携帯戦記カプセルギア　アイランドウォーズ　エピソード1｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　アイランドウォーズ　エピソード1

「情報が少ないな……。MAKIYUKIを通じて洋子に何か知ってるか聞ければ良いんだが……」

　鳳城翔が現在考えているのは、寝子島のギアマスターの前に突然現れるようになった謎のカプセルギアについてだ。
　そのカプセルギアの名前がミノタウロスという名である事、ギアバトルで勝った場合にカプセルギアを破壊する事などは解っているが、その理由や一体何者かなどは解っていない。

　翔が知る限り今のところ、あのユグドラシルの関与は確認されていないが全く関与してないという保証もないし、逆に本当に関与していなかったとしてもコンタクトを取る可能性もある。
　だが、今はそれよりも大事な事もある。これ以上被害が出る前にミノタウロスを倒さければいけない。

「やれるな？リット」
「無論だ」

　こうしてミノタウロスとの戦いにその身を投じる決意をする翔とその相棒のセイクビリットだった。

「くそっ…本当にでかいな！　図体はでかいのに何てすばしっこい！」
「だが、ここまでのやり取りである程度は把握出来た筈だ。指示をくれ、SHO」
「あぁ、ここからは俺達のターンだ！」
『無駄な事を。俺のこの大槌の錆としてくれる！』

　ミノタウロスを探して歩いて、見事遭遇する事に成功した翔とセイクビリットはミノタウロスへと戦いを挑んでいた。
　しかし、その巨体らしいパワーとそれに見合わないスピードに少々手こずってしまっていた。
　だが、翔とてこれまで様々なギアバトルを経験してきたギアマスターである。その経験からミノタウロスに勝つための方法は考えついていた。

「まずはそのまま飛行体勢を維持！」

　絢爛な翼を持つセイクビリットは飛行を可能としている。
　それによってある程度の優位は得ているのだが、向こうは元々普通のカプセルギアより巨大な上に大槌と言う武器も持っているので楽観視はできないでいた。

　しかし、それもここまでだ。相手の行動パターンは既に翔には把握が出来ている。
　ミノタウロスは振り回す大槌をセイクビリットに指示通りの動きで回避をさせ、尾羽によるカウンターで薙ぎ払う。
　更に低空飛行で相手の足元に飛び込んでからの闇丸零式による射撃で、相手の脚部を狙って機動力を殺いでいく。この闇丸零式による射撃は攻撃力そのものは低いのだが大きなダメージでなくても問題はなかった。

『グヌゥ！　動きが、変わっただとっ！』
「未だそこで鉤爪！」

　隙を見せたミノタウロスに左腕のパーツである鉤爪を用いて攻撃。身体に抉り込むように突き立てられた鉤爪からは電流が流れ、ミノタウロスの動きを一時的に麻痺させる。

「セイクビリット！　止めを！」
「了解した！」

　電流によって動きが止まったミノタウロスの上空へとその翼を羽ばたかせて空へと舞い上がるセイクビリット。
　翼を広げて眼下にいるミノタウロスを睨むようにホバリング。

「いけぇっ！」
「ギガンティックトルネード！」

　翔の叫ぶような指示を同時に強くセイクビリットが翼を羽ばたかせた。
　すると、ミノタウロス目がけて横方向の竜巻が襲いかかった。

『こ、これはっ！？』

　その凄まじい威力には巨体を誇るミノタウロスと言えども耐えきる事は出来ない。
　麻痺した身体では避ける事も出来ずに、ミノタウロスはただ吹き飛ばされるのみであった。

「よし、勝った！」
「うむ、やったな、SHO」
「さて、情報を集める為にちょっとろっこんを……って、あっ」
『させぬ』

　翔は勝利した暁には自らのろっこんで情報を集めるつもりだった。
　しかし、どこからか声が聞こえたかと思うと倒れ伏したミノタウロスはまるでガラスが砕けるようにバラバラになったかと思うと、直ぐに昏い緑の炎となって消え失せてしまった。

「……今の声は？　もしかして、今のが黒幕？」

　呆然と呟く翔。だが、確かに謎の存在との因縁が繋がった、そんな予感がする翔であった。