土用のニョロニョロ！｜リアクション

土用のニョロニョロ！

　朝から勉強していた八神修は、スマホの振動に気づき電話に出ました。
「鰻の大量発生？！」
　座っていたイスがガタン、と音を立てます。
　電話を切った後、ねこったーを開き情報を確認して、修は頷きました。
「鰻漁ができるな」
　そうと決まれば勉強は延期、準備が要ります。

　寝子高１年生の楡宮遠海もねこったーを見ていて「猫又川にウナギが大量発生」との情報を知りました。
「画像や動画まである……」
　川を埋め尽くす勢いで増殖しているウナギの画像やら動画を見ていると、食いしん坊の虫がうずきだしました。
　遠海はやせの大食いです。軽音部に所属して、ハードな練習をこなしているとカロリー消費が激しいのか、とにかくお腹が空いてたまらないのです。
「もういてもたってもいられない！」
　遠海はさっそく猫又川へ向かいました。

「猫又川でウナギが大量発生？」　
　恵御納夏朝は立ち上がりました。
（ウナギを食べれば、身体的な意味で元気になる……気がする……！）
　これから何が起こるかわからないし英気を養いたい、と思う夏朝です。
（沢山捕まえたなら、晩御飯や明日の朝御飯に……！）
　念の為、スマホや貴重品などを前もってコインロッカーに預けて。
　そして夏朝は虫取り網を買って川へ。
（ウナギの重みに耐えてくれるかな……？）

「土用の丑の日なのにウナギがないだって！？」
　いつも眠たそうな目つきの水守流は、スーパーで絶望の声を上げていました。
「なんてこった……」
　心底がっかりして頭を抱える流の姿を見かねたか、鮮魚コーナーのおじさんが教えてくれました。
「ああ、でも今なら川へ行けばウナギがたくさんいるって聞いたよ」
「え？　ウナギつかみ放題な場所があるだって？！」
　途端に元気になった流は、おじさんに場所を聞いて早速走り出しました。

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