ワールドツアー＜オーストラリア編＞｜リアクション

ワールドツアー＜オーストラリア編＞

☆ケアンズのカジノにて

「へ？」
　真境名アリサは言葉を失いました。
　目の前に聳えているのは、ＴＶで見たような赤い山の雄姿。
　エアーズロック、という名前が頭に浮かびました。
「そんな馬鹿な……」
　あわててスマホを取り出し位置確認したら。
「……オーストラリア!?」
　前にもこんなことがあったな、とアリサは思い出しました。
（多分これはいわゆる『神魂』の仕業なんだろうけど、なんでもれいびでもない私まで巻き込まれるの？）
「とはいえ、あーだこーだ言ってても仕方ないわね」
　何しろ現にオーストラリアに来てしまっているのですから。
（ここは開き直って降ってわいたようなオーストラリア観光を楽しもう。英語ならできるし）
　そう思いながらアリサは、朝日を浴びてエアーズロックが刻々と色を変えていく様子を満喫したのでした。
「オーストラリアの名所といえば……野生動物の保護動物園とか、シドニー、メルボルンあたりかしら」
　早速ガイドブックを買い、動物園に向かうのでした。

「コアラと一緒に写真が撮れるの？　すみません、お願いしまーす！」
　コアラの手触りはふわふわもこもこでした。
　シドニーのオペラハウスを見た後は、ビクトリア国立美術館へ。
「無料なの？　すごい！」
　様々な芸術家のアートを鑑賞し、心豊かな時間を過ごします。
　そしてお洒落でかわいらしいカフェで、軽食と共にコーヒータイム。
　
　それから西オーストラリア州のケアンズに入りました。
「７月は南半球では冬だから海に入るのは無理よね」
　それでも、グレートバリアリーフや熱帯雨林キュランダは見所がありました。
「次は何をしようかなー」
　と適当に観光情報を見ていたアリサの目に、飛び込んできた単語がありました。
「カジノ？　面白そう！」
　さっそくドレスコードをチェック、身支度を済ませてカジノに向かいます。
（競馬とかやってるけど、カジノは初めて）
　皆目をギラギラさせている活気ある雰囲気の中、ドキドキしながら最初はルーレットに挑戦します。
「チップを交換してもらって、賭けたい場所に置くのね」
　回りだすルーレット。
　雰囲気を楽しむためで、一攫千金までは期待していないものの、固唾を呑んで見守ります。
「当たった！」　
　ビギナーズ・ラックでしょうか、幸先のいいスタートが切れました。
　気を良くして、次はブラックジャックを楽しみます。
（ちょっと足りないわね……もう一枚引いちゃえ！）
　大胆なアリサは賭け事も思い切って攻めていきますが、喜怒哀楽が表情にはっきり出るのでポーカーフェイスには向かないのでした。
「残念、負けたわ」
　負けてもサバサバして次へ向かいます。
「次はバカラね。どちらが勝つかを当てればいいの？」
　なかなかのハンサムのディーラーの手元を、アリサはじっと見つめました。
（プレイヤーか、バンカーか、どっち？）
　野生の勘に任せて、勝負！
「バンカーに賭けるわ」　
　いよいよ勝負。2枚のカードが引かれ、そして開かれます。
　歓声が上がりました。バンカーの合計は『８』。
「やった！」
　見事、アリサは勝利を手にしたのでした。

　

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