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ブリリアントナイトメア ～悪魔は残滓の狂乱を弄する～
★再会、想い、帰還（１）
ヨクの背にウォルター・B先生の《身体》を乗せて運んでいた八神 修は、
「……良かった。あっちも無事に終わったんだな」
と、ドーム近くで、別行動をしていた仲間達の姿を見留めてそっと微笑んだ。
傍らのカイと顔を見合わせたあとで、
「おーい！ 皆、怪我とかしてねえかー！」
卯木 衛は、大きく手を振りながら、ブブ・ベルゼとの戦いを終えた面々へと声を投げる。
そうしてそのまま、カイと共に彼らの方へと駆け寄った。
「って、夏朝くん、酷い怪我じゃんか！」
「僕は平気だよ。これくらい、何ともないから。それより、そっちは皆、大丈夫？」
呉井 陽太に支えられている状態ながら、恵御納 夏朝が気丈に問う。
衛が応じる前に、陽太が、何でもない顔をしている志波 武道の状態に目敏く気付いて、
「……武道君も、だいぶ無茶をしたみたいだねぃ」
と、指摘し、当の武道は悪戯を見咎められた子供のように一旦は眉を下げながらも、
「いやいや！ 俺はチョー元気だよ☆」
なんて、陽気な声で言って笑い、ピースサインを決めてみせた。
「そうは言うけど、とにかく２人とも治療が必要ね」
仙藤 紫は、凪いだ調子の声の中に仲間を案じる色を燈し、
「それから……ウォルター先生のことも考えないと」
と言葉を続ける。倉前 七瀬が、
「そうですよ！ ウォルター先生！」
と、ウォルター先生の《正気》――肩の上の小鳥だ――を優しく撫でる手を止めて言った。
サキリ・デイジーカッターが、くす、と小さく笑う。
「とにかく、ドームへ戻ろうか。積もる話もやるべきことも、それからにしよう」
※
「大丈夫ですか、先生」
瞼を開いたウォルター先生に、修が穏やかな声をかける。
場所は、一行が召喚されたドームの中。
ウォルター先生は、ひやりとした床の上に横になっている。
「……ちょっと、腕が痛いかな。あとは、首の後ろ」
ウォルター先生を救う折、その箇所に手刀を食らわせた武道が「ウッ、」と怯むのに、
「なぁんて。冗談だよぉ、冗談。どこも痛くないから安心して」
と、当のウォルター先生は、淀みなく身を起こしながら軽快に笑った。
「センセー、その冗談は心臓に悪いです……って、アレ？」
「本当に痛みがなくて今の発言をしたなら……もしかして、記憶が？」
武道が胸を撫で下ろすその途中ではたと手を止め、修が問いを零した。
立ち上がり、身体の具合を確かめるようにストレッチをしながら、ウォルター先生が言う。
「どっちの記憶も、ぼんやりとだけどねぇ。特に、草原だったかな……あっちのことは、殆ど覚えてない」
「逆を言えば、皆から聞いた廃遊園地での出来事は……」
「うん。夢の中のことみたいに思えるけど、少なくとも今のところは、結構覚えてるよぉ」
サキリの言葉ににこりとして応じたあとで、ウォルター先生はふと真面目な顔になり、
「……酷いことをいっぱいしたし、言ったよね。たぶん、向こうでもそうだったんだろうな」
ごめんね、皆、と、どこかが痛むような顔で笑んだ。
「志波。怪我、痛いよね」
「痛くないです……と言ったら嘘になっちゃいますけど、平気ですよ。手当てもしてもらったし」
「そっか……」
短く応じたあとで、「あのね、」と、ウォルター先生は再び口を開いた。
「知ってるかもだけど、警察官を目指してたんだ、僕。でも、なれなかった」
「……それは、どうして？」
サキリが促す。
武道は、真摯な表情を、その顔に乗せた。
（先生が諦めた夢を、俺は、現在進行形で追ってる。だから、夢を諦めた理由は気にかかるけど……）
口を噤んで、ただ、相手の語るに任せることを、武道は選んだのだった。
ウォルター先生は、明るい声で、けれど足元に視線を落として、音を紡ぐ。
「僕の親友はね、僕を庇って死んじゃった。彼の――獅子堂の夢は、教師になることだったんだよ」
そこまでで、ウォルター先生は話を切った。そこへ、
「ウォルター先生ー！」
と、力を貸してくれた翼獣との別れを済ませてきた七瀬が、駆けてくる。
「さて。俺も、ヨクにお別れの挨拶をしてこないと」
言って、修はその場を離れた。
それが、七瀬に配慮してのことだというのは、サキリにも武道にもわかったので、
「僕も、シースとの別れを惜しんでこようかな」
「あ、じゃあ、俺も行く行くー！」
と、２人も、衛や陽太、紫が翼獣達と過ごしている方へと、足を向けた。
ヨクの背にウォルター・B先生の《身体》を乗せて運んでいた八神 修は、
「……良かった。あっちも無事に終わったんだな」
と、ドーム近くで、別行動をしていた仲間達の姿を見留めてそっと微笑んだ。
傍らのカイと顔を見合わせたあとで、
「おーい！ 皆、怪我とかしてねえかー！」
卯木 衛は、大きく手を振りながら、ブブ・ベルゼとの戦いを終えた面々へと声を投げる。
そうしてそのまま、カイと共に彼らの方へと駆け寄った。
「って、夏朝くん、酷い怪我じゃんか！」
「僕は平気だよ。これくらい、何ともないから。それより、そっちは皆、大丈夫？」
呉井 陽太に支えられている状態ながら、恵御納 夏朝が気丈に問う。
衛が応じる前に、陽太が、何でもない顔をしている志波 武道の状態に目敏く気付いて、
「……武道君も、だいぶ無茶をしたみたいだねぃ」
と、指摘し、当の武道は悪戯を見咎められた子供のように一旦は眉を下げながらも、
「いやいや！ 俺はチョー元気だよ☆」
なんて、陽気な声で言って笑い、ピースサインを決めてみせた。
「そうは言うけど、とにかく２人とも治療が必要ね」
仙藤 紫は、凪いだ調子の声の中に仲間を案じる色を燈し、
「それから……ウォルター先生のことも考えないと」
と言葉を続ける。倉前 七瀬が、
「そうですよ！ ウォルター先生！」
と、ウォルター先生の《正気》――肩の上の小鳥だ――を優しく撫でる手を止めて言った。
サキリ・デイジーカッターが、くす、と小さく笑う。
「とにかく、ドームへ戻ろうか。積もる話もやるべきことも、それからにしよう」
※
「大丈夫ですか、先生」
瞼を開いたウォルター先生に、修が穏やかな声をかける。
場所は、一行が召喚されたドームの中。
ウォルター先生は、ひやりとした床の上に横になっている。
「……ちょっと、腕が痛いかな。あとは、首の後ろ」
ウォルター先生を救う折、その箇所に手刀を食らわせた武道が「ウッ、」と怯むのに、
「なぁんて。冗談だよぉ、冗談。どこも痛くないから安心して」
と、当のウォルター先生は、淀みなく身を起こしながら軽快に笑った。
「センセー、その冗談は心臓に悪いです……って、アレ？」
「本当に痛みがなくて今の発言をしたなら……もしかして、記憶が？」
武道が胸を撫で下ろすその途中ではたと手を止め、修が問いを零した。
立ち上がり、身体の具合を確かめるようにストレッチをしながら、ウォルター先生が言う。
「どっちの記憶も、ぼんやりとだけどねぇ。特に、草原だったかな……あっちのことは、殆ど覚えてない」
「逆を言えば、皆から聞いた廃遊園地での出来事は……」
「うん。夢の中のことみたいに思えるけど、少なくとも今のところは、結構覚えてるよぉ」
サキリの言葉ににこりとして応じたあとで、ウォルター先生はふと真面目な顔になり、
「……酷いことをいっぱいしたし、言ったよね。たぶん、向こうでもそうだったんだろうな」
ごめんね、皆、と、どこかが痛むような顔で笑んだ。
「志波。怪我、痛いよね」
「痛くないです……と言ったら嘘になっちゃいますけど、平気ですよ。手当てもしてもらったし」
「そっか……」
短く応じたあとで、「あのね、」と、ウォルター先生は再び口を開いた。
「知ってるかもだけど、警察官を目指してたんだ、僕。でも、なれなかった」
「……それは、どうして？」
サキリが促す。
武道は、真摯な表情を、その顔に乗せた。
（先生が諦めた夢を、俺は、現在進行形で追ってる。だから、夢を諦めた理由は気にかかるけど……）
口を噤んで、ただ、相手の語るに任せることを、武道は選んだのだった。
ウォルター先生は、明るい声で、けれど足元に視線を落として、音を紡ぐ。
「僕の親友はね、僕を庇って死んじゃった。彼の――獅子堂の夢は、教師になることだったんだよ」
そこまでで、ウォルター先生は話を切った。そこへ、
「ウォルター先生ー！」
と、力を貸してくれた翼獣との別れを済ませてきた七瀬が、駆けてくる。
「さて。俺も、ヨクにお別れの挨拶をしてこないと」
言って、修はその場を離れた。
それが、七瀬に配慮してのことだというのは、サキリにも武道にもわかったので、
「僕も、シースとの別れを惜しんでこようかな」
「あ、じゃあ、俺も行く行くー！」
と、２人も、衛や陽太、紫が翼獣達と過ごしている方へと、足を向けた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年08月31日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年09月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年09月07日 11時00分
