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たとえ今日が、終焉(おわ)りゆく明日の始まりだとしても
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その現実を、直視せざるを得ないほど痩せていた。
肉付きが落ちたという程度では済まない。頬はこけおち、軽く挙げた腕も針金のようになっている。もう、ほとんど別人だ。
しかし穏やかだった。
やあ、と片手を上げた
香川 王堂
、かつてドクター香川ないしドクトル香川と呼ばれた男は、まるで悟りを開いた人であるかのように、穏やかな笑みを浮かべていたのである。
白い床に白い壁、白っぽい消毒液の匂い。朝の病院はすべてが白い。
四人部屋のようだがこの日、病室のタグには王堂一人の名前しかなかった。
「来てくれて嬉しいよ」
きっと本心なのだろう。ベッドから身を起こし、王堂は屈託なくそう告げた。
壁際の椅子に座っていた青年が、さっと立ち上がる。
「きみが
鴻上 彰尋
君だね。僕は弟の
香川 道太郎
というんだ」
よろしく、と名乗った彼こそ、噂に聞く段ボール芸術家
アルチュール・ダンボー
に違いない。名前や職業からもっと奇天烈な印象の人かと思っていたが、こざっぱりした服装のせいもあろうか、爽やかな印象しかない。
「これ、お見舞いです。大したものじゃないですが」
彰尋は、小さなバスケットに入ったアルストロメリアのブーケを差し出した。
「わざわざありがとう」
道太郎が両手で受け取ると、
「感謝するよ。部屋が華やぐなあ」
王堂も目を細めた。
白すぎるこの部屋に、緋色と黄色の花が色彩を加えたように映った。
「それと……プリンです」
総合病院そばの洋菓子店で購入した小さなパッケージを取り出す。
彰尋は王堂の様子をうかがっていた。容態次第では食べ物は受け付けられないかもしれない、と不安視していたからだ。
でも、大丈夫だったようだ。
「ありがとう。私はこう見えて大のプリン好きなんだ。よく知っていたね」
「兄さんはお酒と一緒にプリンを食べたりしていたからなあ」
道太郎が告げると王堂は声を上げて笑い、穏やかなムードが流れた。
「色々とありがとう鴻上君。じゃあ僕は少し外すよ」
道太郎が立ち去ると、広い病室に彰尋は王堂と差し向かいになった。
勧められるまま、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。
「最近調子はどうですか? 暑くなっていますが」
「容態? 安定している。ここ数日はちゃんと眠れるし」
王堂は気丈に言うのだが、やがてその空虚さを知ったのか、
「いや……まあ、安定して悪いほうに滑り落ちていっている、というのが正しいだろうな。おかげで、一日一日が愛おしいよ」
彰尋は、王堂の言っている意味が理解できた。禍々しいので頭に浮かぶたびに脇へのけようとするのだが、どうしても『死相』という言葉がちらついてしまう。
「……君と会うのも、これが最後になるかもしれない」
「そんな気弱なことを言わないで下さい」
やっとそれだけ言うことができた。それ以上は、胸が詰まって言葉が出てこなかった。
「すまん。無神経だった」
王堂は頭を下げた。
「来週、手術なんだ。もし運良く回復したら、ゆっくり寝子島観光をしてみたいな。観光名所みたいなところだけじゃなく、古い商店街とか神社とか、地元の人しか知らない店とか、見てみたい……」
救われたような気持ちで彰尋は顔を上げる。
「そのときは、喜んで案内しますよ」
「頼むよ」
短い沈黙があった。
王堂は、彰尋の言葉を待つような顔をした。
言いたいことがあるんじゃないか――と言っているかのようである。
彰尋は迷った。
確かに言いたいことはあった。
しかしそれは、かつて、蛇のような毒気を放っていた香川王堂が相手であればたやすく言えたであろうことだった。現在の、漂白されてしまったかのような彼に投げかけるべきかどうか。
それでも、できるだけ言葉を選びながら彰尋は言った。
「色んなことがあって、香川さんのやろうとしていた事を阻止したわけなんですけど……こんな言い方変かもしれませんが、香川さんのしようとしていたことを全部否定する気になれません。これが俺の本心です」
思い切って口にできたのは、彰尋が心のどこかで、このまま彼が亡くなってしまい、やがて忘れられてしまうことを悲しく思っていたからかもしれない。
王堂は口を挟まず黙って彰尋の言葉を聞いた。そうして、おもむろに口を開いた。
「まず先に言っておくと、阻止してくれて良かった、というのが偽りのない気持ちだ。すべての人の願いがかなう世界を実現したい、という動機からの行動だったが、それは、大いなる矛盾をかかえた脆い世界でしかなかった。そもそもは……」
ここで王堂は短く咳き込んだ。落ち着いてから、
「そもそもは、現実をねじ曲げる力の源が寝子島にはあること、うまく利用すればこんなに大きなことができるのだ、という自分の研究成果を目にしたいというのが出発点だったのだから、独善以外のなにものでもなかったわけだが」
「独善だとしても」
なんとなくですが、と彰尋は言った。
「中身は覚えていませんが……少なくとも俺に関しては、その異世界について悪い印象はありません」
「だとしたら、良かったよ……」
王堂は、『アムリタ』という世界で彰尋が選んだ将来を知ってるようだが、それについては一切語らなかった。
「さて」
満足気にうなずくと、王堂は身をベッドに横たえた。
「これから少し眠るつもりだ。もう気弱なことを言うのはやめたよ。また会おう」
「ええ、また。きっと」
あまり長居をするべきではないだろう。別れを告げて彰尋は立つ。
病室を出かけたところで彰尋は一度振り向きかけたが、止めた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年04月27日
参加申し込みの期限
2019年05月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年05月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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