携帯戦記カプセルギア　アイランドウォーズ　エピソード1｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　アイランドウォーズ　エピソード1

「は、初めてのカプギアバトルだぁ。……でも噂の通りマスターはいないのかな？」

　沖吉小星が初めてのカプギアバトルに不安そうにしながら辺りを見渡せどもどこにもギアマスターらしき人物の姿はない。
　今、寝子島のギアマスターの間で噂されているカプセルギアが単独でバトルを挑んでくるという話。正にこれはその噂にあったカプギアバトルだろう。

　小星が改めて相手のカプセルギアを見てみれば、アニメとかで良く出てくるミノタウロスというモンスターに似た姿をしていた。
　そして、普通とは違う点はパーツの所々から噴き出ている昏い緑の炎だ。

『我が名はミノタウロス！　さぁ、勝負せよ、人間！』
「ひぇ、しゃ、喋ったっ！？　な、何か良く解らないけど。でもでも牛さんがバトルしたいって事なら……！　マトリヨーシカ！」

　小星が取り出すは彼女らしいと言えるまん丸で可愛い球体。だが、それこそが小星のカプセルギアなのだ。
　球型の殻の上部が展開し、その中から人型ロボットの上半身が現れる。そう、それはまるでマトリョーシカ人形のよう。

「見た目は可愛くても、わたしのマトリヨーシカは強いよ！」
『粉砕してくれるわ！』

　そうして、謎のカプセルギアであるミノタウロスとギアマスターひこぼしこと小星とそのパートナーであるマトリヨーシカの戦いが始まった。

『オォオオオオオオオオッ！』
「いきなり突っ込んでくるッ！？」

　小星はまずは様子見とばかりに距離を取ろうとしたのだが、ミノタウロスは逆に開始して即突撃を行ってきた。
　それを見た小星は一瞬慌てるものの、練習を行ってきた通りにマトリヨーシカを専用アプリで操作する。
　
　マトリヨーシカの下部の殻から出ている脚部は高速移動には向いていないが、咄嗟に上半身を殻の内部に収納し、転がって回避をする。この状態の際は攻撃こそ出来ないが、移動速度はかなりのものだった。
　小星は自らが選んだ脚部では移動速度に難がある事を把握しており、その対策として素早く球体体型になれるようにずっと訓練をしてきていたのだ。

「ふぅ、何とか回避できた……。でも、今見た感じだと方向転換は苦手かな？」

　今見たミノタウロスの行動を整理するように呟きながら小星はマトリヨーシカへと指示を出す。
　すると、大きく距離を取ったマトリヨーシカが再び上半身を出したと思ったら手の甲についてる小銃による射撃を開始する。

『小癪なっ！』

　自らの渾身の一撃を避けられたミノタウロスは憤りを隠さない。
　そして、マトリヨーシカが放つ小銃の弾を煩い小蠅とばかりに振り払うように一度手に持った槌を振り回すと、再度突撃を行ってきた。

「速い。けど、緩急も工夫も何もないから避ける事は難しくないっ」

　小星のその言葉通りに先程と同じように転がってあっさりと回避してみせるマトリヨーシカ。
　距離さえ取っていれば反応が出来ないという程のスピードではないという事を既に小星は理解していた。

『おのれぇっ！　ならば、これでも喰らうが良いっ！』
「これは……」

　ミノタウロスの噴出する昏い緑の炎の勢いが強くなる。それはまるでジェット機のジェットエンジンのようである。
　だが、既にこれが何を示しているのか小星は知っていた。

「ここだっ！　集中砲火ッ……！」

　自らの身体を固定せんとマトリヨーシカが脚部に力を入れる。
　ミノタウロスが見せている兆候。これはストンプを行う予兆だ。ストンプとは大きく飛び上がってから地面を大槌で叩く事で揺らし相手を数秒動けなくするというもの。
　だが、これをする為にミノタウロスは大きな隙を見せると言う。だから、最初から小星はここで最大火力を叩きこむつもりだったのだ。

　先程から攻撃に使用していた右腕の小銃だけでなく、狙撃用ライフルパーツである三号小銃をも用いてのフルバースト。
　その攻撃力は今正にジャンプしようとしていたミノタウロスの手から大槌を弾き飛ばす程であった。

『なにぃっ！？』
「いっけぇっ！」
『グッ、ガカッ、き、貴様ぁっ！？』

　攻撃を受け続けたミノタウロスは、身体にヒビが入ったかと思うと段々とそれが広がり、そして最後には砕け散る。

「えっ！？」

　普通のカプギアバトルでは有り得ない光景。
　それに言葉を失う小星の前で、砕けたパーツは昏い緑の炎となって消え失せた。

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