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- 00月00日生 00歳
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【期末テスト】赤点？満点？？灼熱、四日間の死線＜物語編＞
●Thank you, PAPA!
試験結果が返ってきたその日、岡瀬 靖久はいつものようにダンススクール講師としての仕事を終え、いつものように我が家のある星ヶ丘の高層マンションに帰ってきた。
あたりはもう暗い。エレベータに乗り、高層階のボタンを押す。降りた階で、ほんのりと灯りに浮かぶ『OKASE』と表札を見つけると、靖久はほっとするのだった。
「ただいまー」
玄関を開けると、靴を脱ぐ間もなく、娘の岡瀬 結華がリビングから飛んできた。
「おかえりパパ」
「ただいま。出迎えだなんてどうしたの？ ちょっと待って当ててみる。その顔から察するに、いいことがあったね？ 今日のメニューはママの手作りハンバーグとか？」
「すごい、アタリ！ でも教えたい『いいこと』はそれとは別。ほら早く、着替えてリビングに来て、パパ」
どうやら娘は上機嫌だ。
靖久は言われた通り大急ぎでラフな部屋着に着替えると、リビングのソファに腰かけた。
すると娘は後ろでに持っていた紙を靖久に広げて、嬉しそうに微笑む。
「見て、パパ。今期の試験結果よ」
「おやおや。見せて貰おう」
眼鏡を直し、受け取った成績表に視線を落とせば、いずれも平均以上のよい点数が並んでいて、娘の上機嫌も頷ける結果だ。子どもの頃からテストの結果は良かったほうだが、こうして高校生になってもそれを維持しているのは我が娘ながら頑張っていると思う。
「相変わらず凄いね。結華は頭が良い。英語なんて満点だし」
渋い顔つきと鋭い眼光が相まって無表情に近く見えるが、パパが喜んでいるというのは娘と奥さんにはお見通し。褒められて娘は、妻の若い頃を彷彿とさせるような満面の笑みを浮かべた。
「英語はパパが教えてくれたお陰よ。ありがとう」
「え？ 僕のお陰？ いやいや、長文を朗読したくらいだし……」
テスト前、このリビングで、英語の教科書を朗読して聞かせた。ただそれだけだ。パパにとっては。
けれど結華にとってはパパの声は別格。
どんな人の発音よりするりと頭に入って来て、英語の勉強をするのが幸せになった。
「だから、また試験勉強付き合ってね」
上目遣いでお願いすれば、パパはすこし気恥ずかしそうに頷いた。
「別に読むことはいつだって構わないけれど……うん。色んな勉強法があるもんだね。僕は試験だとか苦手だったから、結華は凄いよ」
「凄いことないわ。昔から勉強は嫌いじゃないの」
結華はパパの隣に座るとその肩に自分の頭を乗せて甘えた。高得点はパパと勉強したからだけじゃなく、（パパに喜んで貰えるよう、しっかり勉強しなきゃ！）と自分でも猛勉強した結果だ。だから、パパが喜んでくれたことが何よりうれしい。
（自分は体育と音楽位しか得意じゃなかったな）、と靖久は自分の学生時代を思い出していた。
結華は母親似かな、とキッチンに立つ妻の後ろ姿を見、それから娘に向き直る。
「結華は将来の夢とかあるのかい？」
すると、結華の表情が僅かに曇る。
「実は……まだ、これといった将来の夢が見つからないの」
「……そうか」
瞳を伏せた娘の頭にそっと手を充て、幼かったころよくそうしたように、柔らかに髪を撫でてやる。
「パパは、私と同じ年のときは、将来の夢は決まっていたの？」
「いいや。僕が結華くらいの頃は、部活……バスケに熱中してたね」
「バスケ？ NBAに憧れてた？」
「憧れていたよ。バスケ少年たちはみんなね。あの頃は何も考えずに体を動かしていれば幸せだったな……将来の夢なんて、気にもしなかった。で、結局その後はダンサーになったんだから、人生なんてどうなるかわからないよね」
「パパも夢、決まっていなかったのね」
初めて知った、と目を丸くした結華の頭をもう一度撫で、
「だから。結華も焦らなくて良いんだよ」
とそっと微笑む。
結華もまた、パパがパパで良かったと微笑みを返した。
「そう、その笑顔が大切。Take it easy,Yuka! これから始まる夏を楽しもうじゃないか」
「Thank you,so much. そうね、気分転換に旅行とか行きたいな」
「あぁ、いいね。旅行に行こうか」
パパは即座に快諾する。
「どこにする？」
例えば……そうね、と結華は甘えるようにパパを見た。
「せっかく英語を猛勉強したんだし、海外とか行きたいな」
「海外？ 今から間に合うかな……！」
「大丈夫よ。どこでもいいの、パパと一緒なら」
「それから、せっかく勉強した英語を使える国、だね？」
その通りとウィンクする。
リビングに、貴方たち仲良しね、とママの声。夕食が出来上がったようだ。
テーブルにはママ特製の手作りハンバーグ。
サラダとスープとライスも綺麗に盛り付けられていて、今日も素敵な家族団欒。
試験結果が返ってきたその日、岡瀬 靖久はいつものようにダンススクール講師としての仕事を終え、いつものように我が家のある星ヶ丘の高層マンションに帰ってきた。
あたりはもう暗い。エレベータに乗り、高層階のボタンを押す。降りた階で、ほんのりと灯りに浮かぶ『OKASE』と表札を見つけると、靖久はほっとするのだった。
「ただいまー」
玄関を開けると、靴を脱ぐ間もなく、娘の岡瀬 結華がリビングから飛んできた。
「おかえりパパ」
「ただいま。出迎えだなんてどうしたの？ ちょっと待って当ててみる。その顔から察するに、いいことがあったね？ 今日のメニューはママの手作りハンバーグとか？」
「すごい、アタリ！ でも教えたい『いいこと』はそれとは別。ほら早く、着替えてリビングに来て、パパ」
どうやら娘は上機嫌だ。
靖久は言われた通り大急ぎでラフな部屋着に着替えると、リビングのソファに腰かけた。
すると娘は後ろでに持っていた紙を靖久に広げて、嬉しそうに微笑む。
「見て、パパ。今期の試験結果よ」
「おやおや。見せて貰おう」
眼鏡を直し、受け取った成績表に視線を落とせば、いずれも平均以上のよい点数が並んでいて、娘の上機嫌も頷ける結果だ。子どもの頃からテストの結果は良かったほうだが、こうして高校生になってもそれを維持しているのは我が娘ながら頑張っていると思う。
「相変わらず凄いね。結華は頭が良い。英語なんて満点だし」
渋い顔つきと鋭い眼光が相まって無表情に近く見えるが、パパが喜んでいるというのは娘と奥さんにはお見通し。褒められて娘は、妻の若い頃を彷彿とさせるような満面の笑みを浮かべた。
「英語はパパが教えてくれたお陰よ。ありがとう」
「え？ 僕のお陰？ いやいや、長文を朗読したくらいだし……」
テスト前、このリビングで、英語の教科書を朗読して聞かせた。ただそれだけだ。パパにとっては。
けれど結華にとってはパパの声は別格。
どんな人の発音よりするりと頭に入って来て、英語の勉強をするのが幸せになった。
「だから、また試験勉強付き合ってね」
上目遣いでお願いすれば、パパはすこし気恥ずかしそうに頷いた。
「別に読むことはいつだって構わないけれど……うん。色んな勉強法があるもんだね。僕は試験だとか苦手だったから、結華は凄いよ」
「凄いことないわ。昔から勉強は嫌いじゃないの」
結華はパパの隣に座るとその肩に自分の頭を乗せて甘えた。高得点はパパと勉強したからだけじゃなく、（パパに喜んで貰えるよう、しっかり勉強しなきゃ！）と自分でも猛勉強した結果だ。だから、パパが喜んでくれたことが何よりうれしい。
（自分は体育と音楽位しか得意じゃなかったな）、と靖久は自分の学生時代を思い出していた。
結華は母親似かな、とキッチンに立つ妻の後ろ姿を見、それから娘に向き直る。
「結華は将来の夢とかあるのかい？」
すると、結華の表情が僅かに曇る。
「実は……まだ、これといった将来の夢が見つからないの」
「……そうか」
瞳を伏せた娘の頭にそっと手を充て、幼かったころよくそうしたように、柔らかに髪を撫でてやる。
「パパは、私と同じ年のときは、将来の夢は決まっていたの？」
「いいや。僕が結華くらいの頃は、部活……バスケに熱中してたね」
「バスケ？ NBAに憧れてた？」
「憧れていたよ。バスケ少年たちはみんなね。あの頃は何も考えずに体を動かしていれば幸せだったな……将来の夢なんて、気にもしなかった。で、結局その後はダンサーになったんだから、人生なんてどうなるかわからないよね」
「パパも夢、決まっていなかったのね」
初めて知った、と目を丸くした結華の頭をもう一度撫で、
「だから。結華も焦らなくて良いんだよ」
とそっと微笑む。
結華もまた、パパがパパで良かったと微笑みを返した。
「そう、その笑顔が大切。Take it easy,Yuka! これから始まる夏を楽しもうじゃないか」
「Thank you,so much. そうね、気分転換に旅行とか行きたいな」
「あぁ、いいね。旅行に行こうか」
パパは即座に快諾する。
「どこにする？」
例えば……そうね、と結華は甘えるようにパパを見た。
「せっかく英語を猛勉強したんだし、海外とか行きたいな」
「海外？ 今から間に合うかな……！」
「大丈夫よ。どこでもいいの、パパと一緒なら」
「それから、せっかく勉強した英語を使える国、だね？」
その通りとウィンクする。
リビングに、貴方たち仲良しね、とママの声。夕食が出来上がったようだ。
テーブルにはママ特製の手作りハンバーグ。
サラダとスープとライスも綺麗に盛り付けられていて、今日も素敵な家族団欒。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年12月09日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年12月16日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年12月16日 11時00分
