携帯戦記カプセルギア・スピンオフ　ゲームの中の大冒険！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア・スピンオフ　ゲームの中の大冒険！

☆捕まった三人

　小学６年生の深谷博士がゲームに入り込んだとき、ステータスには『次期王室学者として勉強中』という説明が書かれていました。
「ここが僕の部屋か」
　そうつぶやいて部屋を眺めていると、突然数人の男たちが押し入ってきました。
「な、なんだ？　何するんだ？！」　
　攫われながら、カプギアのアトラの名前を呼ぼうとする博士ですが、口をふさがれてしまいそれは叶いませんでした。

『博士？！』
　博士のカプギア、アトラが部屋に着いたときには、博士の姿はどこにもありませんでした。
『荒らされた部屋、靴のあと、誘拐の確率が高い。捜索開始』
　アトラは冷静に分析し、すぐに行動を起こしました。
『無事でいてほしい』
　そのロボットらしいフォルムに似つかわしく鈍感なところもありますが、アトラは人間らしいカプギアなのです。

　漁良太のゲーム内の役割は『護衛騎士』でした。
「タイラと博士がピンチだぜ！　イサリビ丸、オレをここから出してくれー！」
　しかし、タイラと博士を助けようとして失敗した良太も、敵に捕らわれてしまったのです。
『いや、その前に応援を呼ぶべきだ。待っていてくれ』
　良太のカプギアである、キングシャークのヘッドパーツのイサリビ丸は、辛くも脱出に成功していました。
（救出しにいって逆に良太が捕まるとはなんたる不覚……。流石に自分だけでは助けることも難しいだろう）
　イサリビ丸は、良太を含めて助けるための人手を集めに旅立ちました。
（バルティーグルとアトラ、彼らを探して、協力して自分のマスター達を救出しにいこう）

（捕まっちゃった……僕達どうなるんだろう……）
　良太とタイラのいる部屋に連れてこられた博士は、不安な思いで周囲を見回しました。
　タイラ・トラントゥールは、王族として継承騒動で囚われてしまったのでした。
（なぜボクがこんな目に……それに良太や博士まで）
　タイラは、共に囚われた博士や良太の事を内心とても心配してしていました。
（どうにか脱出できないのか）
　しかし２人を利用されぬようにと、冷たい態度で気のない素振りを見せます。
「こんな事をしてただで済むと思っているのか！？」
　敵をにらみつけるタイラですが。
「そうだ、タイラと博士を放せ！」
　暴れる良太に、
「麗しい友情だなあ？　だがうるさい、大人しくしろ！」
　ムチを振り下ろそうとする看守。　　
「やめろ、そいつらは関係ない。手を出すな！」
　必死でタイラは訴えます。
「関係ないなら放っておけばいいではないか？　それともお前が代わりにムチを受けたいか？」
　看守はニヤニヤしながらタイラに答えるのでした。
「ぐっ……！　やれるものならやってみろ！」
　言い返すタイラに、看守は楽しそうに向かってきます。
「やめろ！」
　止めようとする良太は、足の鎖に阻まれてそれ以上進めません。
（タイラ君……きっとアトラ達が助けに来てくれる）
　そんな思いを込めて、博士は怒りをこらえるタイラを見つめます。
（くっ、大人しくしているしかないのか）
　タイラは歯噛みしながら屈辱に耐えるのでした。