うみねこで夏の味覚を｜リアクション

うみねこで夏の味覚を

●新しい食べ方発見

「おじちゃんも、おばちゃんも、暑いのに頑張っているのだ。ご飯食べて、元気百倍になったからお手伝いするのだ♪」
　李小麗は厨房に行き、ケンゾウに手伝うことはないか訊ねる。
「足りないものがあったら買い出しに行くし、接客の方も頑張るのだ！」
「それじゃ、皿洗い頼まぁ。食器が溜まってきちまってな」
　やるのだ！　と気合を入れ、皿洗いに励む小麗。
「李さん、これもお願い」
　金魚の器を重ねて持って来た総悟が、洗い物を追加する。
「総悟もアルバイトを頑張っているのかー。ずっと続けているなんて、とっても偉いのだ♪」
「そんなことないよ」
　そう言うと、エプロンのポケットに入れたペットボトルを取り出し水分補給。
　店内は冷房が効いているが、厨房と客の間を行ったり来たりすると暑くなる。
　室内にいても熱中症になりかねないので、店員達は水分補給をできる時にきちんと行っている。
「おじちゃん、おばちゃん、総悟。水分は取れる時に取って、ちゃんと休憩して体を休め、倒れないようにしてほしいのだ」
　ケンゾウが倒れてしまっては美味しいご飯が食べられない。
　『うみねこ』に来てくれる客のために体を大事にしてほしいという思いが、その言葉に込められている。
　気遣いに感謝するケンゾウは、一旦手を休め、小さなやかんを手にするなりラッパ飲み。
「父ちゃん、行儀悪い！」
　出来上がった料理を運ぼうとしたハルコに注意されるが、ケンゾウは無視して一気飲み。

　注文したものを待つ間、八神修は店の状況を窺い、手が開いているハルコと話を。
「竹筒、というのが良いですね。自作ですか？」
「父ちゃんの知り合いに頼んで、作ってもらったもんだよ。父ちゃんは魚を捌くのは上手いけど、細かい作業はからっしきでねえ」
　大きいものと小さいものの隙間に氷を詰め、そうめんが水でふやけないよう工夫したことも教えてくれた。
「成程、間接的に冷やすんですね」
　どのようなものか期待が膨らむ。

「竹筒そうめん、お待たせいたしました」
　運んできたのが天満七星だったので、自分が客として来た時に……と思うと申し訳ない気分に。
「八神様、具合が悪いのですか？」
　暑さで体調がすぐれないのかと気になる七星が心配になり声をかける。
「いや、俺が来る時、いつもここを手伝っているから……」
「お気になさらないでくださいませ。私が自分からしていることですので」
　ごゆっくりどうぞ、とお辞儀し、七星は厨房へ。

　運ばれた竹筒そうめんを目で楽しみ、つゆの香りを楽しみ、そして実食。
　梅のつゆにつけたそうめんをズズーっと一口。
「喉越しが気持ち良い。梅の酸味があっさりと食欲をかきたててくれる」
　美味いし、夏の風物詩だなあと思いつつ食べる。気が付くと、竹筒の中のそうめんが無くなっていた。
「あれ？　ゆっくり味わって食べたつもりだったんだが……」
　腹八分目かと思いきや。まだ六分目。
　もう少し何かほしいかも、ということで一口かきあげを追加注文。
　運ばれてきた一口かき揚げは、半分は普通に食べ、もう半分は梅つゆを天つゆ代わりに。
「やってみたかったんだ、こういうの。食の冒険だ」
　梅つゆをしみ込ませたかき揚げは美味しかった。　
「それ、美味しそう。私もやってみたいわ」
　修が美味しそうな顔をするので自分も、と鬼河内巌と一緒に俺のシーフードカレーを食べていた楡宮遠海も試すことに。
　注文した一口かき揚げがくるなり、さっそく梅つゆにつけて一口。
「けっこういけるわ、これ」
　新たな発見に喜ぶ修と遠海だった。

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