動物と暮らそう｜リアクション

動物と暮らそう

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　またたび市動物園、猛獣エリアにある狼舎。
　数頭のオオカミが、屋根の下の日陰に座ってのんびりと過ごしている。
　なかでも目立つ白い毛並みの一頭は、またたび市動物園のハイイロオオカミたちのメスα、ビアンカだ。
　同じ体勢でずっとのんびりしていたら、体が固まってきたのだろうか。
　ビアンカは立ち上がると、足を突っ張らせてぐぐっと伸びをひとつ。
　それからふとなにかに気づいて、視線をガラスの囲いの外へと向けた。
　他のオオカミ――ビアンカの子どもたちも、それに続く。
　囲いの向こうに、アーサー・Ｔ・シートンとクルトが居た。
　アーサーがにこやかに手を挙げると、ビアンカたちはわっと駆け寄ってきた。
　飛びつかんばかりに前足をガラスにくっつける様子は懐いたイヌのようで、でもどこか身軽でスタイリッシュ。
　そんな妻や子どもたちの様子に、クルトはクルトでそわそわしているようで。
　そんな彼の姿に、アーサーは微笑ましげに口元をほころばせた。
　クルトを連れてアーサーが狼舎の中へ入ると、クルトはすぐにもビアンカたちのもとへと駆けていく。
　ビアンカとクルトがじゃれはじめると、子どもたちはその周りに座り込んだり、一緒になってじゃれついたり。
　その様子を眺めていたアーサーのほうへ、子どものオオカミが一匹小走りにやってくる。
　抱きつくみたく両の前足をあげたその子を、アーサーは微笑んで抱きかかえる。
　健康的な重みを、腕のなかいっぱいに感じる。
　ぺろぺろと舌が頬を撫でるのが、すこしくすぐったい。
　なんてやっていると、今度はクルトがアーサーのほうへ戻ってきた。
　他の子どもたちもそれについてきて、撫でてとばかりにお腹を見せてころんと転がる。
　格好いいイメージとは違うけれど、これもまたオオカミたちの姿のひとつ。
　お腹をやさしく撫でながら、アーサーはクスりと小さく笑みをこぼした。
「今日も、いい感じに元気ですね。クルトも、みんなも」

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