天候に恵まれた日曜日。朝の時間帯もあって電車内は空いていた。
閑散とした中、
三島 さやかは立っていた。扉の窓から流れる景色に目を輝かせている。
電車は寝子島大橋に差し掛かる。光の草原を思わせる海に目を丸くして感心するような溜め息を吐いた。
間もなくして島の玄関口、寝子島駅に到着した。扉が開く前から前のめりになる。
開いた瞬間、さやかは飛び出した。ショートの黒髪が躍動する。染み一つない若々しい肌は朝陽を弾いた。淡いピンクのチュニックに七分丈のデニムは活動的で、真新しい赤いスニーカーは情熱の色に燃えていた。
軽やかに改札を抜ける。出迎えた赤い丸型のポストに興味を示し、猫のオブジェには笑みを浮かべた。
「ここが寝子島なんだね」
好奇心を前面に出して足を速めた。旧市街の程良く古びた建物に目を細める。人通りの少ない裏道にも入り込んだ。見掛けた薬局に嬉しそうに駆け寄った。
「ここはアニメで使ったね」
満足した様子で少し大きな通りに出た。九夜山を右手に眺めながら猫又川を渡った。シーサイドタウンに入ると力強さが増してきた。
さやかは歩く速度を上げる。校舎の一部が見えてきた。靴底を鳴らして止まった。寝子島高校の正門に笑顔で頷く。
「ここが寝子高かぁ……」
感慨深げな視線を送る。
瞬時に表情を変えた。眉尻を上げて不敵な笑みを作る。
「小さな身体に無限の可能性を秘めたスーパーレジェンドの小萩なのです!」
愛らしくも堂々とした声で決め台詞を口にした。最後は困った時に使う、
ぬーで締め括った。
「急いだ方がいいかな」
左手首の腕時計が時を告げた。
寝子島シーサイドタウン駅に併設されたmiaoの最上階にはシネマコンプレックス「kenzakiシネマねこじま」がある。六つのスクリーンは島内最大の規模となっていた。
大量の観客を見込んだ自動ドアの横には、それに見合う看板が聳え立つ。丸っこい子猫が四隅に描かれ、中央には
「アニメ『らっかみ!』イベント会場」と書かれていた。
さやかは看板を目にして軽く息を吐いた。
「おはよう。早くにきたんだね」
「あ、監督。おはようございます」
声の方に振り向いて一礼すると、にっこり笑って言葉を続ける。
「アニメの舞台になったところなので気になって。朝から見て回っていました」
「僕の生まれ故郷はどうだった?」
小太りの監督は期待に満ちた目で聞いてきた。
「監督の口癖ではないですけど、
『とても素敵なところなんだよ』でした。もう少し見学する時間が欲しいと思いました」
「そうだろう。でも、今はイベントに力を入れて欲しい。今回、僕は裏方だからね。主役は君達、声優だよ」
「わかりました。アニメの
本条 小萩らしく
『控え目に言っても天才的な小萩に全て任せるのです!』の気持ちでがんばります」
「それだと羽目を外しそうで、なんだか怖いんだけど」
監督は笑いながら言った。
「そんなことはないですよ~」
釣られてさやかも笑う。
二人は揃って映画館に入っていった。
――アニメ『らっかみ!』のイベントが華やかに始まる。
今回のシナリオは年末大感謝祭☆お年玉おみくじキャンペーン!で、
見事ににゃんぞろを出された本条 小萩さんの希望した内容のシナリオを元にして作られたお話になります。
「もしも『らっかみ!』がアニメになっていて、PCが声優やファンだったら」を実現した内容になっています。
はい、少しややこしいですね。下記に詳細を書き連ねていきますので、是非、ご覧になってください。
今回の舞台
ここは『らっかみ!』がアニメになっていて、広く浸透しているもしもの寝子島。
アニメ『らっかみ!』の寝子島には「ののこ」も「あずさ理事長」も「あなたのPC」もいますが、
今回の『もしもの寝子島』には「ののこ」や「あずさ理事長」や「あなたのPC」はいません。
※自分のPCはアニメのキャラクターになっていなくて、もしもの寝子島にいるという設定も可能です。
その場合でもNPCやあなた以外のPCは、全員がアニメキャラクターになっています。
アクションで出来ること(重要)
以下から一つのアルファベットを選択して、「キャラクターの行動」欄の冒頭に記入してください。
【A】本来の自分のPCがアニメキャラクターとして存在し、その役の声優を担当している。
本来のPCとは別に「声優としての名前やキャラクター設定」が必要になる。
声優としてのキャラクター設定はコメントページに書き込む。
例:アニメの役「本条 小萩」を演じる声優「三島 さやか」として参加する。
【B】既存のNPCはアニメキャラクターとして存在しているので、その役の声優を担当している。
本来のPCとは別に「声優としての名前やキャラクター設定」が必要になる。
声優としてのキャラクター設定はコメントページに書き込む。
例:アニメの役「桜栄 あずさ」を演じる声優「竹本 優子」として参加する。
※複数のPCが同じNPCを指定した場合、何かしらの理由で交替することになります。
※他のマスターが管理しているNPCはお控えください。
※「メリーさん(都市伝説)、油屋銀(妖狐)、ノア(電脳)、猫がみ様(化け猫)」の指定は可能です。
【C】自分のPCはアニメキャラクターとして存在しないで、本来のPC設定のままで参加する。
特定の声優のファンの場合、コメントページから選択する。
コメントページに声優の記入がない既存のNPCは、声優の容姿や性格等を想像してアクションに書く。
その内容はリアクションに反映されて、アニメキャラクターの役を担当する声優として登場する。
【S】GAを組んだ場合に限定して、役と声優の入れ代わりを可能とする。
本来の自分のPCがアニメキャラクターとして存在し、その役の声優をGAの【Sさん】が担当している。
同時に本来の【Sさん】のPCもアニメキャラクターとして存在し、その役の声優を自分が担当している。
イベントの流れ
以下のようなイベントが予定されているので、この中から自由に選んでアクションを投稿してください。
・声優トークショー(声優ひとり、または複数。司会者が加わることも)。
・声優インタビューコーナー(会場のファンが質問。司会者による質問も)。
・アテレコに挑戦!(アニメの一場面を使って声優とファンで行う)。
・握手&サイン会(色紙、手帳、着ている服、身体の一部等、どこでもサインが可能)。
NPC
・アニメ監督:寝子島出身の監督で小太りの人の好い四十代。裏方に徹していて表に出ることはない。
・桜山シズカ:若手声優ではあるが今回は司会進行役として参加している。小さな身体で大きな態度を地で行く。
ポニーテールにエプロンドレスという格好で名前に反した騒々しさをウリに場を盛り上げる。
長くてややこしい説明は以上になります。
声優が醍醐味になると思うのですが、もちろん熱烈なファンでも構いません。
頼もしいNPCが全力のサポート体制で皆様をお待ちしています。
もしもの寝子島を目一杯、楽しんではしゃいじゃいましょう!