬を見ぬキリギリスだ。重力を感じないように、軽やかなステップでネオンを見上げる。
「支配人(アーナンド)さぁん♪」
からりんと『プロムナード』の扉を両手で押し開け、星太郎はチャーミングな笑みを見せた。
「ナマステー。星太さーん、お久しぶりよー」
アーナンド・ハイイド
も同じ調子で、歌うように彼を出迎えた。アーナンドは、星太郎のことを『星太さん』と呼ぶほとんど唯一の知人でもある。
「なかなか来てくれなかったじゃないですか。寂しかったですよう」
えびす顔のアーナンドが言うと、あながち嘘にも聞こえない。実際、星太郎はこのところ忙しくしていて、少々のご無沙汰となったのは事実だった。
「んー、まあ色々野暮用があってね……経営者はつらいわ。でもようやく暇になったからもう心配御無用♪ というわけで今日は晴れて暇人として、女の子口説きに来ちゃったわよぉん♪」
「おやおや星太さんのお眼鏡にかなう娘がいるでしょかねー」
「……んふふ、アーナンドさんたら調子のいいこと」
半分冗談だけど、半分本気なのよね、と星太郎は言う。
「女の子とお話ししないと、潤いがすぐ抜けてっちゃうんだもの! プロムナードで潤い補給しないとね♪」
心のコラーゲン不足気味で、やや枯れた気分の星太郎なのだ。
「でも星太さんは美容師さんね? お仕事でお嬢さんたちに接する機会はたっぷりでは?」
ぺいっとチョップするような仕草を星太郎は行って、
「んもう、自分の店に来た客口説いたらそれこそ大問題でしょ?」
「おう、それはそうね。とすると今の星太さんは出逢い不足?」
「ちょっとぉ! キビシイ現実突き付けないでよぉ!」
ぷくっと星太郎は頬を膨らませてみせる。
「たしかにアタシの年だと街婚パーティーで色々ハネられることが多いんだけどぉ!」
ハハハとアーナンドは、アラジンのお話に出てくるランプの精みたく、両手でお腹を抱えるようにして笑った。
「まあまあ、でもウチならハネたりしないね。星太さんだからどの娘も喜んで相手するですよ」
「……んもう、夕顔ちゃん空いてたら早速慰めてもらおうかしらん?」
「おう残念、さっき指名が入って出ていったよ。ちょっと待ってもらってオーケー?」
そうねえ、だとすれば――と、星太郎は本日の出勤者一覧表を眺めた。
「あらん、九鬼姫ちゃんが空いてるの?」
「はいよう、すぐ呼べるよ-」
「じゃあ、この間のブリーチ大丈夫だったか確認しちゃおうかな?」
「ラジャーよ。はい、一名様ご案内ね~!」
九鬼姫
(くきひめ)は、おおよそ接客業には向かないキャバ嬢である。
愛想をふりまかないし、酌だってろくにやらない。敬語なんて覚える気もなく、「~じゃ」という独特の語法で話す。相手の話を聞くという最低限の業務にしたところで、相槌だけでもすればまだ良い方、気が乗らなければ「退屈じゃ」と堂々と欠伸したりする。
一般的なキャバクラであれば、まずやっていけないだろう。そもそも採用になったかどうかすら怪しい。当然指名だってそう多くはないのだけれど、このマイペースすぎるところに魅力を感じる客もいるらしく、少数だが熱心な固定ファンもいた。
それでも、馴染みの星太郎相手なら、たいてい嬉しそうな顔をするはずの九鬼姫が、
「……おう、そちか」
今日ばかりは、笑顔も見せずなんだかだるそうに、ぺたぺたと雪駄履きで星太郎の席を訪れた。
今宵の『プロムナード』は浴衣ナイトと題し、すべてのキャバ場が浴衣姿で接客をしている。九鬼姫も例外ではなく、初披露となるみずみずしいアクアブルーの地、白い花とハチドリが彩る浴衣姿だった。
けれども席を見て、「うむ」と九鬼姫は一声洩らすと目を緩めた。機嫌を直したようにそそくさとソファに収まった。
「ハァイん♪ ソファーいつも通りにセットしといたわよん♪」
星太郎はちゃあんと知っているのである。九鬼姫の好みの配置を。
なぜだか知らないがクッションを肘かけよろしく両脇に置き、玉座のようにして座ることを九鬼姫は好んでいた。このとき、その準備はとっくにできあがっていたのだ。
何も言わずに準備できていたことが彼女を喜ばせたようだ。つかみはOKというやつだろうか。
「よい心がけぞ」
「今日は何飲む? 高い方? それとも飲みたい方?」
九鬼姫は返事せず天井を見上げた。その空間に綻びでもあるかのような顔をして、口を真一文字に結んでいる。
どうしたのだろうか。
けれども星太郎がつとめて明るく、
「黙ってるとアタシがビアカクテルで遊んじゃうわよん♪」
と呼びかけたので追いかけるように、
「うん。それでいい。とくに希望はない」
ぽつりと答えて顔を戻したのである。
エールビールとシロップを使い、あとからジンジャーを足した星太郎特性のシャンディガフができあがった。
「もらうぞ」
九鬼姫は無造作にグラスを手にとって、星太郎のグラスに軽く当てた。
「じゃ、今夜に乾杯♪」
「おう」
と言ったかと思いきや、ほとんど一息で九鬼姫はグラスを空けている。
「うまい。おかわり」
「あら今日は速いペースじゃない? どうしたの?」
「なに、喉が渇いておってな」
アルコールが入ったためか、九鬼姫の頬にはほんのり紅がさしていた。ぼんやりした状態からもいくらか立ち直ったようだ。
「それでね」
うまいと言ってもらえたのは何気に嬉しい。そそくさと二杯目を作りながら星太郎は言う。
「アタシ、今日は九鬼姫ちゃんの髪の調子を確認しに来たのん」
「ああ、先だってもらったものじゃったな」
「アレ業者の勧めてきた新商品だったから、抜け具合が気になったのよねぇ」
ブリーチの話をしている。
先日星太郎は、業者がサンプルを持ってきたのでお裾分け、という名目で無料で九鬼姫に処理をした。九鬼姫はその話を信じているようだが、実際は星太郎が自腹で購入したものである。彼女が経済的にあまりいい状態にないことを知っていて世話を焼いたものだ。
そうしないわけにはいかなかった。
九鬼姫の頭髪は、まばらながら全体として白くなりつつあるのだった。
ずっと彼女の髪を見ている美容師として、星太郎はそのことを知っている。
九鬼姫が、自称するように五百年前からやってきたタイムトラベラーなのかどうか、星太郎にはわからない。
けれど彼女が、なにかに蝕まれるかのように、日一日と衰えつつあることを彼は敏感に感じ取っていた。
すくなくとも髪は。
あるいは、心も。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年04月27日
参加申し込みの期限
2019年05月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年05月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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