マリンスポーツ、堪能しよう！｜リアクション

マリンスポーツ、堪能しよう！

（ちょっと気になっていたんだよね）
　小山内海は、その名を冠した海へやって来た。
　初めてのマリンスポーツ体験会で選んだのは、ウォータースキーである。
　インストラクターの話を、ふんふん頷きしっかり聞いて、あとは体験あるのみ、レッツトライ！

　二本の板を左右につけて、バーを握った後は、ボートが引っ張ってくれるに身を任す。
　ボートは、ゴオオオオ！　と激しい音とともに、水しぶきを上げて進む。
（わっ、すっごいはやい！）
　ポニーテールの髪が、風になびいてぶんぶん揺れる。ちょっと怖いくらいのスピードだ。
（でも、気持ちいい～！）

　風を受け、ぐんぐん進んでいく先に見入っていたら、足元に大きな波が！
（うわっ！）
　ぐんっ！　と体がバウンドし、スキーの板ごと大ジャンプ。
（あああっ！）
　ビシャン！　と海上着地は結構な衝撃で、緊張と興奮に、鼓動がばくばく速くなった。

（でも今こんなに飛べたってことは、一回転とかトリックを決めるのも楽しいかも！）
　そんなことをちらと思ったとき、少し離れた隣を、モーターボートが駆け抜けた。
　海と同じように、スポーツを楽しむ誰かを引いている。
（あっ、あの人、飛んだ！）
　横向きに、クルリと一回転。ということは、ウェイクボードか。
（よぉし、私もやってみよう！）
　海は、バーを握りしめる手に、力を込めた。しっかり目を凝らして、波の行き先を判別する。

（あの波は……おっきすぎるかな。でも頑張ればできるかも……。うん、あれにしよう！）
　海の胸の中で、カウントダウンが始まった。
（……3、2、１、今！）
　波がやってくるのに合わせて、勇気を出して、大きくジャンプ！

（うわぁ～！）
　ふわり、足の下にあった水の感覚がなくなり、体は中空へ。そのままくるりと一回転。
　そして着水、しぶきが跳ねる。
（あああ、うまくいったぁあ～！）
　さっき、うっかり飛んでしまったときよりも、心臓は激しくなっている。でも心はウキウキ、上機嫌。

（思い切ってやってみたけど、結構楽しいかも！）
　それならもっと、チャレンジしてみたい。
（次はあの波！）
　海は、太陽の光に、きらきらと輝く海面を見つめた。
　まさか海上を飛べる日が来るなんて、思わなかった。

（ああ、本当に鳥になったみたいだった。あとで思い出して、スケッチブックに描いてみようかな。この海と、空と、爽快感！）
　向かってくる波に、高鳴る鼓動。バーを握る手と、ボードに立つ脚に力を込めて、海は深く息を吸った。
（よし、行こう！）