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【遠きあの日の煌めきが】
深倉 理紗子
は、夢を見た。
深林 真瞭
は、夢を見た。
それは、今となっては眩くて目も向けられない光の奔流。
遠くに見た、
輝き忘れられない過日の出来事──
◆
過去──都内の名門女子高に、二人の少女が通っていた。
一人の少女は、文字通り文武両道の才媛だった。
一人の少女は、音楽に愛された才能を持っていた。
だが彼女達は、他者から様々な理由を以て、それを全面的な己の価値とする事を認められない存在だった。
片方は、その血の滲む努力を両親に認めてもらえることはなく。
もう片方は、その才能を妬まれ人格を苛まれた。
彼女──理紗子は。
彼女──真瞭は。
そんな彼女たちは中学時代に偶然出会い、そして高校生となり運命的な再会をした。
親友となった二人にとって、そんな互いは特別な存在だった。互いに対してだけ、才という無為に重い枷を外せた。
「わたし、やっぱりだめなのかな……」
高校二年生の初夏。理紗子は、窓からの廊下に差し込む光が少し当たりの強くなってきた、廊下でぽつりと呟いた。
授業が終わり、部活が始まる少し前。今日は、僅かな喧噪が過ぎた廊下は、その場に留まる人の姿も僅かで、とても閑散としたものだった。
「どうしたの? また何か言われたの?」
「う、うん……」
見るからに落ち込む理紗子に、真瞭が尋ね掛けた。
──理紗子は、理数系特進コースに在籍している。成績は常に学年上位の三番以内に身を置いており、予備校の全国模試でもそれが見劣りする事はない。文武の武に至れば水泳でも自由形200メートルでも入賞経験を持つ、文字通りの才女である。
……だが、それが両親に認められることはない。家には常に努力の見えない、出来の良い兄と姉とで比較され、褒めてもらえるどころか父親からは駄目出しと罵りしか受けていない。
いつも思うのだ、これ以上どうすれば良いのかと。
「気にしちゃダメだよ、りさちん頑張ってるじゃん!」
そんな時、いつも真瞭が話を聞いてくれる。選択した学科コースが違う為、顔を合わす機会が極めて短い間であったが、それでも力強く告げてくれる彼女の言葉に、理紗子は何度も心を救われてきた。
「まーちゃん……」
「あ──私、先生から新しい楽譜もらわないといけないから、いつもより早めに行かなくちゃ」
「楽譜……、あの……?」
「うん。油断して一日部室に置いといたら、びりっびりに破かれてたアレ。
先生に話したら『学校に楽譜を置いておく方が悪い!』って」
心を曇らせ尋ねた理紗子に、冗談めかして真瞭が笑う。
理紗子が話を聞いてきた限り、音楽科に身を置く真瞭の楽譜が破られたのは一度や二度ではない。ヴァイオリニストとして才能に花開かせて、既に幾つかのコンクールでも、優勝を含めて賞を持つ真瞭への周囲からの風当たりは決して良いものではなかった。
「楽譜なんて、みんな学校に置いていない子の方がいないくらいなのにね……あはは」
笑って話していた、真瞭の目じりが悲しく光った。
「まーちゃん……! 大丈夫だよ、まーちゃん何も悪くないよ」
「……っ。
……うん、うん……」
廊下を通る人陰もない。誰もこちらを見ていない。
そんな、落とした言葉と流した涙は、大切な二人きりのものだった──
そんな毎日が続く。
綱渡りの人生を、ほんの僅かな時間で癒やす。
存在するのはやっとだけれども、何とか呼吸はしていける──二人にとって、人生は、そんな毎日。
しかし、それが大幅に揺れる事件が起こった。
その時、理紗子は理科の授業で『校内のあちこちの音を拾う』という、授業で使用する採取した音源の確認をしていた。
風の音を採取しようと中庭に置いたICレコーダーの再生ボタンを押す。
しばしの無音……やはり、風の音は余程強くないと拾いにくいのかも知れないと思ったところで、
「ねぇ、深倉さん」
「──っ! ぁ……なに?」
不意に背後から声を掛けられた理紗子の身が、恐怖に身構えるように硬直をした。
──普段から、理紗子には家に安心する居場所すらない。心が無防備でいられる時間は極めて少なく、会話をしていても、安心出来るのは真瞭と四歳年上の次姉のみ。
そんな雰囲気が相まってか、あまり話し掛けられる事も多くない理紗子は、突然の呼び掛けがクラスメイトからのものだと気付くと、怯え詰まらせた喉から、何とか声を絞り出してそちらを振り返り──その話を聞いて、耳を疑った。
『深林真瞭が、高名な音楽家である客員講師の楽器を盗み、自分の鞄にしまっていたのが見つかった』
理紗子は衝撃のあまり、次の瞬間には、その話をしたクラスメイトの事など、瞬時に思考の端から消え去った。何も思い浮かばない──それはまるで、脳が何も浮かばない真っ白な石にでも変わってしまったようだった。
そんなクラスメイトは、真瞭が校長室に呼び出されたらしいとまでしか知らないようで、話を聞いた理紗子の動揺が移ったのか、逃げるように立ち去っていった。
理紗子はまた一人になったが、心は先程とは異なり、まるで大嵐が来たかのようだった。
「まーちゃん……うそ──そんなの嘘……!
何とか、なんとかしないと……」
真っ白だった思考が、次の瞬間には混乱でぐちゃぐちゃになる。
心の動揺そのままに、立ち上がって辺りに視界を揺らめかせた、その時。
『──、……』
背後から、声がした。まるで取り乱す理紗子を嘲笑おうとするかのような、複数人の女子の声がした──
「……!」
本当に泣きそうな心と、極めて稀に湧き上がった、苛立ちの心を伴ってそちらに振り返る。
するとそこには、先程まで無音だったはずが、今や雄弁に何かを語り始めるICレコーダーの様子が目に入った……
「やってません! 本当なんです!!」
「だが、こうして君の鞄から……」
真実を込めた真瞭の言葉。
だが誰も、それを信じようとしなかった。
己の鞄に隠されていたという物証に、噂が広がりきったのであろう学校中の人間が、憐れみと軽蔑の目で真瞭を見ていた。
「来て下さった先生は大層お怒りでね。我が校としても、このような不祥事を放っておけないのだよ。
君の才能は、以前から重々に尊重してきたつもりだ。しかしこの事態だ。我が校では、これ以上君を庇うことは──」
「ですから、やってないって──!」
涙ながらの叫びが届かない。
今までのは、ただの嫌がらせだと思って耐えてきた。陰湿の極みであったが生活が大きく揺らぐものでもなく、教師達もそれを知りつつ黙認をし続けてきた。
才能への嫉妬や妬みで動いている自己練磨を忘れた人間は、既にこの分野では『手遅れ』であり、かつ他者がそれを何かで制する事は出来ない事を、芸術の観点から教師達は良く知っていた。
そして才に恵まれた人間は、その道に生きる以上、羨望と共にその嫉妬と妬みを、常に一身に浴び続ける存在である事を学ばなければならない、とも。
それらを、ある程度は真瞭も理解していた。しかし、そうして放逐された今回の相手──嫌がらせの犯人達は、今頃楽しく喜んでいる程度であろう。
だが、その境目を見誤った教師達の見識一つで、今明らかに真瞭は退学の崖縁へと立っていた。
「親御さんが来たら改めて説明するが……
君には処分が決まるまで、しばらくの──」
──瞬間、
汚泥で塗れた校長室の空気を、ドアごと壊しかねない雰囲気を伴って叩かれる音が響いた。
そして誰かの許可を得ることもなく、そこにはドアが開いているのを確認した人物──理紗子が、弾けるように飛び込んで来た。
「りさちん……!」
「な……っ! 何事かね!?」
「これ! 聞いて、くださ……!! 悪くな……!
理科の、授業で……課題で……音を──!」
息切れで、説明するのも大変な様子で。理紗子は、周囲の教員の制止も聞かず、飛び込んだ部屋の中央で最大音量にしたICレコーダーの再生ボタンを押した。
流れたのは、同級生くらいの少女の声であろうに、とても下ひた笑い声。
そして、盗んだ楽器を相手の鞄に潜ませるところまで、卑劣な計画を嬉々として練り話し続ける、真瞭の同級生たちの声だった──
先生達が、野次馬で見ていた生徒達を含め、一旦教室に戻るようにと、動揺に揺れた声を張り上げている。
「りさちん……! 大丈夫……っ!?」
そんな真瞭の目の前で、理紗子が廊下に座り込んでしまうのが見えた。
あんなに必死な理紗子は、真瞭ですら見たことがない。
慌てて駆け寄って、手を伸ばす。
そんな真瞭に、自分でもその行動が信じられない様子であったのか、消えきれない緊迫の中からも困ったように理紗子は言った。
「いつも助けられてばかりだから……今度はわたしがまーちゃんを助ける番だと思ったの……」
その言葉の驚きに、真瞭は真顔で理紗子の顔を凝視した。
そしてこの時、真瞭はただ確信したのだ。
自分は──生涯の親友を、ここに見つけたと。
その事件から数ヶ月が過ぎた、秋の日。
このニ週間ほど、理紗子の口数は目に見えて減っていた。成績に影響していないことが不思議なほどに落ち込み、真瞭の前でも話はするが、殆ど笑う姿を見ることはなくなった。
理紗子は話さないが、間違いなく家庭事情の積み重ねなのは、真瞭には直ぐに分かった。
そんな理紗子にとって、今にも足先を乗せている細い綱が切れそうな、前も後ろも何も見えず、直ぐにでもそのまま落ちるのではないかという錯覚すら感じ始めたある日のこと。
「え……? こ、これ楽器……!?」
真瞭から、一つの細長い箱がプレゼントされた。
開けるよう促されてその場で開けば、そこには決して安物とは言い難い、一管の銀に煌めくフルートが収められていた。
「こ、これ……まーちゃん、これどうしたの……っ!?」
「もうすぐ秋の学園祭でしょ? 私のヴァイオリンとデュエットするから!」
「ま、まーちゃん──っ!?
わ、わたし……楽器なんて、授業でやったものくらいしか……!」
「もちろん、猛レッスン! りさちん、ビシバシしごくから覚悟しておいてね!」
それは真瞭からの一方的な宣言だったが、今の心的状況が学業に影響が出るのも時間の問題だった理紗子にとって、フルートに触れるということ、真瞭と新しい事をやるということ……
それらは、真瞭から理紗子への、確かな救いの手となったのだ。
そうして「Je t'adore.」──フランス語で『大好き』と云う、奏でられた曲と共に残った想い出は、お互いにとってもまさに掛けがえのない、神が与えた救いの時間となった。
──そうして参加した秋の学園祭は、華やかな調和を以て、二人の胸に温かなものを残し、大成功のうちに幕を下ろした──
◆
「──!!」
そこで、理紗子と真瞭の目は覚めた。
まるで、奇しくも同じ夢を同時に見ていたかのように。
──何という懐かしい夢だろう。
そこでは、今よりも何よりも情熱をぶつけ合った姿があった。
互いの為に思いをぶつけ、心をぶつけ、そこにはどこまでも互いの最善を探し合う姿があった。
なのに……今は。
不審と不信の記憶は消せず、互いの関係に残った傷はその表層に、醜い瘡蓋を形成させて。
今となっては、互いにそれを触れないようにする為に、何処にも響かない上辺の言葉がすれ違う。
そう、春の桜が散る時に──その最上であった思いも心も、千々に散り去っていったのだ。
「……っ!」
理紗子が、真瞭が。互いが同時に顔を押さえた。
滲み続ける涙を、抑える術が見つけられなかった。
頬を伝う親友との想い出の結晶が、今はただ、その手指の隙間から、ほろほろと静かに零れて落ちた──
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3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年01月21日
参加申し込みの期限
2019年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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