温泉迷宮から脱出せよ！｜リアクション

温泉迷宮から脱出せよ！

●お風呂の香りに酔っちゃう人たち

「にゃふぅ…いい気分…何だか怒ってたのが嘘みたい～♪」
　ワイン風呂につかった咲が、けたけたと笑い始めた。隣には、なぜか大きなカピバラが、どっしりと座っている。
　その子供、子カピバラの一匹は、志桜里の胸元に身を寄せて、ちょこんと湯につかっていた。
　ちなみに零葉の胸の谷間にも、子カピバラが一匹。
　それを見、志桜里がぽつりとつぶやいた。
「収まり悪くて苦しそうだなーその子、私も胸はちっさいけど」
　普段なら、気軽にこんなことは言わない。だがここはワイン風呂。つまり志桜里は酔っていた。そして答える零葉も頭は、ワインに溶けている。
「……むぅ、私の胸が平原、絶壁ですってぇ……！」
　零葉はぎろりと、志桜里をにらんだ。
「吉住さん、でしたっけ？　貴女こそぉ、ちょっとは女らしい言葉遣い、いえ、もう少し乙女らしくなるべきですよぉ、まるで男性みたいじゃないですかぁ」
「乙女らしさ、huh？　無くたってお咎めは無しさ、お互い和服似合う身体に美脚、けど此処じゃただのビート板だ」

　大人しい子カピバラを間に挟み、女子の舌戦が始まった。
　が、そこにおっとり響くは咲の声。
「こら～喧嘩しちゃメッだよ！　二人とも～可愛いんだから～胸の大きさなんて～些細な事だよ～」
　言いながら咲が胸をはったのは、おそらくは無意識だろう。
　だが湯に浮かぶほどのおっぱいを持つ人に、胸の大きさについて語られたところで、微乳の持ち主は微妙なわけで。

「立派に桃二つ抱えて窘められたってねぇ！」
　志桜里はそう言って、じりじり咲に近づいた。
　一方零葉は、咲のまあるいやわらかおっぱいに、ふふふ、と微笑み、ぎゅうっと抱き着く。
「咲先輩……♪　早く兄さんと結婚して、私の姉になってくださぁい♪」
　さらさらの肌に頬をすり寄せながら、零葉は、咲の豊満左パイをもーみもみ。
　右パイは、志桜里の手がたーぷたぷ。
「きめ細やかな弾力、やはり持つべきはたわわ……！」

　両方のふくらみを、もみたぷされて、咲はにゃあ！？　と声を上げた。
「そ、そんな揉まないで……変な気分になっちゃうよ～……あぁんっ、だ、だめえ～」
「ふふふ、カラダは嫌がってませんよ先輩♪　ふわふわほこほこに蕩けてます♪」
「ああ、最高の触り心地だ、この滑らかさ柔らかさ……！」
「にゃああん、やめてえぇえっ」

「なんかすごい賑やか……」
　葡萄色のお湯から出ようとしていた真白は、楽しそうな声に振り返った。

「むぅ……やったなー！　えーい！　二人とも咲の妹になるのだー」
　咲は零葉と志桜里の肩を抱き寄せると、順番に、二人の頬に自らの頬を押し付けた。
　すりすりすりすり、乙女の滑らか肌を堪能したのち、零葉の耳に、ふうっと息を吹きかける。
「なんか、この耳、美味しそうだね～」
　咲からそんな言葉が出たのは、ワイン風呂にすっかり酔っているからだろう。
　そして、零葉も同じく酔っ払い。
「あぅっ、咲先輩、耳噛まないでくだ……はううっ」
　小さな痛みに身を震わせつつ、ぞくりとしたものが胸にこみ上げる。

　そんな二人を、咲の腕から抜け出した志桜里が、まじまじと見つめた。
　おっきいのもいいけれど、ちっちゃいのもいい。
　というか、乙女の身体、すごくいい。
「にゃっはっはっは！二人共、何だかんだイイ身体揃いじゃないの抱かせなさいよ」
　志桜里が正面から、二人にがばっと抱き着くと、三人はばしゃーん！　とワインへダイブ。
　そこから真っ先に逃げだしたのが、零葉であった。

「ああ、駄目です、私もう熱くって……ちょっと休憩しますね」
　零葉は、湯の中でばちゃばちゃきゃっきゃと遊ぶ咲と志桜里をよそに、温泉の淵へと向かって行った。

　が、しかし。
　そんな零葉に、動物たちが襲いかかる――もとい、じゃれついた。
「あっ、お猿さんにカピバラさん？　だ、駄目ですよぉ……♪　そんなに引っ張って……見ちゃ、恥ずかしい、です…♪　ああんっ、どうしてタオルとっちゃうんですかぁ……♪」
　駄目と言うわりに、零葉の声は、動物を責めるふうではない。
　それもそのはず、零葉は彼らのつぶらな瞳が、全裸となった自分を見つめていることに、肌が焼けるような刺激を感じていた。
　ちりちりと痺れる興奮、見られる快感とでも言えばいいのか。
　毛穴からじわっと汗がにじみ出し、身体がどんどん熱くなってくる。

「……まぁ、いっか……」
　女子達の台詞を聞いていた真白は、ぼんやり呟いた。
　なにせこのワイン風呂のアルコール臭は危険極まりないのだ。
　遊ぶ人達は放置して、当初の決定通り湯から出ようとした、のだが。

このページにイラストを設定する

温泉迷宮から脱出せよ！

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧