土用のニョロニョロ！｜リアクション

土用のニョロニョロ！

「たくさんいるなあ……これなら捕まえられるかな？」
　猫又川についた夏朝はとりあえず、猫又川に入って網を構え。
　ウナギを掬い取ろうとしますが……
「……って、やっぱりぬめるー！？」
　網に入ったウナギはすぐに逃げ出してしまいます。
「逃げないでー！」
　叫んでも聞いてくれるはずもなく。
「それなら、掴めば……」　
　逃げ出したウナギを掴もうとしますが、そううまくはいきません。
「うわあ！」
　挙句ウナギはにょろにょろと夏朝の服に入り込もうとします。
「何が何でも捕まえて食べる……食べてみせるー！」　
　気合でウナギを掴んだ夏朝の胸に、なんだか黒い思いが湧き上がります。、
（これは……フツウを壊す輩の仕業かー！）
　けれど、それにしても急すぎると思えて、夏朝は掴んだウナギを見ました。
　目が合ったウナギはぞっとするような顔をしていました。例えると、悪魔のような……
「もしかしてこのウナギのせいで？」
　夏朝は慌てて悪魔ウナギを放し、別のウナギを掴みます。
　ビリビリ！
　電気ウナギでしたが、悪の心に支配されるよりはましです。
　そうして自制する夏朝に、波の音が聞こえました。
　ザザザザザ……
　遠くからこちらへ押し寄せてくる黒い波。ウナギウェーブです！
「１匹捕まえたらさばいてもらうつもりだったけど……」
　夏朝は逃げるどころか、ウナギの波に突っ込んで行きました！

「川……どこ？」
　そのころ遠海は、地図を手に途方に暮れていました。
　地図の通りにきたつもりが川は見つからず、今いる場所すらわからなくなっています。
　母子家庭で育ちかなりしっかりしている遠海ですが、地図を読むのは苦手でした。
「たどりつけるかなあ……」

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