ロケット花火でBATTLE☆｜リアクション

ロケット花火でBATTLE☆

「どこいったのかなー？」
　そう言いながら人の姿を探すミーティアを、花火が狙う。山の方から飛んできた花火を、ミーティアはかがむようにして避けた。
「あら、避けられちゃったかしら」
　九夜山にほど近い場所で、神野は呟いた。花火が見えないということはそういうことだ。もう少ししっかりと狙わないと駄目だろうか。そう考えてロケット花火を構え直したところで、大柄な人影を見つける。羽生だ。物陰から物陰へと移動する彼女の姿を捉えると、そちらへ向けてロケット花火を撃ち出す。
　羽生はこちらへ向かってくる花火の気配を感じて、物陰に飛び込むようにしてそれを避けた。コートの上だと思うと不思議なもので、普段感じられない気配まで感じられる気がする。そして、素早くロケット花火を構える。目標は先程向かってきた方向……神野の方だ。
「……よしっ」
　小さくそう呟いて、神野の方へロケット花火を投げる。ロケット花火は、闇夜の中を切り裂いて神野の方へ向かったが、神野の横を通過するだけで終わった。避けるまでもなく、狙いが逸れているようだった。
「あら、こちらの姿を見られたわけではなかったのかしら」
　そう言って神野が傘を下げたところに、二撃目がやってくる。一撃目は陽動で、二撃目こそが羽生の本命だ。
「……！」
　神野は息を飲んで、傘を構えた。どうにかそれで花火が当たるのを防ぐ。傘の前で、花火がパンと弾けた。
「……当たらなかった、か」
　花火が上がらない様子に自分の企みが失敗したことを悟る羽生。次の手を考えなければいけない。
　そうしているうちに、羽生のそばで花火が弾けた。先程の攻撃で居場所がバレてしまったらしい。
　攻撃したのは小山内だ。「アクセラライン」で速度を強化した花火が羽生を襲う。羽生はダッシュでその場から離れ、あえて自分の身体を敵に晒す。狙いはここだ、とでも言うように。　
　羽生の姿を確認した小山内は、いつも持っている筆談用のペンで空中にまっすぐなラインを描く。その軌道を辿るようにして、ロケット花火が加速していく。通常の何倍にも加速したその花火を、身を低くすることで羽生は避けた。そして、投げるようにしてロケット花火を撃つ。
　その花火を避けるため、小山内は空中に線を描いた。自分を避けるように、花火が逸れる。背中を家の壁に預けるようにして、次々と線を描いて花火を撃ち出していくが羽生は器用にその気配を察知して避けてしまう。
　そうしているうちに二人目の気配を感じ取った。ヒューバートだ。羽生に気を取られているようで、まだ小山内に気付いている様子はない。チャンスだ。
「よぉし……！」
　小さく呟いて身を乗り出し、ヒューバートに向けて線を描く。加速する花火が、ヒューバートに向かっていく。
「ヒュー！　左！」
　物陰に隠れた城山がそう告げると、ヒューバートは身体を捻るようにして避けた。そして、城山が背後から小山内を狙って花火を撃ち出す。まっすぐに向かってくる花火に向けて線を描くが、間に合わない。咄嗟に身体を転がしたせいで避けることは出来たが、敵の前に身を晒すことになってしまった。羽生、ヒューバート、小山内の三人が身体を晒した状態になる。
「出てきた……！」
　そう言ってわずかに笑ってみせたのは羽生。自らの姿を晒すことによって、敵をおびき寄せる作戦が見事に嵌った。誰よりも早く、羽生は小山内に向けてロケット花火を撃ち出す。狙いを定めることは出来なかったが、二人の間の距離を考えれば十分だ。向かってくる花火に向けて、小山内は自分を避けるようにして線を描いてみせた。そのライン通りに、ロケット花火は軌道を描いて加速していく。
「っ、そういうこと……！」
　羽生は悔しげにそう呟く。二撃目の花火を用意しているうちに、横から花火が飛んでくる。避けることも出来ない、もう終わりか――その状況で、羽生のろっこん「恋する乙女は傷つかない」が発動した。周囲に張られたバリアで、ロケット花火はその場に落ちる。
　ほっとしたのもつかの間、ヒューバートの花火が小山内を襲った。まっすぐな軌道は読みやすい。小山内は空中に線を描いて、いともたやすくその軌道を曲げてしまう。
（当たらなければどうということはないんだよ）
　しかし、それは囮だった。背後から城山の花火が小山内を襲う。
（しまった……！）
　目の前の二人に気を取られて、完全に意識を疎かにしてしまっていた。ロケット花火がぶつかり、弾けた時にには既に遅かった。目の端にロケット花火を握る城山の姿が映る。
　そして、小山内は打ち上げられた。青い花火となって、空を彩った。

このページにイラストを設定する

ロケット花火でBATTLE☆

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧