携帯戦記カプセルギア　練習しよう、カプギアアスレチック！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　練習しよう、カプギアアスレチック！

「ようこそ、カプギアアスレチックへ！」
「わわっ！」
　強引に引き込まれるようにして、滝原レオンはアスレチックのロビーに引き入れられた。
（まずい･･････）
　レオンは内心、冷や汗をかく。
　カプセルギアに興味はあった。
　新装開店のアスレチックは、ギアを始めるにはちょうど良い機会だと思った。
　だが、今日のレオンは･･････。
「お姉さんは、カプセルギアは初めてですか？」
「え、は、はいっ！」
　覗き込んでくる女性インストラクターに、慌てて答える。
　そう、今日のレオンは女装を楽しんでいた。

　秀麗な顔立ち、華奢な体躯の彼、フェミニンなファッションもよく似合う。
　気合いばっちりで、いつもと違う自分を楽しもうとしていたのだ。
　だが、新しいことにチャレンジするとなると、具合が悪いかもしれない。
　――そして、それ以上に問題なのが。
「あ、あの、お･･････私、機械、苦手なんです･･････」
　そう、レオンは自他共に認める機械音痴。
　新しく買ったスマホだって、正直よくわからない。電話をかけるのだってやっとだ。
「女の人ってみんなそう言いますよね！　でも大丈夫！」
「平気なのか･･････なんですか？」
「私も苦手でしたけど、ここの初心者講習なら大丈夫。お姉さん、きっとカプギアに向いてますよ！」
「ええっ。ちょ･･････ちょっと」

　強引だが気のよいインストラクターに誘われて、
（まあ、それくらいならいいか･･・･･･）
　とレオンは参加を決める。
　レオンを女性だと思い込んでいるインストラクターに悪いような気もしたし。
「ええと、まずアプリをインストールします」
「なんか詐欺電話とかかかってきませんか？　コンピュータウイルスとかで風邪がうつったりとか」
「大丈夫ですよ――それじゃ今日は初めてなので、こちらのエントリーモデルを使ってみてください」
　手渡されるのは、一体のギア。
　レオンはそれをじっと見つめる。
　いわゆるアニメのロボットっぽくない、テレビで見たことのある二足歩行ロボットと、マネキンの中間のような形だ。
　円形を中心とした優美な曲線が、女性らしさを醸し出している。
（こういうのも、あるのか）
　大量生産のおもちゃではない。ずっと精巧で緻密な代物だ。
　フィギュア･･････いやもっと、ビスクドールのような一品ものの暖かみがある。
（それとも･･････あいつら･･････）
　レオンの連想するのは、もちろんぬいぐるみ。
　不思議とギアから連想するのは、彼らのぬくもりだった。
　女装姿のレオン、感覚も鋭敏になり、普段では見過ごしてしまうものも感じ取れることがある。
　すくなくとも、エントリーモデルの粗悪さは感じられない。

「それじゃ、試しにやってみましょう。この画面をフリックして」
「ふ、フリックって何ですか？」
　

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