動物と暮らそう｜リアクション

動物と暮らそう

◆
　碧南とカケルが、山道を爆走している。
　その前をやはり爆走するのは、島岡雪乃先生が駆る雌ライオン。
「どうしました！？　チーターの俊足はそんなものですか！？」
　先生の声は熱を帯びていて、碧南たちへと向けられた視線はギラギラと輝いている。
　碧南は預かり知らないことだが、すでに一戦負けているせいもあるのだろう。
　急な曲がり角に身体を引っ張られながら、碧南はカケルに視線を向ける。
「大丈夫？」
　返事はない。しかし慣れない山道に、普段通る道よりも激しい起伏に、カケルが揺さぶられているのは確かだ。
　わかってはいたことだ。山道じゃ不利ということは。
　頭をかき回されるような連続カーブが終わり、樹々の間を貫く真っ直ぐな直線が見えた。
　それを抜けた先に、ゴールがある。
　先生とライオンは、既に直線に乗ってトップスピードへと至ろうとしている。
　差は歴然。
　それでも、碧南はカケルを信じていた。
「カケル！」
　碧南の声に、カケルが応える。
　地上最速の生物にふさわしい、風を置いていくような加速。
　その加速の圧を感じ取ったのか、ライオンもまた加速する。
　けれどその差は見る間に縮まっていき、そして先生のライオンを、カケルが半歩抜く。
　カケルがゴールしたのは、その直後のことだった。
「あともう少しだったのに……。これが地上最速の俊足、流石です……！」
　ライオンに乗ったまま、悔しそうに島岡先生が呻く。
　そんな彼女に、碧南はバスケの試合後のようなやりきった笑顔を向けた。
「楽しいレースでした！　ね、カケル？」
　うなずくようにカケルが吼える。
　愛獣の頭を撫でながら、碧南は「そうだ」とひとつ呟く。
「温泉よって帰ろうか。いい汗かいたし」
　同意するように、カケルは一声鳴くのだった。
　――こんなふうにして、動物たちとの日々は過ぎていく。

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あとがき

担当マスター：風雅宿
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動物と過ごす寝子島、いかがでしたでしょうか。
お楽しみいただけましたら、幸いです。

なお今回のリアクション中では、実際の動物の生態とは異なる……有り体に言えば間違った表現もいくつか入っています。
ですが今回は正確さを優先したシナリオではなく、動物たちと日常を過ごすことに充填を置いたシナリオです。
ですので、基本的にアクションに沿うことを優先させていただきました。

それでは、またどこかで。

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