推理ゲーム『ねこじま人狼』5th｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』5th

●モンスターの妹のＣＯ

　サキリの呼びかけに答えるように、スライドではありませんが、と壱都が小さく手を挙げた。

「遅まきながららっかみＣＯ（カミングアウト）、させていただきます」

　彰尋がはっと顔を上げ、壱都を見つめる。
　それに気づき、壱都は彰尋にクールな眼差しを向けた。
「何か？」

「あ、ああ、いや……俺さっき、役職言っちゃったこと、まだ迷っていたんだ。騎士って役割は、あんまり話しちゃいけない気がしたけど、狼の攻撃が一回だけだったら良いのかな、それともまだ伏せておいた方がよかったかなって」
　それな、と春彦が話に乗ってくる。
「残りがらっかみと騎士なら役職オープンにするより占い結果で判断したほうがイイんじゃねぇかなってのと、
騎士名乗ったら襲われちまうんじゃって思ったんだケド、人狼殺っちまえばセーフなのか」
「そこがなんとも……」
　彰尋は曖昧に微笑み、壱都を見た。
「八重崎さんの伏せも気になってたけど、俺が言っちゃったから状況が動くかもしれないと思っていたら、いの一番でカミングアウトだったから驚いたっていうか」
「そうでしたか。鴻上さん、らっかみ人狼に参加するのは初めてですか？」
「ほぼ初心者だと思って貰えたら」
「私も似たようなものですが、以前姉が参加して、モンスターと呼ばれるくらい暴れたらしいんですよ」
　それを聞き、八重崎さん……って呼んだら紛らわしいかと、海は『いとちゃん』とスケッチブックに綴った。
『いとちゃんもあばれちゃうの？』
　スケッチブックを表にして皆に見せる。
　それを見て、壱都は苦笑いした。
「そんなつもりはなく……結果的にそうなったら申し訳ないですが」
「どうしてここでCOしたか聞いてみたいな」
　武道が目を見て訊ねると、壱都は小さく頷き返した。
「伏せていた理由、そしてこの段でCOした理由は、開幕COしても『占われたくない妖狐』と見られる可能性があったからです。結局自分以外COが出揃ったので……加えて人外勢力2人で占い3COという事態が起こり、ほぼCOしても問題ないし、伏せても余り意味がない状況になったと判断しました」
　成程、と三人の占い師のひとりである武道は手を顎にあてた。
　壱都は今度は彰尋の方をみて続ける。
「……鴻上先輩の騎士COに乗っかって騎士COして狼の噛み先をぶらす……というのも思い付きましたが、余り意味はないし村に余計な混乱を招いて策士策に溺れる……なんて事になるのも怖いしやめました」
　こほん、と咳払いし、これで主張は終わりと紅茶を口に含む壱都。

「これでひとまず全員が役職オープンってわけだな」
　流は目を閉じて顎に手を当て思案顔である。

「そんなわけで、……これは、占い3人を疑う他、ないと思います」と壱都は言った。
「人外勢力が2人しかいない以上、占いが3人いるのは素直に考えれば残りは騙り……そして恐らくは人外でしょう……というかこの状況でそれ以外人外なんて状況は……正直考えたくないです」

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