推理ゲーム『ねこじま人狼』3rd｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』3rd

●　モンスター・イロハ

「はいはーい。狂人の五郎八さんですよー」
　五郎八は微笑を浮かべた口唇の下に指を当てた。
「アヤシイ人？　強いて言えば私！　なーんてね！」
「ほんとに狂人なのか？」
　単刀直入に衛が問う。
「ものまね師かと思ったけど、それにしちゃ狂人を演じてるっとは言えねえ気もするし……そもそも俺が主張したタイミングだと、ものまね師は最初に占いに出てきた４人の中ににいるんじゃねえかなって思ってたんだ。それに、狂人は初手狂人カミングアウトとかフツーはしないし」
「ほう……」
　五郎八は短く感嘆の声を上げ、それから、ふふり、と余裕たっぷり笑って見せた。
「そうだね、狂人のセオリーは『騙り』だけど、それをしなかった理由は……現状見れば言わなくても大体分かるか。狂人が出なくても役職的に騙りが複数出るのは目に見えてたからね。なら、下手に騙り増やしてローラー展開より狂人カミングアウトして『露骨に怪しいけど放置も少し怖い、可能なら吊りたい』位置になっておこう、って次第」
　五郎八は余裕綽々の表情を崩さない。

「トワはー、イロハは７割狼少年で３割狼の目で見てるデス」
　トワは口をもごもごさせながら言った。口の回りにクッキーの欠片がついている。
「狼少年なら、吊られても吊られる前に役目は果たせるデスカラ。デモ、狼少年すぎる、から狼の可能性もあるカナーと思ってみるマス」
「まあうん、そう思うなら私に投票するといいよ……占っても多分私、黒判定出るだろうし……ねえ狼少年さん？」
　五郎八はトワだけでなく全員を見渡して、ふふり、と笑んだ。

　紅茶を片手に話を聞いていたサキリは、ここが区切りとばかりにティーカップを置いた。
「これで主張は出揃ったね。誰も撤回なし、か」
　サキリはエムアから借りた万年筆で、紙ナプキンに状況を整理して書きつける。
「配役主張を聞いて思ったのはメンバーは三つの組に分けられるってこと。僕の推理はこうだ」
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　　島民組
　　楢木、トワ、新江、サキリ
　　構成［島民×２、パン、騎士］

　　占い組
　　卯木、来島、水守
　　構成［占師、狼、狂or狼少］

　　それ以外組
　　八重崎、志波、屋敷野
　　構成［物真、狼、狂or狼少］
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「吊りの機会は二回しかない。違う組で二回吊るより同じ組から二回吊る方が的確だね。また同じ組に人狼が２人いる事は考えにくい。僕が一番怪しいと見ているのは――」
　サキリは透明のナイフをひらりと振るった。