ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞｜リアクション

ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞

◎ゲーセン！

　今日はテスト返却日。
　中学三年の仙藤蒼は上機嫌でテスト用紙を受け取った。
　結果はまあ悪くない。
　でもそれ以上に嬉しいのは、封印していたゲーセン通いを再開できるからだったりする。
　来年は高校受験で、今年の夏休みはさすがに受験一色、という感じではあるけれども……
（でもきっと受験一色にはならないかも。だって勉強ばっかりじゃやっぱつまらないしね）
　
　そんなわけで学校が終わると蒼は、例によってゲーセン『BooM』へ寄り道した。
　制服姿のまま堂々と店内へ。
（試験勉強のおかげでここしばらくゲーセンにも行ってないし、自室のゲーム機はもちろん、スマホゲームにすら触れていないわ）
　筐体から流れる騒々しいＢＧＭや効果音が満ちている中を見て回ると、血が騒いでくる。
（今日はどのゲームにしようかな……）
　すぐに格ゲーの筐体に腰を落ち着けた。100円玉を一枚投入し、まずはコンピューター相手に軽くウォーミングアップ。
「久しぶりだから忘れちゃったかも」
　なんて思ったが、杞憂だった。あっさり強敵を次から次へと倒していく。
　そこへ、スーツ姿の男が現れた。蒼のプレイを鋭い目で眺めている。
　身なりから外回りの営業マンがサボりに来たという感じだ。
　目が合うと、ニヤリと笑って男は言った。
「対戦どうだい？」
　腕に覚えがありそうな男からの挑戦を、蒼は不敵な笑みで受け入れた。

　仙藤紫が大学から帰宅すると、まだ妹の蒼は家に帰っていなかった。
　中学校はとっくに終わっているはずなのに。
「……それにしてもちょっと帰ってくるの、遅いんじゃない？」
　妹は来年高校受験を控えている身だから、さすがにここ最近は好きなゲームを控えて試験勉強に取り組んでいた。
　その様子を見ていたし、紫も大学の前期試験を控えている身だったけれども蒼の勉強を見てあげていた──ので、テスト結果は気が気でなかったりする。
「もしかして……」
　すぐに心当たりを思いつく。
　何しろここ数日、ゲームを封印して試験勉強に励んでいたのだ。となれば、当然その反動が出てもおかしくないわけで……。
　紫はその心当たり──妹がよく通うゲーセン『BooM』へ向かうことにした。
　

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