忍の極意を見よ！　でござるの巻｜リアクション

忍の極意を見よ！　でござるの巻

「そろそろ、覚悟を決めるでござる！」
　赤忍の又蔵は、地面に膝をついている大田原いいなに、クナイを向けた。
「マズったなあ……」
　いかにもヤバい感じの忍者にあえて喧嘩を吹っ掛けたのは、腕試しのため。
　奴自体、どこかで戦った後なのか、派手な忍び装束はぼろぼろで、顔だって相当くたびれていた。
　しかも何やら仲間を探している風で、ニンニン言っていたから、大した敵ではないだろうと、思ったのに。
「あっちもこっちも、びりびりだもんねえ」
　バストの下、すなわち下乳あたりのみならず、きゅっと引き締まったウエストも、白い肌が見えている。
（間合いの取り方は合ってると思うんだけど……。やっぱアレか、『アイツのこーと』を庇いながら戦うと、どうしても前だけヤられちゃうもんねー）
「おい、お主、何をぶつぶつ言っているでござるか？　拙者が怖くないでござるか？」
　又蔵が、見せつけるようにクナイをブンブン振り回す。
「もう、鬱陶しいなぁ」
　いいなは、適当に工事現場から失敬していた鉄パイプを、握りなおした。
「攻撃は散々受けたからね。もうミスはしないよ。っていうか、そんなに女のコが羞じらう姿が見たい訳？」
「もちろんでござる！」
　又蔵は、一瞬のためらいもなく頷いた。そしてシュッとクナイを投げつけてくる。
「その素直さは、嫌いじゃないわ」
　言いながらも、いいなは手にした鉄棒で、クナイをあっさり打ち落とす。
「ふっ、なかなかやるでござるな！　必殺！　乱れ打ちでござる！」
　ヒュンヒュンと煌めくクナイ。
　キンキン！　と、すべてを払いのけるいいな。

　が、そうやって戦いながらも、いいなの頭の中には『アイツ』の顔が浮かんでいた。
（『アイツ』も、わたしが羞じらうことやらかしてくれたっけ）
　変身後の姿にメイド服着せたフィギュアを作ったり、もぎゅもぎゅぎゅっぎゅと、大人な胸を揉んできたり。
「……でも、無理矢理他の人に着せられたロリイタ服については、何も言わなかったっけ。あれは助かったなー」

「おのれっ！　お主、うわの空であろう！　拙者と真剣にやりあうでござるよ！」
　又蔵は、投げつくしたクナイを拾うべく、地面に這いつくばりながら言った。
（ってこうして下から見ると、でっかい乳でござるな……！）
　いっそここから、撮影を……と思ったところで、いいなの鉄棒が、がぁん！　と地面を打つ。

「アレでもちょっと待った！　わたしの正体バレた後は『アイツ』手ぇ出してないじゃん！　今まで大切にしてくれてたと思ってたけど、これってわたしが魅力無いと思われちゃったとか？」

「そんなことないでござるよ。なかなか立派な乳でござる。……まあ、もうちょっと肌が見えてもいいでござるが……ぐふふ」
　又蔵が、拾い終えたクナイの一本を握る。
　狙うのは、もちろんいいなのバストの先っちょの、つんと膨らんでいるところ。
「そこが見えれば完璧でござる！」

　ヒュンッ！

　又蔵の手を離れ、空を斬るクナイ。
　それをいいなは、力いっぱい、鉄パイプではじき飛ばした。
「見えれば？　『れば』ってなんだ！　えーいバカ五月蠅い！　赤忍者！　そんなにあたしのぼでぃは魅力無いか！　剥かないと女のコに見られないのかぁ！」

　いいながいきなり又蔵に走り寄り、ぶんぶん鉄パイプを振り回す。
　これに驚いたのは又蔵だ。
「ちょ、拙者はそんなことは言っていないでござる……！　乳が見えずともお主は立派なおなご……ま、待つでござるっ！　そんなところ叩いたら、痛いっ……ああああっ」

　又蔵は半泣きになりながら、手にしていたすまーとふぉんをしまい、どろん！　と逃走したのだった。