逆襲の時｜リアクション

逆襲の時

　後ろ手に縛られた制服姿の白真白が地下駐車場に姿を現した。男の黒服は何度も背中を押して強引に歩かせる。
「こんなことして、許されると思わないでよね！」
「早く歩け」
　またしても背中を押された。真白は転びそうになりながらも耐えた。懲りずに不満を口にする。
「そこで止まれ」
「なんなのよ、もう」
　立ち止まった真白の両脚をロープで縛る。
「な、なにして！？」
　反論する前に背中を蹴られた。横倒しとなって拉致された人々の一員となった。
　真白は苦痛に歪む顔を黒服に向ける。
「女の子にこんな酷いことするなんて信じられない！　もう、完全に怒ったんだからね！」
「特別に優しくしてやるよ」
　黒服は倒れた真白の肩と胸を掴んで座らせた。
「ど、どこ掴んでんのよ！」
「親切に起こしてやっただろ？」
　蔑むような目で言うと黒服は持ち場に戻っていった。
　真白は怒りで頭が震える。その時、太腿にリボンが落ちてきた。ツインテールを維持できなくなった白い髪が胸元に流れた。
　――このリボンを私のろっこんで硬化すれば刃物になるわ。ロープだって簡単に切れるよね。
　灰色の左目がそれとなく周囲を窺う。警戒の目を盗んで太腿を微妙に動かす。後ろ手に縛られた手の方に徐々に移動させる。そのモジモジした姿に一人の黒服が、ヒヒ、と下品な笑い方をした。
「お漏らしショーが見れそうだぜ、ヒヒヒ」
　耳にした瞬間、真白の顔は真っ赤になった。その状態で内股を擦り合わせるような動作を続けた。甲高い笑い声が大きくなる。羞恥心に耐えながら、ようやくリボンを掴んだ。
　静かに息を整える。顔の赤みが引くと黒服は興味を失い、スマートフォンを弄り始めた。
　――勘違いのおかげなんだけど、なんか、すごく恥ずかしい！
　真白は心の中で叫ぶのだった。

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