夜、三夜湖の畔にて～１０００年に一度開く扉～｜リアクション

夜、三夜湖の畔にて～１０００年に一度開く扉～

●後日譚～再び、何でも屋『いぬもり』にて～

　翌日、何でも屋『いぬもり』にて。
　御巫時子が三夜湖での出来事を纏めた１枚のルーズリーフを手に、
「……しかし、翼獣が異世界からの客人だったとはな……」
　と、犬杜一閃は感じ入ったように声を漏らした。
　その声を耳に、時子は、しっとりと微笑む。
　仕事が忙しいのは喜ばしいことだとは思いながら、昨晩のことを、一閃に伝えたくもあった時子だ。
「お役に立ちましたか？　あのノートに挟んでもらえると、嬉しいです」
「ああ、そうする。有り難う、御巫。……そうだ、恵御納」
　一閃の眼差しが、恵御納夏朝の方へと移った。
　一閃の手が、夏朝が持ち込んだ、あの場に存在した諸々のスケッチやメモを広げる。
「この絵が、御巫から聞いたお三夜さまの眷属見習いか？」
「うん、そう。睦君だよ」
「じゃあ、こっちの子猫は？」
「そっちも、睦君」
「睦さんは、猫の姿が本当の姿みたいなんです……」
　夏朝と時子の言葉に、一閃は「成る程……」と興味深げに唸った。
「そういえば睦君、見習いは卒業できたのかなぁ？」
　のんびりとした声音で言って首を傾けるのは、呉井陽太だ。
　陽太もまた、昨晩のことを報告するために、何でも屋『いぬもり』を訪れている。
「できてたら、いいね」
「だよねぃ。子供の翼獣たちも、皆、満足してくれたみたいだったし」
「だが、呉井の話だと、随分な大騒ぎになったらしいな」
　その辺りのことを一閃に話して聞かせたのは、主に陽太だ。
　少し心配顔で言った一閃へと、時子は歌うように言う。
「きっと、大丈夫です。とても素敵な夜でしたから……」
「うんうん、オレもそう思うよぅ。翼獣の皆、楽しそうだったもんねぃ♪」
　それに、オレたちだってムクたちに会えたし、と、口元に笑みを乗せる陽太。
　和やかな時間の中で、夏朝は、
（一閃さん達も今度は、フツウを壊さない存在が開く催しを、一緒に楽しめたらいいなぁ）
　と、そんな願いを、胸の内に光らせる。
「改めて、皆、有り難う」
　言って、一閃は、深く頭を下げた。

　テーブルの上には、ルーズリーフやスケッチ達の姿。
　不思議な夜の記録は、射し込む陽射しに、鮮やかに煌めいている。

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あとがき

担当マスター：巴めろ
ファンレターはマスターページから！

お世話になっております、ゲームマスターの巴めろです。
まずは、ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました！

ずっと書きたかった、三夜湖の伝説絡みのお話。
夜の三夜湖での宴会、皆様のアクションのお陰で、とても賑やかな時間になりました。
リアクション、お楽しみいただけましたらすごくすごく嬉しいです。

また、睦は、皆様のお力添えのお陰で、無事見習いを卒業したようです。
もしどこかでご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。

重ねてになりますが、ご参加くださった皆様に心からの感謝を。
この度も、本当にありがとうございました！

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