アニメ『らっかみ！』のファン感謝デー｜リアクション

アニメ『らっかみ！』のファン感謝デー

　瞼を開けると薄暗い天井が見えた。
　片山修は何度目かの溜息を吐いた。
「……二度寝もダメか」
　呆れたような声で布団から起き上がった。壁のスイッチで明かりを点けると椅子に座った。くるりと回って机と向き合う。引き出しを開けて人形のストラップを取り出し、順々に机上に並べていく。
　テレビアニメの『らっかみ！』に登場するキャラクターであった。女性がずらりと並んで修は苦笑した。
「俺は男だし」
　ツインテールの人形を手にした。愛らしい美少女で青い瞳が印象的に映る。
「七夜あおいはやっぱり可愛い……」
　別の手が一体の人形を掴む。頭頂から一束の毛がぴょこんと飛び出していた。
「ののこもいいな」
　各人形を愛でながら時間を過ごした。
　カーテンに朝陽が当たる頃、男性の人形に目が向いた。アシンメトリーの髪に自信を覗かせる笑みが優等生を思わせる。
　――八神修は男だけど、名前と高校が同じ。クラブも一緒で写真部なんだよなぁ。
　別の引き出しに手を掛ける。一眼レフデジタルカメラを両手で包むようにしてそっと取り出す。
　カメラのセッティングを終えると人形を元の引き出しに戻した。家族に見られないように鍵を掛ける。
　――わくわくして満足に眠れなかった。その分、イベントは楽しまないと。
「……声優に会える」
　修は笑みを堪え切れなかった。

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