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【焔の紅玉から紡ぎし絆】
それは、十二支団のアジトのとある夜。
窓の外には、無数の小さな星が散っていた。手元のカンテラの灯りは星々のか細い光を打ち消しながら、それを持つ
ティクス・ソル
の道先を明るく照らし出していく。
十二支団は、基本的に盗賊団として活動している。しかし、それは常に悪徳商人と呼ばれる類をターゲットとした『義賊活動』だ。
今日も、狙っていた目標の動向を完全に絞り込む事が出来た。後は盗みの決行日を決めるのみ。
だが今回の問題は、決行は荒事になる可能性があるということだった。仲間の皆が皆、戦闘が得意な訳ではない。
その思案から、ティクスは軽い意見交換も兼ねて、仲間であり武術の心得もある
フォーマ・シャオ
の元を訪れることにした。
カンテラの明かりを頼りに、ティクスはフォーマの部屋の前まで訪れて。
そこでふと、ティクスは開き掛けたままの、部屋のドア越しに彼を見た。
そこが自室でありながら、フォーマは窓に向かい立ち尽くすように、己の手の中に何かを見つめている。
「珍しいな……」
ティクスが微かに独りごちた言葉も、フォーマに届いた様子はない。
ここからは何を見ているのかまでは分からない。
むしろこちらに気を向けずに、このような背を見せ続けるフォーマの姿そのものが珍しくて、ティクスは開き掛けの扉を軽くノックした。
「お──よお、大将。仕事かい?
まあ、扉先で立ち話もなんだ。入った入った!」
ティクスの気配を確認したフォーマが、明るいが軽さを感じさせない、彼特有の筋の通った笑顔をそちらの方へ向けた。
そうして見慣れた相手の部屋へ案内されたティクスは、ふと相手の手の中にあった透き通った紅色の珠に目を留めた。
「何を見てるんだ?」
「ああ、これかィ? 紅玉さ。この間の運び屋の報酬でもらってね。思うところがあってついつい見ちまう」
それは、フォーマの小さくはない手の平に乗る程度の、つやが滑らかに通った焔の宝玉。
「この石見てっと思い出すんだ……大将と出会った時の景色を──」
ティクスも、その言葉と共に、差し出された手の中にある紅玉に思いを重ねて思い出す。
「ああ……」
思い出すのは、歪みもぶれも無い、たった一つのその光景。
──それは、ティクスとフォーマとの最初の出会い。
◆
──それはある日。十二支団の中でも、たまには普通のお宝探しも悪くないと。少し遠くに足を伸ばして、噂に聞いたばかりの水晶の洞窟まで辿りついた時のことだった。
その世界は、崩れかけた天井からの光を反射して、その場の全てを透明な輝きで染め上げていた。
見つかったばかりの、星の力で地表近くに出来た鉱脈だ。
一番乗りのお宝の山とも言える、天然石のクラスターの数々。落ちている自然の破片だけでもかなりの値打ちになりそうだ。
それらを物色するだけでも大変そうな中──ティクスは、巨大な水晶クラスターの陰に落ちている、一つの炎を宿したような大きめの丸珠に気が付いた。
「ん……?」
ティクスにとって、お宝なら手を出すのが礼儀というもの。ティクスはその美しさに、躊躇いなく手を伸ばした。
「──っ!?」
──その瞬間、ふいに手に取った珠が激しすぎるまでに輝き出した──
天然が作り出した危険なトラップは、ティクスも今までに何度も目にしてきた。
しかし、何故かティクスは……その水晶から目を逸らす事が出来なかった。
炎のような揺らめきの中に、ティクスは確かに『何かを感じた』──その声にならない、何かの言葉は、思いは、願いは。
切なくも、どれもがあまりに綺麗なものであったから。
今この場で、それらを抱えた、美しい何かが顕界しようとしている──逆に、その場に立つティクスには、それから目を逸らす理由がなかった。
炎のような紅色の世界。
そこでフォーマは、自由の利くその思考だけを動かし続けていた。意識をしても夢を見ても、それは全く同じこと。
ただ、外部からの信号が一切無いフォーマの思考は、ただ一つの事柄だけを繰り返す。
『──何故です、主』
『何故、おれを置いて行くのですか』
夢を見た。考えた。
フォーマは、どこまでも灼熱の大地が一望できるこの世界で、己の主の為に存在を懸けることを誓い続けた。
この命の総てを、主の為に捧げると誓った。命絶えるその瞬間まで。自分に名と共に──恩人という存在も、仕える主君も、師も、兄も──それら全てを一度に与えてくれた存在の為に、生きると誓ったのだ。
そう──誓ったのに。
最後まで共にある事を願った戦場で、その掛けがえのない主は、傍らにいたフォーマを、突如その呪法によって紅玉の中に封印した。その思いは全く理解出来ない、そのままに。
戦闘が始まる直前だった。なのに、この中では、外がどうなっているのか分からない。
どうなった。戦いは、戦場は、主は。
『おれは貴方の役に立ちたかった。傍に居たかった』
『おれは……貴方の従者なのに』
何百と、何千と同じ想いを繰り返した。
狂わない方が、不思議な時間だった。
それに、どれだけの時間を費やされたのかは分からない。
ただ突如、世界が砕けるように封印が解けて、フォーマが自由になった瞬間。当然、何よりも早く思い浮かんだのは主のことだった。
視界はぼやけて何も見えない。足に力が入らない。呼吸など実感する余裕も無い。
だから、息も絶え絶えで、擦れきった声で、うまく動かない身体で、疑うことなく縋るにも似た悲痛な想いで──
「主……!!」
目の前にいたティクスを、主と呼んだのだ。
「……」
ティクスは、突如姿を現し、こちらを主と呼んだフォーマに一旦の沈黙を置いた。
驚かなかったかと言えば、嘘になる。しかし、それが瞬時にかき消えてしまうほど、ティクスは目の前の存在に対して思うところがあった。
一歩、ティクスはフォーマに向かい距離を詰め、その瞳に染まる色を見た。
相手の表情が変わる。この現状に、何かを悟ったかのように。その瞳は、動揺から絶望へ。
「……──」
目の前の存在が主ではない。
それはフォーマから見て、取り戻しつつある視界からも、そして相手の反応からも、すぐに察しがつけられた。
だがここには、フォーマにとって、それ以上に圧倒的なまでの絶望が存在していた。
(──風が、違う……!?)
肌に触れる空気が静かに濡れていた。髪を撫でる焼けていない風が、背筋が凍るほど涼しかった。
──どちらも、フォーマの住まう灼熱の大地では絶対に存在していないものだった──
信じられなかった。しかし、フォーマを取り巻く今の環境こそが、ここが自分の知らない別の世界であることを如実に語り尽くしていたのだ──
(──ああ、きっと迷子だ)
絶望の色を見たフォーマの瞳から、ティクスは切なさにしみる胸中に呟いた。
……ここに来るまでの道中にも、この洞窟内においても、他に彼の人と関わりのあるひとは一人も目にしていなかった。
封じられていた様子から考えても、その主が近くにいるとは考えづらい。
それでも、その目は未だに『主』という存在を探していたから。ただ、思ったのだ。
(きっとコイツも……家を無くした子供なんだろう)
「主じゃなくて悪いが……迷子に住みかを与えてやることならできるぞ」
──故に。それが、ティクスがフォーマに発した第一声となった。
ティクスには、フォーマが色々な存在と重なって見えていた──それらの存在に付随する、溢れんばかりの絶望や恐れを、ティクスはあまりにも多く凝視し過ぎてきた。
ティクスは、
あの時の大切
であった、小さな灯火すら守れなかった自分を忘れない。
そして今、傍らにいる仲間を忘れない──
故に手を伸ばした。
その手は、この存在は、掴まなければならないものだと思ったのだ。
「ハ……」
フォーマの、ろくに喋れるかも分からない喉から乾いた吐息が零れた。
それは、相手への嘲りとも自嘲とも取れる音。
目の前に差し出された手が、存在が。何故、突然そのような偽善の極みのような事を言うのか。疑念がわだかまった。信じろと言う方に無理があった。
「……」
だが、引き攣り上がった頬を伴い相手の瞳を目にした時──フォーマの表情は、毒気を抜かれたようにその矛を収めた。
逆に、フォーマは呆気に取られる思いで相手の瞳を見つめ返した。
不意に、涙に似た思いが迫り上がりそうになるのを、強く抑える。
理由は変わらず分からない。だが少なくとも、理解に足るだけの『相手が、そう告げるに到った想い』が、そこには強く確かに存在していたのだ。
「……」
当然、行くあてなどは無かった。封印を解いてくれた恩もあった。
だが、過去……あの時は認めたくなかった事がある──今だから、振り返ってフォーマは、その思いを伝えるべき相手への言葉に乗せた。
あの時、フォーマはティクスの手を取った。
それは、即座に浮かぶ簡易な理由以上に。
手を差し伸べてくれたティクスが──過去、名前すら存在しなかった自分に、手を差し出してくれた主と重なってしまったからだと──
◆
「ああ……」
僅かに目を伏せ、充足を滲ませ語るフォーマの言葉に、それを聞いたティクスは、僅かに過去に触れた思いに呟くように声を零した。
どうやら、自分が伸ばした手は、彼にとっても間違ってはいなかったのだと。
そのような思いが重なり……思わず、笑みが零れた。
「……何でぇ、その顔?」
フォーマがその表情を不服に変えて、ティクスを見やる。
「いや、その後はずいぶん反抗期だったなと思ってな」
「その後は反抗期……って、」
思わず口を開き掛けたままに、フォーマに思い至ることが滝の如く脳裏に落ちてきて、思わず口だけを僅かに動かす。
「覚えてるか? その後の……」
「その話はよしてくんな! ったく……」
話を遮っても、恥ずかしさの消えない様子のフォーマに、ティクスはふと過去の続きを思い出す。
(まあ、あの時点で断られても、丸め込むつもりだったのは決定事項だったんだがな)
振り返り、今のフォーマの表情を見ながらティクスは思う。
そこにあったのは、一割程度の『綺麗なものを盗む盗賊としての性』──
あの時、自分の目に映ったフォーマは、何よりも必死で。仕えるべき存在をなくし、それでも尚も縋るように願い向き合う……その姿をティクスは綺麗だと思った。
それは、ティクスにとって──『盗む価値があるもの』と強く思ったのだ。
……当時の荒れようならば、口が裂けても言えなかったが──今ならば話しても、盛大に呆れながらも笑って許してくれるかも知れない。
当時ならいざ知らず、今なら隠すこともないであろうと。ティクスは男前過ぎる程にあっさりと、その裏話を正直に露呈した。
「あん──!?」
それに面食らったのはフォーマの方だ。少し破綻した思い出を組み直しながら、混乱気味にその頭に手を当てる。
「──ああもう、てやんでぇ!
大将のそういう所がよ──……こう思い出すと、つい、いつもどっかが主に似てるなってェ思っちまうんだよなァ……」
自分に悪態をついても、振り払えない想いはある。
だが、今は──『この身に宿す炎は、彼とその彼が守る存在の為に燃やす』と、決めたのだ。
そこには、僅かな悔恨も無念も、清々しく晴れた空のように存在してはいない。
フォーマはティクスを見据え、右手の拳を、胸前で左手で包む。それは、ティクスに捧げる『平和を愛し、平和を願う』想いの証──
「……おれは二人の人物に救われた。
その内の一人が大将。……貴方でよかった」
己が誓った手の向こう、ティクスへ向かいフォーマが、今、そしてこれからも変わることのない想いを告げた。
それにティクスは、受け止めるように微笑を浮かべる。
この熱き想いに言葉など、不要なことは何よりも良く分かっていたから。
こうして、今日も思いの一つ一つを編み上げて。
十二支団の絆は、深く強く刻まれていく──
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3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月21日
参加申し込みの期限
2019年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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