携帯戦記カプセルギア・スピンオフ　ゲームの中の大冒険！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア・スピンオフ　ゲームの中の大冒険！

（己の不在で主が囚われるなど不覚）
　タイラのカプギア、霊獣白虎を模した機体のバルティーグルは、草原より城へと急行し姿を隠し潜入しました。
（何かいる？！）
　気配を感じ豪爪で襲い掛かるバルティーグル。
　しかし見覚えのある相手に、すんでのところで爪を止めました。
『なんだ、お前か……』
　突然襲いかかってきた爪に防御態勢をとったアトラも、相手の姿を見て警戒を解きました。
『貴方はバルティーグル。なぜこのような場所にいるのですか』
　尋ねたアトラに、バルティーグルはそっけなく答えました。
『主の姿がない。一刻も早く主を救出するのみ』
『……王位継承絡みと考えて良いでしょう。博士もきっと一緒のはずです』
　そこへ、イサリビ丸も現れました。
『バルティーグル、アトラ、ここだったか。主たちが攫われた。場所はおおよそわかっている』
　青年風の落ち着いた口調で話すイサリビ丸を、バルティーグルが威圧します。
『下らぬ話をする時間が惜しい。所在を知るなら早く話せ』
（主奪還の為に２人を利用するか。だが足を引っ張るのなら容赦はしない）
　そう思っているバルティーグルです。
『城の地下に囚われているが、タイラは鳥篭に入れられていて監視もきつい。タイラの救出は一番難しいだろうからまずは博士か、良太だな』
『なるほど。手荒なことはしないと思いますが急ぎましょう』
　イサリビ丸の説明にアトラはそう答えましたが、バルティーグルは苛立ちを見せました。
『主さえ無事なら他がどうなったとしても構わぬ。傍付きとして居ても役に立たぬ奴等ではな』
　その言葉に、今度はアトラが反応します。
『役に立たない……？　どういう意味ですか。バルティーグル貴方はいつも言葉がすぎる、もう少し言葉を選ぶべきだ。私のことは言われても構わないが博士を侮辱するならば許しません』
　声を荒げるわけではありませんが、アトラは静かに怒りを表しました。
『お前に許されずとも関係ない。ぐずぐずするなら置いてゆくぞ』
『そもそも貴方は!』
（バルティーグルとアトラはなかなかに相性が悪そうだ。どうにも険悪な雰囲気になってしまったが）
　寡黙なイサリビ丸は仲裁にも入れず、どうしたものかと考えていましたが。
「侵入者だ！　排除せよ！」
　そこで、こちらを発見した敵の声が上がりました。
『敵襲だ。話の途中で悪いが、奴らの相手をしてもらおう』
『……敵襲確認、戦闘態勢に入る』
『チッ、ザコ共が。邪魔するものはこの爪で切り裂く』
　舌打ちしたバルティーグルは、アトラとイサリビ丸と共闘を始めるのでした。
（姿を消し先行く事も出来るが手勢はあるほうが良いか）