ワールドツアー＜オーストラリア編＞｜リアクション

ワールドツアー＜オーストラリア編＞

☆カンガルーと遊ぼう！

「ここは……」
　アイオ・キャンドライトは、建物も無い、どこまでも続く自然の大地を見回しました。
　首を戻せば、目の前でアイオを見つめているのはカンガルーです。
「星幽塔ではもちろん、寝子島でも会うことが出来ない動物ですわ」
　アイオはカンガルーを知っていました。
（ニホンよりずっと南にあるオーストラリアという国。世界遺産や自然遺産が有名で、歴史的に貴重なものも多いとか。こちらの世界のことを調べておいて助かりましたわ）
　アイオは猫獣人、好奇心が強いのです。
「これはめいっぱい楽しんで行きましょ！」
　周りに人もいないので帽子を脱げば、猫耳がぴょこりと飛び出しました。
　そしてカンガルーをしげしげ眺めます。
「カンガルーの特徴といえば、お腹に袋があって赤ちゃんがそこに収まっていると……」
　その時、まさにお腹の袋から小さなカンガルーがぴょこりと顔を出しました。
「あ、ホントですわ！　ちっちゃい顔が出ていて可愛い！」
　その愛らしさに目を細めて、思わずアイオは手を伸ばしました。
「ちょっと撫でさせて……ぐはぁ！？」
　カンガルー母さんの強烈な蹴りを食らい、アイオはギャグ漫画のように吹っ飛びました。
「ごめんなさい危害を加えるつもりじゃなかったんですの……」
　すぐに立ち直り謝るアイオは、蹴られないようしっかり距離をとることにしました。
「気を取り直してカンガルーさん遊びましょ、かけっこ勝負ですわ！　向こうまで走って先に着いた方が……」
　説明が途中なのに、カンガルーは走り始めました。せっかちなアイオもびっくりです。
　もっとも言葉が通じていない可能性が高いですが。
「って、ちょっと待って、速い、速すぎですわ！」
　アイオは慌てて走り出します。しかし全然追いつけないので、四つんばいになって猫獣人パワーで駆け出しました。
　しかし。
「うっ……これでも追いつけないとは」
　諦めてアイオはカンガルーの走りを観察します。
「なるほど、あんな風にぴょんぴょん跳ねて進むからスピードが出るのですね」
　いつのまにかカンガルーは止まり、振り返ってこちらを見ていた。
　どうやら警戒心は薄れたようです。
　アイオとカンガルーは、それから思う存分競争したのでした。

「はあ、いっぱいふれあえましたわ。こんなふうに楽しめるなんて、オーストラリア最高ですわ！」

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