うみねこで夏の味覚を｜リアクション

うみねこで夏の味覚を

●美味しいものをいただきに

　腹八分目になった八神修は、ハルコに手が足りてないこと、困っていることはないか訊ねる。
　食材が足りないけど、買い出しにいけないのが困ると言うので「俺が行ってきます」と申し出た。
「いいのかい？　それじゃ、お言葉に甘えようかねえ」
　ハルコは買い物リストを書いたメモを修に手渡し、悪いね、とお願いした。
　鬼河内巌はカレーを十分に食べて満足。
　楡宮遠海も、美味しい夏定食を食べられて良かった、また来て食べようと思った。
　巌と遠海は、お勘定を済ませて店の外へ。

　忙しない昼食時間が過ぎたので、魚戸夫妻とアルバイトの鳴鏡院総悟と綾辻綾花。
　手伝いに来た天満七星は、ハルコが作ってくれた賄いで遅い昼食を。
　お手伝いしたからお腹が空いた、というので、李小麗も賄いを食べる。
　途中から買い出しを手伝った八神修は、七星提案のお茶セルフサービスの緑茶を飲む。
　準備中にちょうどいい具合に冷えたので、夕方には、サービス開始となった。料金は当然タダだ。
　食べ終えた面々は、夕方の開店に備えて各々の準備や手伝いをすることに。

　時間はあっという間に過ぎ、夕方の開店時間に。それと同時に客が増えてきた。
「早めに来たと思ったけど、待つことになりそうね」
　ステッラ・デッラ・コリーナのコンシェルジュとして働いている水谷真優理は、従妹の青山絢と一緒に『うみねこ』へ。
　仕事帰りの真優理は通勤着。絢は部活を終えた後だったので寝子高の制服姿だ。
　真優理はこの店には何度か訪れているが、絢と来るのは、今回が初めてだった。
　店内に入るなり、ハルコが「いらっしゃい！」と声をかけた。
「ケンゾウさん、ハルコさん、お久しぶりです」
　久々に顔を出す真優理を見て「おう、久しぶり！」と調理をしつつ、声をかけるケンゾウ。
「今日は、私の従妹を連れてきました」
「はじめまして、青山絢です。真優理さんの家に同居しています」
　物静かな口調で挨拶する絢を見て、元気がないだと心配するハルコだったが、制服姿なので部活帰りで疲れているのだろうと思った。
「いらっしゃい、絢ちゃん。好きなものを食べておくれ」

「もう夏限定メニューか……早いなあ」
　この間まで春限定メニューだったのにと思いつつ、真優理はうみねこ夏定食を注文。
　そうね、とうなづきながら、絢は魚介ばくだん丼を注文。
「旬のお造りと枝豆とナス、車エビの一口かき揚げも美味しそう」
「真優理さん、そんなに食べられるんですか？」
「まさか。２人でシェアしよ」
　美味しいものは分けて食べるのもいいわよ、とレジ打ちを終えた綾辻綾花を読んで追加注文を。
「旬のお造り、枝豆とナス、車エビの一口かき揚げですね。出来上がるまでお待ちください」
　注文を確認すると、慌ただしく厨房へ。
　
　料理が運ばれてくるまで、ふたりは今度の夏休みの予定とか、将来の進路の話、といった適当な話を。
　絢は真優理に東京の実家に帰らないの？　ということは聞かない。
　絢も多分、しばらくは実家に帰りたくない、いや、帰れそうにない。
　そのことがわかっているだけに、どうしても実家に関することは、言葉にも出ない。
「魚介ばくだん丼、お待たせしました」
　綾花が持って来た料理に、絢は雰囲気が変わったのでホッとした。
「夏定食もお待ちどうなのだ」
　お盆をしっかりと両手で持った小麗が、落とさないよう慎重に運んできた。
いただきます、と手を合わせてから一口。
　話したいことはあるが、まずは腹ごしらえを。

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