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この目の前にある手
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【マドモアゼルときいろいあたま】
それはもう、今から何年も前のこと。
幼い頃の
源 竜世
は、その元気さから、勢い良く動き回っては大きく転んで、シチュエーションで良くある『起き上がるのを親として手を貸さずに心配をしながら様子見』という胸をドキドキさせる夢を与える間もなく、即座に自力で立ち上がって更に元気に駆け回る──という、完璧なまでに非の打ち所がない元気っ子だった。
元気なのは良いことだ。だが、今日は寝子島スクエアへと竜世の兄も連れて買い物に行く日。人混みの多いところだから、買い物の時だけは大人しくして欲しい──そんな竜世の母は、困り果てた思いから、一つの思いを決行に移した。
「女の子の服だったら大人しくなったりしないかしら……?」
こうして。この時分では、竜世はまだその幼さ故に、服に優先されがちな性別には気付くことなく。
青色ベースに白のフリルのついたエプロンがとても可愛らしい……そんなエプロンドレスを身に纏った竜世が、寝子島スクエアに誕生したのである──
一方その頃──
(にほんは、ひとがいっぱいで……きゅうくつだ)
同じく、まだ当時幼いみぎりであった
タイラ・トラントゥール
は、目の前の光景を目に入れながら心の中で呟いた。
──フランス人の父と日本人の母を持つ、ハーフとして生まれた当時のタイラは、この頃は基本的にフランスを生活の基盤とした生活を送っていた。
その為、こうして寝子島へと来る事は、母の里帰り以外にはとても稀で、その先で目にする文化の違いには、タイラはいつも困惑を隠せないでいる。
例えば『ここで待っているように』と告げて、タイラの母は、丁度今着ているのと同じような洋服が並んでいる『ふじんふくコーナー』と呼ばれるところの奥に向かっていった。
人の流れが多い。母が服を選ぶ姿を遠目で見ていたタイラだが、時折商品が並んだハンガーラックの狭間で見えなくなったりするその姿に、より一層の不安が募る。
「……!」
そのまま姿を消してしまいそうで、不安が重なったタイラは、慌ててその影を追い掛けようとして──その瞬間、少し離れた所で行われたバーゲンセールの方から来た人々の群れに流された。
「ママン……!」
母に気付いてもらおうと呼び掛けるが、この人混みはとても賑々しく、恐らく声は届いてもいないだろう。
タイラは慌てて小さな身体で、必死に押し退けるように人混みを割って外に出たが──その先にあったものは、全く見覚えのない場所だった。
「ここはどこだろう……?」
辺りを見渡し、見覚えのある場所はないかを探す。
しばらく歩いてみるも、周囲はこちらを気にせず素通りしていく大人ばかりで。
「こんな時はどうするんだっけ……」
以前にも、こんな状況になった時に備えて、母からきちんと話を聞いている。しかし、不安が一層の焦りを滲ませて、それらが全く思い出せない。
周囲は皆大人で、自分よりも大きな身体が、隣を次々と素通りしていくだけで。
「……」
その情景に、タイラは『迷子になったら、その場から動かない』という教えも記憶に届かずに、一刻も早く母を見つけたいという思いから、その場を離れて不安げにと歩き始めた──
◆
「ちぇー」
むすーっとした表情を隠さないままに。買い物が始まった竜世は、退屈と何も出来ない不満から、幼い口からその投げやり気味な声を外へと零した。
何しろ、こと幼い竜世と買い物は相性が悪い。
自分の服を選ぶ時にはサイズが合っているかに始まり、母が値段や似合っているかを思案する為、一着決まるまでにもろくに動けないのだから、それがとにかく退屈であった。
更にそれが、竜世の兄の服を選ぶにあたっては、自分は完璧に蚊帳の外。兄の服だから自分とは関係無いのに、それでも何となくばたばた動いたり、あちこちを見に行ってはいけないなど、それは竜世にとって退屈を通り越して苦行の領域なのである。
(『終わったらアイス買ってあげる』……っていってもー……)
その買い物の度に、いつも困り切っている母との約束だけが、今の竜世をぎりぎり大人しくつなぎ止めている紐であった。
「あ゛ーーー」
思わず耐えきれなくて声を上げたら、母に軽く怒られてしまう。しかし、これでも我慢しているのだ。
アイスが楽しみだから我慢──しかし、アイス効果をもってしても、その紐は今にもジリジリ音を立てて切れようとしている……例えば、
目の前を、日本では殆ど見たことのない金色の髪をした少年が、一人で落ち着かずにふらふらと歩いていたりなどした日には。
「いえろーみたいなあたま! かっこいい!」
こうして爆発的な好奇心を前に、ぷっちりと紐が切れた竜世は、エプロンドレスのスカートで、その場から全力で駆け出した。
『大人しくなって欲しい』と、女の子の服まで着せた母の願いは残念ながら叶わなかったのである……
心がそわそわする。ジリジリと何かに追い詰められているような気がして、タイラはひっきりなしに辺りに目を向けて歩いていた。
しかし、それでも状況は変わるどころか、まるで沼にでも嵌まったかのように抜け出せない一方だ。
「こんな時は……──!?」
そんなタイラの手が、後ろから勢い良くぎゅっと握られた。
驚きで声もでないまま、慌てて振り返る。
するとそこには、エプロンドレスを着た同い年くらいの女の子が立っていた。
「なあ! どこいくんだ? どこからきた?
おまえだれ?」
まだ決して大きいとは言えない手を、同じくらいの柔らかな手が強く握って、その少女──竜世は、タイラに矢継ぎ早に話し掛けてきた。
「まって、マドモアゼル」
タイラも母が日本語を教えていた為、流暢とはいかないが、コミュニケーションには支障はない。だが、早すぎて聞き取れなかった言葉と更に重ねられようとしている内容に、タイラは慌てて竜世に見たままの姿を敬称で呼んだ。
「まど──? オレはまどじゃねーよ。
『りゅーせ』ってなまえ!」
竜世が目をキラキラさせて言葉を返す。名前の最後の『い』までは、まだはっきりと言うには後もう少し掛かる年頃であった上、
「『リーセ』?
にいさまの名前ににてる……」
こちらもその発音に、きっちりと聞き取りと補完を行うには、竜世という発音は若干難しいところであったのだろう。
「なあなあ! ひとりでどうしたんだ?」
そして、きちんと目の前の竜世を『女の子』と認識したタイラは、琥珀の瞳が元気に煌めいている相手に、事情を話しても大丈夫と安堵して、状況を話し始めた。
「えっと……ママンとかいものにきたら……
ひとがいっぱいでばしょわからなくなって……」
「ふーんまいごだな!
よし! オレがさがしてやる!」
不安そうな話を聞いた竜世が、自信いっぱいにその胸を叩き、小さな身体を大きくふんぞり返って見せた。
「いいの? でも、きみもひとりみたいだけれども、大丈夫なのかな?」
タイラが見た限り、竜世の背後にも保護者らしい存在は見当たらない。
「オレ? オレはみちわかってるからだいじょーぶ」
少し不思議に思ってタイラが尋ねれば、竜世は更に自信満々に、えっへんと更に胸を張った──が、
「あれ……? ここどこだ?」
次の瞬間、辺りを見渡した竜世は全く見覚えのない風景を見て硬直した。
見覚えのない風景どころではない、母や兄とも来たことのないフロアはまるで異世界だ。
慌ててくるりと後ろを振り返っても、母と兄の姿は見当たらない……
瞬時に竜世の心は、寂しさと怖さで埋め尽くされた。
「あ……
ふっ……うえ……」
先程まで輝いていた瞳が、一気に揺らめく涙で揺れた。
「──っ」
泣いたら涙がこぼれてしまう。タイラはとっさに、今にも声を上げて泣き出しそうな竜世の目元に口付けた。
「……?」
きょとんと、涙を留めた竜世がタイラを見つめる。
「なかないで? ボクがなんとかするから」
──女の子で迷子なんだから、きっと自分よりもずっと怖いにちがいない──そう思いながら、取り出したハンカチで、そっとその温かな宝石のつや色をした瞳の端にあてがい拭いていく。
もう、瞬きしても涙は落ちない。竜世は、タイラの行動に驚きながらもその場で確信した。
(──コイツいいヤツだ)
子供にとって、それは絶対的な信頼の証。
(じゃあやっぱオレがたすけなきゃ!
オンガエシってやつだ!)
強く、思う。それは怖さも吹き飛ぶ意志の力。
「よしっ、オレもーだいじょうぶ!」
「よかった……あ、思い出した! こういうときは、マイゴセンターってママンがいってた気がする。
そのばしょをききに──」
「だからいこうぜ! おかあさんさがしだ!」
「うん! ──えっ!?」
竜世が再び、タイラの手を強く握って走り出す。
「えっと、フジンフクだったら……アイスのとなり──こっちだ!」
驚いたタイラも、最初は慌てて竜世に迷子センターについて伝えようとしたものの──引っ張られてしばらく走れば、このまま竜世と一緒に母を捜した方が、きっともっと早く見つかる、そんな気がした──
二人は、フロア中を移動しながら走り続ける。
すると人混みから少し離れた所、最初に待っているよう伝えられた場所で、すらりとした、柔らかなライトブラウンの髪をした、一人の周囲の目を引く女性が立っていた。
「ママン!」
見間違えることはなく。タイラはその心配を隠していない母に駆け寄り、力一杯抱きついた。
驚いた様子のタイラの母も、迷子センターに連絡した後に、ずっと一人で捜し続けていたようだった。その場に屈み込んで、タイラを強く抱き締めた。
竜世は少し離れた所で、それを見た。
「……」
相手との手は離れてしまったけれども、幼心には、これで良いのだと分かっていた。
分かっていたが……それでも、今度の迷子は自分だけ。
「──」
寂しさに、今すぐ泣き出しそうに表情が勝手に崩れてしまう。このまま泣いてはいけないのが分かっているのに、涙が勝手にボロボロに零れそうになった瞬間、
背後から抱き上げられた。
温かい、母の香りがした。
◆
それから、タイラが振り返ったときには既に竜世の姿はなく『せめて一言、お礼が言いたい』と母と一緒に探したが、見つけることは出来なかった。
「リーセは大丈夫だったのかな……」
ぎりぎりまで、帰る時間まで、相手を見つける事は叶わなかった。
それはまるで、タイラと一緒の時だけ現れた、その瞬間だけの幻であるかのようだった。
「そういえば、ボクの名前も言えなかった」
呟くタイラに、母がまた会えるといいわね、と優しく告げた。
それに頷きながら、タイラは今日出会った相手に思いを馳せる。
いつかまた、
(また、あえるといいな……)
竜世は、母と共に歩きながら、タイラへ別れの挨拶をすることなくその場を離れた。
どうやら母と兄は、タイラと直前まで一緒にいたことに気付かなかったようだった。
竜世は兄から怒られ、母からも散々怒られて。それから心配されて抱き締められた。
今日のことは、竜世にとって、何やら特別なことのような気がしたから黙っていたくて。
でも『そんな特別な事』だから、やっぱり黙ってはいられずに。竜世は、ほんの少しだけ口にした。
「オレねーきょうきいろたすけたんだ!」
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あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
シナリオにご参加下さいました皆様、最後までご閲覧下さいました皆様、誠に有難うございました。この度MSを努めさせていただききました冬眠と申します。
今回は皆様にとってどのようなシーンをお預かりさせていただけるのかと、かなりの緊張と共に焦がれるような気持ちにてアクションをお待ちしておりました。
そしていつにも増して、いただきましたアクションは度肝を抜かれる規模にて、身に余る光栄なものばかりでして…。果たしてこんなに凄いものが自分の手に触れて良いものなのかと思うほどに、皆様のキャラクター様にとっての大切な時間をお預かりする事が出来ました。
本当に今回ご参加くださいました皆様には感謝の念に堪えません。執筆させて頂きました時間は、大変かけがえのない大切なものになりました。心より御礼申し上げます。
それでは、この度は改めまして本当に有難うございました。ご縁ご機会等がございましたら、またお目に掛かれますことを願いまして。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月21日
参加申し込みの期限
2019年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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