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僕の歌は君の歌
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そっと瞼を閉じた初瀬川理緒も、二年前のあの日にたどり着いていた。
オーディション、っていったって――。
すべてはその場のノリだった。
高校入学から間もなく、春休みの延長くらいの気持ちで原宿に遊びに行った理緒は、街角で芸能事務所の社員を名乗る男性からスカウトされたのだった。
普段の理緒なら断っただろう。怪しいと感じて逃げたかもしれない。
けれども入学式が終わった直後、という状況があった。色々な意味で新しくなったばかりというタイミングが、彼女のノリを後押ししたのだった。
けれども、ほんの二十分で終わるから、と言われたオーディションが結局二時間ばかりかかったのには閉口した。時間をかけたのは見所があったから、という社員の弁明を頭から信じるほどお人好しではないつもりだ。
しかし、ひょっとしたら、という淡い期待が残ったのも事実だ。
この日の時点では、まだオーディションの結果は出ていないかった。だから割合のんびりしていたと記憶している。
退屈な授業を早々とエスケープし、屋上で日向ぼっこしていた理緒はいつの間にか眠ってしまっていた。
そうして目を覚ましたのは、なんと夕方だったのである。ほんの短時間のエスケープのつもりが、午後丸ごとのタイムワープとなってしまったわけだ。中学時代ならまず間違いなく親に電話がいっていただろう。高校では……どうなるかは今考えても仕方あるまい。
理緒は耳を澄ませる。
やっぱり、聞こえる。
どこからともなくピアノの音色が流れてくるのだ。
目が覚めたきっかけもこの音色だったと思う。
知らない曲だった。でも、とても気持ちのいい音楽だと思った。
音色に誘われるようにして、理緒は屋上の扉を開く。
階段を下りて廊下を進む。
そうしてたどり着いたのが音楽室だった。
十五センチほど扉は開いていた。
無邪気にその隙間に手をかけたところで我に返った。
『鶴の恩返し』で、障子を開けたらどうなったか。
このままにしておくべきではないのか。
それでも――。
理緒は恨めしげに扉を眺める。
もっとはっきりした音で聞きたい。このドアで、半分以上遮られるのは嫌だ。
心臓が凍り付くような気持ちがする。
だが同時に、矛盾しているかもしれないが、胸が高鳴る。
音を立てずそっと開いて、音楽が終わっていないことに安堵し足を踏み入れた。
目が覚めたような気持ち。
あるいは、CDがいきなり生演奏に変わったような。
少女がひとり、こちらに背を向けて一心にピアノを弾いている。
薄いベールが剥がれ落ちピュアになった音楽が、ダイレクトに体にしみこんでくるような気がした。
理緒は悟った。
つかまれた、と。
つかまれてしまった。
自分の心を、完全に。
伝わってきたのはピアノの音色ばかりではなかった。
目の前にいる少女の秘められた情念を結晶化させたような……下手に触れてしまえば消えてしまいそうな……そんな想いが伝わってきた。
ずっとずっと、いつまでも聴いていたい、そう思った。
やがて訪れる静かな幕切れ。
佐和崎紗月は両手をピアノから離し、深く息を吐きだした。
そうして人の気配に気づくと、怯えたように小さく声を上げたのである。
振り返った紗月のまなざしと、受け止めた理緒のまなざしが溶け合う。
けれど沈黙はすぐにまた破れる。
「あ、あの私……っ!」
紗月は涙目になっている。逃げようとでもいうかのように腰を浮かせて。
「待って! あ、あたしそんな怪しいものじゃないから!」
理緒も動転している。どうやってなだめたものだろう。
待ってほしい。
落ち着いてほしい。
そして自分と話してほしい!
衝動的にだが確信をもってそう思った。
これが、ふたりの恋の始まりだった。
ほんのささやかな物語だ。
ふっ、と相好を崩したのは紗月だった。
ふふ、と声を上げて理緒が応じる。
どうやら、同じことを考えていたみたい――。
それがわかったから。
どちらからということもなく話し出す。
はじめて会った日のことを。
この場所で。
これくらいの時間帯に。
「ねえ、紗月。あの時の曲……名前わかんないけど、あの曲を聴かせて?」
「理緒ちゃん。この曲はね、ラヴェルの『水の戯れ』っていうの。……私が一番好きな曲よ」
「目の前で聴かせてもらっていい?」
恥ずかしいけど、と紗月は照れ笑いした。
「いいよ。理緒ちゃんのリクエストだから」
放課後の音楽室、ふたりきりのコンサート。
そのアンコールの幕が開く。
――「僕の歌は君の歌」 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました。
マスターの桂木京介です。
今回のテーマは音楽でした。
といっても、『音楽』の解釈は皆さんそれぞれ違っていましたね。
私はすべて楽しみました。そして、どの人のリアクションも楽しく書きました。許されるのならもっと書いていたいと思ったほどです。
これまで四作、私にしては珍しいことに、短期間でどっとシナリオを出させていただきましたが、諸事情あって次まで、しばらくお時間をいただくことになるかもしれません。
ですがいつか帰ってくる……はずです。そのときまでご機嫌よう、です。
ではまたどこかで会いましょう。
桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年11月26日
参加申し込みの期限
2018年12月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年12月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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