【七夕】灯りをつけましょ提灯に☆｜リアクション

【七夕】灯りをつけましょ提灯に☆

「今日も外では猫のさかり声♪」
「おおフリーダム　おおフリーダム！♪」

　某星の塔でも流行り出しているとかいないとか、寝子島裏校歌を元気に口ずさみながら道をゆく
　アリス・ミーティアとルーク・ポーラスター。
　屋外お化け屋敷だと疑いもしないまま、アリスは足元に注意しつつ、ルークはいつ何が飛び出てきても良いよう身構えて。

「何が出るかドキドキするね。定番はお菊さんだよね！」
「なんだそれ？」
「いちまぁい……にまぁ～い……ってお皿を数える幽霊でー」

　なんて会話を楽しんだまま、歩くスピードは緩むことなく。
　しかして元々が寝子島の地理に疎い２名様。
　ルークに至っては、冒険心を無意識に刺激されていたか、より暗い方暗い方へと条件反射のように足を進めていたらしく。

「んん？　ルーク、こっちで合ってる？」
「え、正しい道なんてあんのかコレ？　迷路なお化け屋敷じゃねーの？」

　訂正。順路すら分かっていなかった模様。
　その言葉により、迷子になっちゃったかー、と確信しそれでものんびり思考するアリス。
　――　飛べたら楽だけど星幽塔に返されちゃうから我慢だよね。
　実際、小さめの翼は全く隠れておらずなわけだが、決して動かすことはせず浴衣についている飾り☆と言い切ってやり過ごしているアリスである。
　ならこの方法で道決めっか！　とルークが落ちている枝を地面に立てて、倒れた方向へ進むというほぼ運頼みな方法を言い出せば、楽しそう！　とあっさりノったり。

　楽しく迷子する中、もこもこ雲がもれなく降りてきては星の形になるのを見つけたアリスが、指をさしてルークへ教える。
　飛んで行くなんて寝子島のお化け屋敷すごいね、な認識により雲に一切の疑問持つことなく、あっさり乗り込む二人。

「どんな仕組みかな。星幽塔にも作れないかなー」
「遊び場としてならあってもいいけどな。だが冒険は己の足で踏みしめてこそ道になる！」
「ルークらしい～♪　そういえばルークは高いところ大丈夫？」
「たとえ怖くとも、それを表に出さないのが勇敢なオトコだぜ！」
「（どっちだろ。こわいのかな？　一応提灯はちゃんと握っておいてあげようかな）」

　元々は飛べるアリスは高いところ全く平気ゆえ、二人で持つ提灯をしっかり握り直したり。
　空中遊泳中も地上に居た時と同じように会話に花を咲かせていれば、間もなく見えてくる寝子島での星空が二人を歓迎してくれた。

「あれが天の川？　川みたいに星が集まって綺麗だね」
「おー！　結構すっごいなー！　なんかお宝発見した気分だ！」

　これからもいっぱい冒険できますようにってお願いしとこー。
　叶う時には、ルークも傍にいれば楽しい。笑顔と共にアリスは願い事を紡いだ。
　それぞれが暫し星たちとの語らいを楽しんでから。
　雲が再び地上へと下ろしてくれれば、アリスはちょっぴり物足りなそうに雲を見送った。
　もう少し見ていたかったな。
　とはいえ、まだまだお祭りの夜は終わっていない。
　折角寝子島に来た彼を、案内する使命を思い出してはパッと表情を明るくする。

「このまま無事ゴールした後は、笹流ししてみよっか！」
「へー、アリスのオススメか。いーじゃん、行こうぜ！」
「そういえばルークは、何をお願いしたの？」
「へ？　お願い？？」

　そもそもの七夕という趣旨を知らなかったらしいルーク。
　道中アリスから、天の川へお願い事をすると云々、と聞いて
『しておけばよかった！！　い、いやっ、自力で叶えてこそ、か……！？』などと自問自答する声が響いていたとか。