ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞｜リアクション

ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞

◎留学？

　月守輝夜は、ご近所さんの青木慎之介を待っていた。
「お、月守」
「テストの結果どうだった？」
　さっそく尋ねる、輝夜は見せ合えるように鞄から答案を出していた。
「んー、月守は？」
　歯切れが悪い慎之介に、輝夜は答案を見せた。
「私は赤点も無く勉強の成果が出せたかな。一夜漬けにならないように頑張ったもん。受験生だしね」
「グレイト！　すげえな！」
　笑顔を見せてくれた慎之介だが、いつもの元気がない。
「慎之介くんは英語と体育は良いとは思ってるけど他の教科は？　まさか追試じゃないよね？」
　慎之介のことならよく知っている輝夜が畳み掛けると。
「……ギクッ！」
　オーバーリアクションをしてみせる慎之介。
「もしそうなら勉強会開くよ。追試じゃなくてもギリギリだったら教えるし」
　輝夜の優しい言葉に、慎之介は言った。
「リアリィ？　実は家庭科が赤点ギリギリだった。裁縫とか無理」
「裁縫ね。大丈夫、教えてあげる」

「お邪魔しまーす」
　輝夜の家で勉強会をすることになった。
「ああ、これは半かえし縫いね。縫い目の半分までもどしながら縫うの」
「すげえな、月守は」
　感心した様子で慎之介が言う。
　輝夜のほうが慎之介より１ヶ月ほど生まれは遅いのだけれど、いつも優しく面倒を見てしまい、慎之介もまたつい頼ってしまう。
「進学もかかってるから悪い点は取れないし今回も勉強頑張ったんだよね」　
　家庭科の教科書を開きわかりやすく要点を説明した輝夜は、ふとつぶやいた。
「……慎之介くんは留学だったね。思い出す度に寂しくなるけど応援はしてるよ」　
「さ、サンキュ」
　慎之介はちょっと居心地悪げな顔をした。
「そういえば留学って３年間？　何処に行くかはもう決めたの？」
「……」
　しばらくの沈黙の後、慎之介は答えた。
「ノープラン。実はまだ何も決まってないんだ」
「えっ？」
「俺、どうしたらいいのかなあ？」
「……」
　今度は輝夜が戸惑う番だった。　
（大丈夫なのかなあ、慎之介くん）
　楽観主義なのは知っていたけど、ここまでとは……
　ため息をつきたくなる輝夜だった。

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