「ふむ。また神魂の影響だろうか」
桜 月は興味深そうにつぶやき、うなずいた。
「どうして私たち、バスタオル一枚だけなんですか……?」
北条 冬華は頬を染め、豊満な肢体をかばうように抱いた。
頭上にきらめく月はもくもくと沸く湯気によって半ばさえぎられ、周囲にはぱしゃぱしゃという水音が満ちている。
二人は膝下まであたたかい湯に浸かっていた。
かぽん、と鹿威しが風情を演出する。
「お風呂……でしょうか」
「温泉だなぁ」
温泉であった。
もちろん神魂云々というからには、ただの温泉ではない。
それは温泉であり、迷宮であった。
ついでに言えばテーマパークのようでもある。
そこは全てが温泉によって形作られている。屋内の小部屋であったり、純和風の露天風呂だったり、ジェットバスだったり流れるお風呂だったり、スパのような高級リゾート風な空間もある。
バリエーション豊かな温泉の数々が、入り組んだ通路によって繋がっていた。
その構造は複雑怪奇かつ巨大であり、まるで迷路だ。脱出するには骨が折れるだろう。
それだけではない。
「えっ? 何か来ます、月さん!」
「あれは……猿?」
気持ち良さそうに温泉に浸かるニホンザルの映像を、テレビで見たこともあるだろう。
だからなのか、温泉には多くの猿がいるようだ。
「……!? きゃああああ!?」
「わっ、な、何をするんだ!?」
きいきいと鳴きながら、猿たちは冬華と月が唯一つ身体に身に着けているバスタオルを、よってたかって引き剥がそうとし始めた。
「逃げよう、冬華!」
「は、はい~!」
飛沫を跳ね上げながら、二人は逃げ出した。
あちこちから、悲鳴のようなものが聞こえてくる。
どうやら神魂によってこの場へ呼び寄せられてしまった者たちは、少なくないようだ。
果たして彼らは、この温泉迷宮から脱出できるだろうか?
こんにちは、よろしくお願いします!
桜 月さん、北条 冬華さん、ガイドに登場してくださりありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてください。
概要
あなたは突然、『温泉迷宮』に連れてこられてしまいました。
ここは一般的な内風呂に露天風呂から、大型スパリゾートのような楽しいお風呂、様々な変わり種お風呂など、
実に多種多様な温泉たちが、入り組んだ構造に張りめぐらされた通路によって繋げられています。
まるで迷路のような巨大温泉施設です。
あなたは、この温泉迷宮からの脱出を図らねばなりません。
温泉迷宮へ放り込まれるにあたり、あなたに与えられたのは、
『バスタオル一枚のみ』です。
周りには同じように連れてこられた他の人もいます。もちろん混浴です。
羞恥に耐えて頑張ってください。
ちなみに、浴槽内にバスタオルを入れるのは、OKです。
また、迷宮内では以下のようなハプニングが起こります。
・猿が現れ、温泉に浸かっていない人を見つけると、バスタオルを奪い取ろうとしてくる。
・カピバラが現れ、バスタオルの中にもぐりこんでくる。
・ラッコがお腹にお酒や冷たいソフトドリンクを乗せて、運んできてくれる。
・湯船に浸かっていると、クマ、トラ、パンダなど大きな動物が入ってくる。害はないけどちょっと怖い。
・ワニが現れ、バスタオルを噛みちぎろうとしてくる。
時にはハプニングを回避し、時にはゆったりと温泉であたたまりながら、出口を目指しましょう。
時刻は夜。
朝になると、そのままの格好で街中に放り出されますので、ご注意を。
アクション
温泉には以下のようなものがあります。
・普通の内風呂:純和風な造りの屋内のお風呂。落ち着いた雰囲気。
・普通の露天風呂:純和風な露天風呂。屋外だが高い壁に囲まれていて、乗り越えることはできない。
・ジェットバス:水流と気泡でマッサージ効果大。
・流れるお風呂:プールのようにお湯が流れる広いお風呂。泳ぐのもOK。
・ウォータースライダー:子どもたちに大人気。
・ワイン風呂:香り豊かな赤いお風呂。酩酊に注意。
・ホットチョコレート風呂:甘い香りが漂うチョコ風呂。
・間欠泉風呂:時折お湯の奔流が吹き上がる。熱いので注意。
・薔薇風呂:バラの香り漂うお風呂。気持ちが落ち着く鎮静効果がある。
その他、入ってみたいアイディア風呂がありましたら、自由に指定してください。
なおハプニングに遭わず、ゆったりと温泉に浸かって楽しむ、というアクションも可能です。
以下のNPCも参加しています。
自由に絡んでください。
・島岡 雪乃:激しく困惑中。眼鏡がないので視界がぼんやり。
・鷲尾 礼美:ワイン風呂にいる。マイペースに温泉を楽しんでいる。
・四十九院 鸞:いちご風呂を探している。猿たちから逃走中。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!