マリンスポーツ、堪能しよう！｜リアクション

マリンスポーツ、堪能しよう！

　三折部朝衣は、黒い三角ビキニとホットパンツという格好で、マリンスポーツ体験会に参加した。
　今まではサーフィンを好んできたから、チャレンジするならウェイクボードがいいかもしれない。
　でもせっかくだから、いろいろやってみるのもいいだろう。
「そうよ、これを機に、レパートリーを広げてもいいかもね」
　そう考えた朝衣が最終的に選んだのは、ジェットスキーだった。

（バイクの免許は持ってるけど……さすがに水上では、勝手が違うわよね）
　そう思いながら、真剣に、インストラクターのレクチャーを受ける。
（でも、そんなに難しくはないのかしら……）
　周囲を見れば、ずいぶん若い子もいる様子。だからと言って油断は禁物だ。

　海上は、夏の光を受けて、鮮やかに輝いていた。
　そこを、ジェットスキーが駆け抜ける。
「うわぁ爽快！」
　朝衣は、セミロングの髪をなびかせて、満面の笑みで、ハンドルを操った。
　機体の下は、アスファルトではなく深い海。
　ゴゴゴ、と響く代わりに、バシャバシャと波が立ち、水しぶきが上がっている。
　バイクとは、似ているようでやっぱり違う。
　特に体に受ける風！　焼けた夏風ではない、爽やかな潮風が、肌に心地よい。
「最高！」
　朝衣は広い海を、存分に駆け巡った。とはいえ最初は練習を兼ねて、そのあたりをぐるぐると。
　そのうちに、大海原をめがけて、スピードを上げた。
「ああっ、クセになりそう！」
　波にのるサーフィンの、浮遊感も素晴らしい。でもこの疾走感は、そう味わえない。
「これは、夏の新しい趣味になるわね！」
　きゅいんっ！　とカーブを決めて、朝衣は海上に制止した。
　と、振り返った遠方に、シュノーケリングを楽しんでいる人が見えた。

「シュノーケリング……もいいけれど、ダイビングはできるのかしら」
　海の上を走るのもいいが、どうせならば、中も覗いてみたい。
　朝衣はしばらくジェットスキーを走らせた後、陸に戻った。
　すると、スキューバダイビングも、体験ができると言う。
「なら、ぜひやってみたいわ」

　インストラクターから講習を受けた後、装備を身に着け、ゆっくり水の中に潜る。
　――と。
（うわぁ……）
　まさか、寝子島という身近なところの海が、こんなに綺麗だなんて思わなかった。
　サラサラ砂の海底に生きるサンゴ礁。煌めく魚たち。
　これはもう、ただ見つめ、息を飲むしかできない。

　朝衣は時を忘れ、海中の自然に見入った。もっと奥へ、海の先へと行きたいところだが、体験会ではそこまではできないようだ。
（これは、今度しっかり、ダイビングの講習を受けたいわね……）
　そして美しい海を、もっともっと体感したい。

　海上でのジェットスキーと、海中でのスキューバダイビング。
　朝衣はすっかり夏の海の魅力に、夢中になっていた。

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