ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞｜リアクション

ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞

◎テスト勉強

「中間テストはパパに勉強教えて貰ろうたおかげで思っていたよりいい点数がとれてんけど……」
　寝子中２年の輝楽弥生は美術の成績は優秀だが、他の科目はイマイチだ。特に理系科目がいけない。
（今パパは入院中のママに会いに先に大阪へ帰っておらんし、おばあちゃんは店の事で忙しそうやから頑張って1人でテスト勉強するで）
　弥生は中学2年生の春、親の離婚を機に関西から父と高校生の姉と共に旧市街で定食屋さんをやっている祖母の家に引越してきたのだ。
「まずは数学から始めるで」
　ポジティブな弥生は意気揚々と教科書を開いたが、そのまま固まった。
「テスト範囲はわかったけど、1人やとどうしたらええかわからへんな……」
　そもそも解き方がわからない。
（数学のノートみたら解き方思い出すかもしれへん）　
　そう思ってノートを開いてみた弥生は、黄緑の大きな目を見開いた。
「ってノート答えしか書いてへんし！　……改めてみると落書きだらけやな」
　開いたページはスズメのデッサンだらけだった。
「教室の窓にスズメがおった時やからやな」
　絵を描くのが好きな弥生は、その時のことを思い出しながらしげしげとデッサンを眺めた。
「でもこのスズメはここんところがなんかイマイチやな……」
　こうなるともう数学のことは頭から飛んでいる。
「この角度やったらもっとこういう感じになるはずや。書き直しや」
　オレンジのサイドテールを揺らし、弥生は夢中で落書きを書き直し続けた。

　そしてテスト前夜。
「明日テストやな。今日こそ勉強せんとあかんな」
　数学の勉強はさっぱり進まなかったのに、悪びれていない弥生である。
「明日は英語と音楽やからまず英語から勉強するで」
　そう言って英語の教科書を開くが。
（英語もさっぱりやな）
　しょっぱなから単語がわからない。
「わからんところは辞書で確認や」
　使いこまれていない綺麗な辞書を開く。
　単語一つ調べるのも、いろんな意味があるし時間がかかる。
　面倒なのを我慢してなんとか脱線せずにテスト勉強を続けるが。
「あかん……飽きてきた」
　そろそろ集中力が限界だ、という時。
「ご飯だよ」
　おばあちゃんが夕食をお盆にのせて運んで来てくれた。
「おおきに、おばあちゃん！」
　定食屋さんをやっているおばあちゃんのご飯は絶品だ。
「これを食べたら勉強再開や」
　消化によく味もいいおばあちゃんの夕食を食べ、リラックスしながらやる気を新たにする弥生だった。

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