ニャンとめでたいワンダフル！｜リアクション

ニャンとめでたいワンダフル！

【偉かったいぬとねこの新しい名前】

「……物凄い、量ニャね……」
「これは我も想像していなかったワン……」
　他の世界の来客が全て、元の世界へ帰った後──祭りの後片付けが行われている傍らで。
　プレゼント広場でねこの王さまと、犬のしょうぐんの名前投票箱を開いたところ、そこには予想を遙かに超える量の名前が書かれた紙の山が詰まっていました。

「さあ！　みんなが一所懸命に考えた名前だわん！　偉くなくなった記念に、有難く選ぶわん！」
　中立共存の会に所属する、焦げ茶色のいぬが、鞭でも振るかのように一際偉そうに口にします。
「選ぶから、まずは中立共存の会の、このうるさいいぬの口を縫い付けるところから始めるニャ」
「……済まないワン……中立共存の会に入る前は、このいぬもこんな奴ではなかったのだワン……」

　そうして、口だけで腕力も何も無いいぬが叩き出されると、ねこの王さまと犬のしょうぐんは、口づてで聞いた名前もその由来ごとを大切に伝えながら、一つ一つ両方を大切にしながら吟味しました。

「そう言えば、寝子島でも星幽塔でも、名前は二つあるニャね」
「『氏と名』だったか？　我々に必要だろうかワン」
「寝子島に降り立つなら、あった方がいいかも知れないニャ。せっかくだから二つずつ付けるニャ」

　それから、撤収が行われても名前を決めている間はそのテントは後回しにされ、最後には祭りの痕跡はそのテントだけとなりました。

「決まったニャ。この紙に書いて、中立共存の会に一応渡しておくニャ。
　……この世界のいぬねこには浸透しないかも知れニャいが、それでも『もし、ひとの姿となれれば大切となる』新しい名前誕生の日ニャ。大事にするニャ」

　そうして、犬のしょうぐんとねこの王さまは、一枚の紙にそれぞれが署名するように、新しく決めた名前を書きました。

　ねこの王さま『シリウス・グラン』
　いぬのしょうぐん『ようくん・しょうそ』

　その瞬間から──それが今までこの世界で、何よりも偉かったいぬねこ達の、新たな名前となったのです。

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