故郷での夏休み　セカンドシーズン｜リアクション

故郷での夏休み　セカンドシーズン

●実家に帰ろう

　７月下旬。
　真境名アリサは、少し早めの夏休みを職場である水着ガールズバー『ジュエル』からもらった。
「お店、休んでいいの？」
　店長にそう訊ねると、副店長になってから休むことなく良く働いたのでそのお礼、ということだった。
　休み明けには、また忙しくなるだろうから実家でゆっくりしておいで、という気遣いもある。
「店長、ありがとう！　お言葉に甘えて、お休みをいただくわ」
　故郷である沖縄でゆっくりするわよ、と張り切るアリサだった。

　８月上旬。
　ヒュー・ヒューバートは新進気鋭のフォトグラファー。
　城山水樹は「STeLLA GIRLS」の専属モデルであり、コスメブランド「Sonora」イメージガール。
　ともに多忙な身だが、スケジュール調整でぽっかりと休みが取れたりすることもある。
　２人の休みが偶然にもピッタリ重なったので、ヒューが芸大の写真学科を卒業するまで過ごした母方の実家に行くことに。
　ヒューの帰省に同行するというかたちだが、水樹は彼の実家に同行することに。
（京都だから……趣（おもむき）がある平屋とか、長屋なのかしら？）
　いろいろと想像し、早くヒューの母方の実家がどんなところか見たいわ、と思う水樹だった。

　響タルトは県内出身だが実家は寝子島外にあり、両親はそこに住んでいる。
「夏休みに一緒に実家に帰ろう～♪」
　今年、寝子高に入学した弟に声をかけたが断られたので、仕方なく、ひとりで帰ることに。
（一緒に帰れると思ったのになー。ま、いっか♪）

　伊藤佳奈は、伊藤美緒の付き合いで美緒の実家がある伊豆大島へ。
　高祖父同士が兄弟で、美緒の家が本家にあたる。
　本家の伊藤家は道場を開いており、佳奈の家の道場とは昔から夏と冬に合同練習や練習試合を行っている。
　美緒も地元では敵無しの腕前だが、佳奈には練習試合で一度も勝ったことがない。
　そのため佳奈をライバル視しているが、高校は地元の高校ではなく寝子高を受験。家同士の話し合いで佳奈の家に居候することとなった。
（今度こそ、今度こそ、今度こそ、ぜ～ったい佳那に勝つんだから！）
　帰省しても、実家でゴロゴロしている場合ではない。今度こそ……と、隣にいる佳奈をキッと見据える。
「美緒ちゃん、どうしたの？」
「な、何でもないわよっ！　美緒の家についたら勝負よ！」
「いいよ。それはそれとして、着いたら大島を満喫するよ～」

　レモンクリームのワンピースに着替え、髪をおろし、ワンピースに合ったミュールを履いた落合まゆらは、旧市街のアパートの戸締りを確認。
「窓の鍵よし、ガスの元栓よし。あとは玄関の鍵をかけるだけね」
　ちゃんと戸締りがしてあるのを確認し終えたので玄関の鍵をかけ、日傘を差してアパートを後にした。
　暑い中、徒歩で向かうのは寝子島駅。
　電車の出発まではまだ時間があるので、色々と土産物を買うことに。
「あんまり買いすぎて持ち運びが不便になるのも考えものだから、実家の分だけでいいわね」

　それぞれの交通手段を利用し、７人は各々の帰省先へと向かう。

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