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あの空の向こうに
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夕方、
御剣 刀
は駅前に立っていた。
今日16時の便で本土から紗那が来ると、兄の
中山 喬
から聞いたからだ。
「迎えに行かないのか」と訊くと、喬は「店までの道はあいつも知ってる」と答えただけだった。
相変わらず、あの兄と妹の間の距離は1ミリも縮まっていないらしい。
刀も詳しいことは知らないが、過去、何か理由となる出来事があったのだろう。そこに2人の――というか、たぶん紗那の――感情が加わって、物事が複雑化しているような気がした。
少なくとも、喬のほうには紗那ほど感情的なこだわりがあるようには見えない。
(というか、あれはほとんど無関心の域じゃないか?)
他人である刀のほうが、よっぽど紗那のことを考えている気がする。紗那は、たとえいらだちや怒りといった感情でも、ちゃんと喬にぶつけているのに。
だからかもしれない、紗那のことをほうっておけないのは。
当時のことを思い出し、そんなことをあれこれ考えていると、改札口から紗那が現れた。
「御剣さん? どうして」
驚きに目を瞠っていることには気づかないふりをして。
「やあ紗那さん、寝子島へいらっしゃい。
久しぶりだね。また会えて嬉しいよ。元気そうで何よりだ」
刀は彼女の傍らに寄ると、笑ってあいさつをした。
「ここへ来るのも久しぶりだ」
寝子島を案内する、と言って、前に釣りをした寝子島海岸へ連れて行くと、刀はのんびり海岸を歩きながら、「ここの海岸ではシーグラスが取れるんだよ」と教えた。
「探してみる?」
「そうですね……」
「『memoria』へ行けば、喬くんか密架さんが、アクセサリーにしてくれるよ」
との言葉に、しゃがんで砂を見ていた紗那の肩が揺れて固まる。
「……兄は、相変わらずですか」
慎重に、探るような言葉。
「知らないの?」
首を振る。
「……電話とか、メールとか、しませんから。父と密架さんは、ときどき連絡を取り合ってるようですけど」
「密架さんは――」
「おばです。わたしの母の兄――わたしが生まれる前に亡くなっているんですけど――の奥さんだったそうです」
「そうか。
ご両親は息災?」
世間話として、話に出たついでに軽く訊いただけだったのだが。
紗那が肩越しに複雑そうな表情で見返してきたことに、刀は驚いた。
紗那の口元に歪んだ笑みのようなものが浮かぶ。
「ごめん。答えづらいことを訊いたみたいだね。知らなくて――」
「いえ。いいんです。御剣さんは悪くありません。
ただ、それを訊くのが他人のあなたであることが、ちょっとおかしくなっただけで……。
あの人、一度も訊いたことないんですよ。まるで、最初からいないみたいに無関心。……あんなこと、しでかしておきながら……」
「何があったの?」
もしそれがつらいことなら話さなくていいといつでも言えるよう、探りながらの刀の言葉に、紗那は彼の気遣いを感じ取り、泣き笑いのような表情を浮かべて首を振った。
「詳しいことは何も。わたしも教えてもらえてないんです」
一握り、掴んだ砂をさらさらと海風に飛ばす。そうしてまぎらわしながら、感情の消えた声で紗那は話した。
彼女の母親は、彼女が物心つく前からずっと喬のことばかりで、彼女に無関心であったこと。喬は離れと呼ばれる、庭にある別棟で暮らしていて、紗那とも父親とも離れて暮らしていたこと。
「母は、お手伝いさんが離れに近づくのも嫌っていて。わたしは一度も連れて行ってもらえませんでした。
あそこで男の子が暮らしているのは知っていたけど、それが兄だということを知ったのは、ほんの数年前なんですよ? それまでわたしは、あれはよその子だと思っていたんです。そんなはずないのに。おかしいでしょう?」
くすりと紗那は笑ったが、全然楽しそうには見えなかった。
「小さいころ……わたしが6つで彼が8つだったでしょうか。みんなの目を盗んで離れに近づいて。「母を独り占めしてずるい」と罵ったことがあります。「母をかえして」って……」
「彼は何て?」
紗那はまた首を振った。
「兄はずっと無表情でした。わたしは、直後に母屋へ連れ戻されて。「もう二度と彼には近寄らないで!」と母に強く叱られました。
あのとき、気づくべきだったのかもしれません」
「何に?」
「……違和感に。わたしの家は、おかしいんだって」
だけど当時の紗那は子どもで。わからなかった。比べるよその家がどんなものか、わからなかったから。
「わたしは母の言いつけを守りました。いい子にしていたら、母がわたしを見てくれるようになるかもしれないと思ったんです。でも、駄目でした。
あの日、夜中に離れから火が出て。離れは全焼。兄も母も重傷を負って、病院に運ばれました。骨折と複数の切り傷、特に腹部の深い刺し傷で、兄は半年入院していました」
「何があったの?」
「わかりません。母は、火傷は軽かったんですが、心が深く傷ついて……殻に閉じこもって、もう何もわからなくなってしまっていたんです」
それでも、父親と密架はあそこで何が起きたか知っている気がした。
そしていつの間にか喬は退院していて、父親にここへ様子を見に行ってくれと言われるまで、紗那は彼がどこに行ったかも知らなかった。密架と一緒だったことも……。
ぱんぱん、と服についた砂を払って立ち上がり、振り返る。
「わたしだけ、ずっとかやの外なんですよ」
(まあ、あの状態の兄に殴りかかって化け物と罵ったわたしに、教えてくれなくても不思議じゃないけど)
「ごめんなさい。こんな話、聞かされても困るだけですよね」
「いや、そんなことは……」
ない、とは言えなかった。消化しきれていない部分がいくつもある。だが質問して、これ以上紗那を傷つけることもできないし、第一本当に、紗那はこれ以上何も知らないようだ。
「……ごめん。力になれたらいいと思ったんだけど。
わざわざ来てくれているんだし、中山はあんな様子だから、何かしてあげたかったんだ。
まあただのお節介だけど。迷惑だったらゴメン」
「ふふっ。迷惑だなんて。御剣さんはすごく優しい方です。あの兄とは大違い。
話を聞いていただけただけで十分です。こちらこそ、ありがとうございます」
それでも思い悩んでいる様子の刀に、紗那は笑顔で言った。
「それで、次はどこへ連れて行ってくれるんですか? 御剣さん」
シーサイドタウンで下車したとき、紗那がふうと息をついた。
「暑い?」
「少し」
遠慮がちに言う彼女を見て。
「そうか。じゃあどこかでひと休みしようか」
と提案をする。
確か、紗那さんは甘味に目がなかったはず、と甘味処を探して入り、合わせて昼の軽食も取った。
「せっかく島に来たんだし、今度は皆を誘って海で遊ぼうか?」
「わあ。海で泳ぐのは初めてです」
生まれも育ちも海に面していない内陸育ちの紗那は、すごく乗り気で、うれしそうに応える。
そして店を出た後、星ヶ丘を案内した。
特にこれといって目立ったところはないけど、それだけに、落ち着いた派手さというか、にじみ出る高級感がそこかしこで漂っているように刀には感じられる場所だ。
今日は暑いから、水分補給には注意して、できるだけ涼しい場所を探して歩きながら案内して、最後に寝子電で旧市街へ戻った。
駅前のコインロッカーから、預けてあった荷物を取り出して、参道商店街へ向かう。
「ここを抜けると寝子島神社があるんだ。俺はそこでよく剣術の練習をしているんだよ。
お参りして行く? ――っと、ごめん。今日はずっと歩いて、疲れたよね」
「すみません。御剣さんは大丈夫ですか?」
『memoria』へ続く側路の前で、紗那はためらった。
寄っていってほしいと言いたいけれど、あの店は自分の家でもないし……。
そんなためらいを見越してか、刀は首を振った。
「俺は平気。さっき言ったように、普段から鍛えているから。
じゃあ、またね。紗那さん」
「はい! おつきあいいただきまして、ありがとうございました」
頭を下げる紗那に、手を振って、刀は来た道を戻って行く。
そして、紗那から聞いたことについて、考えを巡らせていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年12月16日
参加申し込みの期限
2018年12月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年12月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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