ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞｜リアクション

ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜物語編＞

◎テスト終了

「ハイ、今日で全科目テストおしまいよ」
　中学３年生のバニー・オークレイは、自宅であるオークレイ牧場にバイトで来ている寝子高生と話していた。
「もち、自信あるわよ？　あなたに教えてもらった所も出たし完璧よ」
　いい点をとって彼に褒めてもらいたい気持ちがバニーにはある。それは、単なる兄さんが妹を褒める意味ではなくて。
「来年はバニーも高校生になるよ？」
　バニーは彼を見つめる。
「それでも、その……あれかな？　バニーは、おてんばな妹ポジション？」
　困ったような笑顔で、彼は言葉を紡いだ。
「いいのいいの、そんな真面目なコメントなんかバニー望んでない!」
　だがバニーはそれを遮った。　妹としてしか見られていない。そのことは知っている。
　けれど高校生になれば、状況は変わるのではないだろうか。
　おそらく高校にいるのだろう彼のガールフレンドとだって、同じ立場で争える。

「妹ポジで今まで得をしたことだって、たくさんあったし、本気でそれがイヤなわけじゃないの」
　バニーはウィンクしてみせる。　
「それに、あなたに好かれるなんて、ほーんと簡単だもん。ただポニテにするだけでいい」
　心外だ、とおどけた表情を見せるポニーテール好きの彼に、
「けどね、そんなのじゃ駄目なんだよ。バニーはね」
　バニーは言葉を続けた。
「ポニテでもなく、妹ポジでもなく、だって本当に妹じゃないし」
　笑って見せるバニーに、彼も笑った。
「バイト先のオーナーの娘だからと特別扱いせず……ま、これは今でもやってくれてるよね、サンクス」
　どうしろって言うんだい？　そう言いたげな彼に、バニーははっきり気持ちを告げた。
「なんていうか、１人の女のコとして、ちゃんと見られたいの。牧場の仕事や勉強もがんばって、いろんなことにチャレンジするバニーを見て評価されたいから」
　バニーが中学生でいられるのは、あとしばらくの間だ。
　それまでは妹ポジションのいいところを満喫したい、と思う。
「オールいい点とれたら、ご褒美にデートくらい誘ってよね♪」
　彼は、柔らかい笑みでそっとバニーの頭に触れた。

「……えっ？　高校に入ったらもっと素敵な出会いがあるんじゃないかい？　ですって？　……意地悪ね！」
　恋の通知表の結果はまだまだわからないけれど。
（今は、一緒に笑っていたい）
　そう思うバニーだった。

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